第3話
「みんなーっ、今日も有り難う!ルラ、嬉しいから、ハートを送っちゃうよ」
「「「「うおおお、ルラちゃーん!」」」」
「「「「こっち向いてーっ!!」」」」
「な、何なの、ここ??」
ステージ上にいる超美人エルフ女性は、手首でハートマークを作って、観客にアピールしてる。
キャバレーデビューを果たしたボクが其処で見たものは、前世で見た秋葉原アイドルステージよろしく、歌って踊れる新人アニメ声優アイドルが初デビューするような会場に来ていた。
師匠の家を燃やしたボクは、いきなり途方もない借金を背負わされた挙げ句、キャバレーに売り飛ばされたのだが、そこはKURU KURU眼鏡小太りオタク男達が集う、舞台ステージがある店だったのである。
◆
少し前
「うう、なんでこんなにぴらぴら薄々なドレスなの!?」
うへぇ、完全に下着の線が出てるし、足元がやたらスースーするよ!
こんな短いスカートじゃ、パンツがすぐに見えちゃうんじゃないか!?
「あら、可愛いいじゃない。いいわね。似合ってるわよ」
「へっ?」
ボクが無理やり与えられた、此のキャバレーの【制服】と称するエッチィひらひら薄々丈の極端に短いワンピースに
「ええっと、ここの先輩ですか?」
「オホホホ、まあ、先輩ではあるけれど、同時に債権者でもあるわね」
「え、債権者!?」
「分からない?貴女が師匠と呼んでるルーラよ」
「はいぃ!?だ、だってルーラ師匠は小汚ない偏屈バーサンじゃ?」
「あらあらあら、小汚ない偏屈バーサンなんて酷いわね。あれは世を忍ぶ仮の姿。こっちが本物よ。ただ、呪いに掛かっていてね。ゴホゴホゴホッ咳をすると、ボンッ、こうやって、お前さんの言う偏屈バーサンになってしまうんだなぞい!」
「ぎゃあああ!?」
美人エルフお姉さんが咳をしたら、白い煙が上がって、恐怖の小汚ない偏屈バーサンに変わっちゃったよ!
あれ?ちょっと待て??
さっきのが本物の師匠の姿なら、小説の通りって事じゃないか?
「分かったらキリキリ働くがよいぞい!お前はすでにワシの奴隷なのだぞい!」
「ひぃ、変身したら性格まで変わってる?」
「今日からお前はテリアだからリアと名乗るがよいぞい」
「な、な、何で!?」
「その方がオタクは覚えやすいんだぞい!」
「いや、オタクの人に覚えて貰いたくないんですが?」
「バカモンだぞい!」
ピコッ「痛!?」
「上手く覚えて貰えれば、フィギュアを作って貰えるぞい。さすれば知名度はインフルエンサーじゃぞい!」
「フィギュアが?」
確かに前世日本でもあったけど、あれは2次元のキャラをフィギュアにするから受けてたんじゃなかったっけ?
そもそも、こっちの時代は中世ぽいっし、テレビもアニメも無い世界なんだけど。
あと、何で師匠はインフルエンサーとか、日本の用語を使ってんだ?
「でゅふ、でゅふ、でゅふ、リアちゃんって言うの?可愛いんだな」
「んぎゃ、背後にいきなり小太りオタクが!?」
背後に小太りトンボ眼鏡、アニメ風の美少女キャラの顔が入ったヨレヨレTシャツを着て、ボサボサ頭の32歳風オタクが立っていた。
「おお、伝説のフィギュアニスト、オヤマダじゃぞい」
「小山だ?日本人みたいだけどって、頭掻きながら来ないで!?フケ吹雪が、うぎゃ!」
いやぁーっ!?背中に桜吹雪でなく、フケ吹雪を背負ったオタクのオヤマダの攻撃がボクにクリティカルヒット!
ちゃんとシャンプーリンスしてぇ?!
「し、師匠、伝説のフィギュアニストって、一体なん何ですか?!」
「でゅふ、でゅふ、でゅふ、それはオデが説明するんだな。見るんだな」シュルルッ
「おお!?突然、手元が全く見えないくらいの速さで何かを作り始めた?」
オヤマダは、まるでビデオの倍速画像を見ている如く、セコセコ動き回り、目の前で何かを作り上げる。
コイツ、やっぱりただ者じゃない!
「か、完成なんだな!これがリアちゃん人形なんだな!」
「はいぃ!?」
「リアちゃんフィギア、スク水バージョンなんだな」
「凄い!あんな短時間で三十センチ大の人形フィギアが出来上がるなんて!しかも異常にリアルでそっくり……ん?なんでスクール水着!?」
しかも胸に
「でゅふ、でゅふ、でゅふ、どうだなんだな。控えおろうなんだな」
「い、いや、凄いのは分かったけど、なんで一年三組っじゃなくて!スク水なの!?」
「オヤマダのフィギアは1体、数十万オルデ円、オルデアン国立博物館にも展示されるくらいなんだぞい!」
「ボクの質問スルー?はいぃ!?」
いや、凄い事は分かったけど、勝手に他人のフィギアを作って博物館に展示されるのは個人情報駄々漏れでスッゴク嫌なんですが?!
それに肖像権の侵害では?
因みにオルデアン王国の通貨は何故か円、その貨幣価値も日本と同じだ。
「このスク水のいいところは、こうすると胸がはだけるんだな」パカッ
「ぎゃああ、もっといやああぁ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます