第2話 姉ちゃんの卵焼き

 僕が朝ごはんの洗い物をやると言うと姉ちゃんは満面の笑みで僕を褒めてくれた。


 これぐらい当たり前。

 だけどお父さんも姉ちゃんも褒めてくれる。


「翔子! 出掛ける時間だぞ」

「はーい」

 姉ちゃんは手早く髪をセットしてお父さんと出掛けていく。


「行ってきま〜す」

「行ってきます」

 お父さんと姉ちゃんはほぼ同時に家を出て会社に向かった。


 二人が慌ただしく出掛けたら家のなかがしーんと静かになった。


 僕はこの家にひとりぼっち。

 高校生にもなっても一人が落ち着かない。


 まだ時間は早いがさっさと学校に行こう。


 僕はそう決めて洗い物を急いでする。


 机の上には姉ちゃんが作ってくれた弁当がある。

 中身はお父さんのと一緒に違いない。

 姉ちゃんの作ってくれる弁当にはいつも卵焼きが必ず入っている。


 僕が卵焼きを好きなの知っているから。


 ふと僕は姉ちゃんの笑顔と卵焼きを思い出す。


「やっぱ最高」


 姉ちゃんの玉子焼きはふわふわ甘くて美味かった。

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