第52話 小汚い男は労働者ではなく、冒険者になりたい(2)

 彼女、ア・リシャーも国中の麗しい才女の中からシンデレラのように選ばれた女性だから、グッと堪えて我慢……。


 小汚い小男の悪態に耐え忍びつつ、自身が深く被る頭巾の中から、両瞼を大きく開け、ギロリと輝かせながら、自分の様子を窺う男へと彼女は、にへらと笑いながら。


「あら? 貴方って本当に冒険者になる為に、この組合へ来られたのですか?」と問い。


「私はてっきり貴方は、日雇いの仕事を斡旋してもらう為に、我が冒険組合・ギルドへと来られたのだとばかり思っていました」と。


 ア・リシャーは大変に冷たい目で小汚い小男へと彼女も、にへらとわらいながら告げる。


 すると男は?


「あのね、アリちゃん?」と言葉を返し。


 彼は怪訝な表情をすれば。


「俺さ、無茶苦茶強いんだけれども」と不満を漏らす。


「それもこの国最強! 俺に勝てる男なんて、この世にいないのでは? と、俺は言い切れるぐらい最強に強いよ!」と、小汚い小男はア・リシャーの前で自画自賛をしつつ、自分の事をアピールする。


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