触れ合う不器用な心。切ない愛。

無表情で、感情表現が下手な美男子。
「名前を思い出せない私」は、そんな彼とふれあって、
「私」も、彼の優しさを、
彼も、「私」の優しさを、
ゆっくり、好ましいと思っていく。

心が、触れ合う。

でも、「私」には、時間が残されていない……。「私」は、実は、滅びた村の……。

話がとても面白いです。
男性視点、女性視点、両方から丁寧に描かれます。もう、二人の気持ちが、二人の魅力が、ビシビシ読者に伝わる。
読んでいて、二人を応援したくなります。
「このまま嫁にもらってしまえ───!」と私は心で叫びました。

そうはならない、悲しい予感に物語は満ちているのですが、そう願わずにはいられません。


もっと続きが読みたい?
この「誰ヵ之半妖物語」は前日譚。
「平成之半妖物語」に話はつながるのですよ。
この前日譚から先に目を通し、本篇に進むと、主人公直文を応援したくなること120%増しです。

ただ、この前日譚だけでも、
「私」のかかえる謎解き、美しい情景、盛り上がるバトル、読み応え抜群でありながら、すっきりした話なので、

どうぞ、気負わず、ご一読ください。

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