秘密組織は世界の裏側で笑う
魔性をこそ神の使徒とする教団の存在は、世界各国で話題になっていた。
地球上から人類を排除し、新たな星に生まれ変わる事こそ神の意思と考える彼らの思想は1000年掛けてゆっくりと蝕む様に伝播し、いつしかデウス・
「デウス・エクス・マキナか……
「いずれ思い知りましょう。自分達の罪深さを。
「それで、彼らの組み分けは判明したのですか?」
「はい……っ、っ、っ。こちらになります……」
岩壁をスクリーンに照らし出されるのは、作戦デウス・エクス・マキナの組み分け。いわゆる対戦表だ。
それも昨日会議にて決定したばかりの最新の情報である。
情報の新しさが何を差すかは、言うまでもない。
「なるほど。妥当な展開だな」
「えぇ。我々の予想を超える事は、ありませんでしたね」
「
「それだけ彼らも本気、と言う事でしょう。天将と星将を同時に、しかも全て動かすなど、今までならば考えられない。それこそ、教皇ミケランジェロが完全統治している時代ならば、あり得なかった」
「それはつまり?」
「最早ミケランジェロは見せかけの老害。真の支配者、基、統率者が他にいると見るべき、と言う事ですかね。それを潰さぬ限り、彼らは勢いを失わないでしょう」
「全滅させればいいじゃあねぇかぁ。難しい事考えねぇでよぉ」
「全滅は
イルミナティ。フリーメイソン。山の翁から始まる暗殺教団。プルス・ウルトラ――過去、様々な秘密結社、秘密組織が歴史の裏に存在したが、今や残ったのはここ1つ。
魔性の王たる恐怖の大王を崇拝し、恐怖の大王をこそ神として信仰する、唯一にして最大の秘密組織。デウス・
名を、アリス。
不思議の国へと舞い落ち、鏡の国を冒険した夢見る少女。
デウス・エクス・マキナ――機械より現るる神の語源たる夢落ちを終焉とした物語の主人公。
夢見る少女が、夢落ちの化身たる偽りの神に牙を剥く。そんな皮肉を籠めて名付けられ、今まで裏から、神の手を邪魔して来た。
曰く、夢落ちを拒絶する夢見の少女達。
夢に導く子羊ではなく、夢を喰い破るバク。
魔性が蔓延る今の世界を否定するのではなく、受け入れ、信仰する事をこそ信条とする者達の集まりだった。
「よぉし。なら、俺ぁ試食して来るかなぁ」
「試食じゃなくて、あなたの場合つまみ食いでしょう? まぁ、程々にして下さいね。あまり派手に暴れると、向こうがワラワラと湧いて来ますから」
「あぁ、はいはい。忠告どぉもぉ」
軽く振った男の手の甲。首筋。額で双眸以外の目玉が回る。
大口を開けて出した下の先にも大きな目玉がついており、左右を向いてから口の中へと仕舞われた。
その姿といい、血生臭い肌の色といい、とても人間とは思えぬその姿はまるで。
「さぁて。誰を喰らってやろうかなぁ」
まるで、魔性の如く。
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