第11話

翌日、僕たちは東京タワー似のダンジョン、ミナトクシバコウエンタワーに到着した。


「ここがタワー型ダンジョンの入り口?!」


「そうだよぅ。ここがダンジョンの正面玄関、サンダーゲートだよぅ」



「サ、?!」


はい。

でっかい提灯に日本語で雷って……もう、突っ込むのはよそう。


「それにしても、ダンジョンがタワー型なんて不思議ですよね」


「そうだねぇ。大抵は地下にあるんだけど、ここチバラキのダンジョンは特別だねぇ」



「やっぱり魔物、出るんですよね?」


「そうだねぇ。ミックーとか、ミーミーの鼠型モンスター。他は犬型が多いかなぁ」


鼠型と犬型。

ダンジョン初期でよく出る、弱いレベル1のモンスターだ。

まあ、ボクらなら問題ないけど。


因みにボクの今の姿は、茶色の円形帽子に色がお揃いのポケットが多い探検家スタイル。

背負子しょいこにはキャンプ道具に食糧と着替え一式。

靴はほぼ、トレッキングシューズだったりする。


メルたんはというと、半ズボンジーンズに漢字デカ文字で『雪』って入っている半袖Tシャツ姿。


えーと購入は、町でペンギン印の24時間営業の店で購入。

この世界、色々おかしな発展を遂げていて、実は衣食住は充実してたりする。

一応、カップメンは売っているよ。

トムヤムクン味オンリーが飽きるけど。



「あ、そうそう、タワー型は最初の階層から99レベルのモンスターが出るから、気を引き締めてねぇ」


「は?レベル100の世界で99って、鬼畜か!」



「あ、逆さだったぁ。66だわぁ」

「いや、十分高いし!」


そういえばボクのレベル、クエスチョンになってるけど、本当はいくつなんだろう。

そもそもレベル66のモンスターに戦い挑んで大丈夫なの?



ギャギャギャッ

ギェッギェッギェッギェッ


ゲートに入り真っ暗な空間を進むと、突然の鳴き声!

ついにレベル66モンスターに遭遇か!?



『ワフッ』、『ウフッ』


えーと?

沢山の半ズボンに白手袋の鼠型モンスター?が手を振って愛嬌を振り撒いて、何か大きな電飾付き馬車みたいな乗り物?モンスター?で目の前の通路を通り過ぎていく???


「へーっ、綺麗だねぇ。エレ▪トカレフ▪モンスターパレードだよぉ」


「エレ▪トカレフ▪もんす?何ですか、ソレ?そもそもアイツら、愛嬌振り撒いてるだけで襲ってこないんだけど……?」



「アレは仮の姿。愛嬌振り撒いて油断させ、後方に回って出口を遮断する魂胆なのさぁ」


「ええーっ!ヤバいじゃないですか!?」



「そうだよねぇ」


ボク達がそうして喋っていると、奴らはUターンして此方に向かってくる!?

ひえぇっ、なんか目が血し走っていてメチャクチャ怖い!

はい?

手にはトカレフTT-33を翳しながらボクらを狙い打ち?!ヤバ!!


バンッ、バンッ、バンッ

チューンッ、パンッ


「ぎゃああ!?モンスターが拳銃構えて撃ってきた!しかもトカレフで???」

「あれ、拳銃っていうんだぁ。当たると痛いんだよねぇ」


「いや、痛いレベルじゃない気がするんですが……」


本当にヤバい。

のんびりメルたんは危機感ないみたいだけど、拳銃は不味いよ!

でもこの世界、拳銃トカレフは無いはず。

ならあれは、ダンジョン内のモンスタースキル?


「メルたん、奴らの拳銃は本物なの!?」


「あれ?あれはモンスタースキルみたいだねぇ。あたしらが持つと砂になっちゃうからねぇ」



そうなんだ。

じゃあ、奪って撃ち返す事も出来ない。

どうしよう!


チューンッ

「ひゃうっ、頭の上、弾が掠めた!これじやあ、動けないまま奴らに距離を縮められちゃう!」


今、ボクとメルたんは岩の後ろに隠れてるんだけど、数十発の弾丸にここから動く事が出来ない。

奴らはわざと拳銃を連射しながら、歯を出し笑顔で向かってくる。

その姿は、某アトラクションのマスコット顔でありながら黒オーラ満載で怖過ぎでしょ!



「仕方ないねぇ。天狗オオギ召喚サモン


ボクが頭抱えて震えていると、メルたんが左手を高々に上げて何かを叫んだ!

メルたんの手が眩しく輝き、次の瞬間その手に現れた物、それは!?


「巨大ハリセン?」

「違うよぉ。これはおおぎって言うんだよぅ」


そう、それは3メートルはあろうかという白い巨大 おおぎだった。



「そんじゃ、いくねぇ」


メルたんは何でもないように、その巨大 おおぎを片手のまま一回振った。



ゴウッ、グオオ━━━━━━━━ッ


するとたちまち三つの竜巻が現れ、相互にぶつかりながらモンスター達を巻き込んでいく。


「す、凄い?!」

「あははは、まだまだだよぅ」



ゴウ━━━━━━━ッ


竜巻はあっという間に通りすぎ、後には何も居なかった。

コレ、飛んでもない技だよ。

簡単にそれを繰り出せるメルたんって、一体何者?!


「あ、あの、メルたんって、何者なんですか?」


「あたし?通りすがりの、ただの雪ウサギ獣人だよぅ」



いや、だからただの雪ウサギ獣人じゃないから。


勝利のポーズにイナバウアーをしないで下さい。

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物語の最強魔法使いにTS転生しましたが結婚が嫌で隠れたら国が滅びそうです。仕方がないので怪傑鎧マンに変装して、国を助けます。 無限飛行 @mugenhikou

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