鏡の中の私…
〈ユキナ視点〉
「・・・6年…」
お風呂をすませて
ドライヤーで髪を乾かしながら鏡の中に映る…
「お局」とあだ名をつけられた自分を
ジッと見つめた…
( ・・・どう…思ったんだろう… )
あの…6年前の告白をされた私は今とは違い
それなりに…身なりにも気を遣っていた…
カチッとドライヤーを止めて
乾いた髪を手櫛で整えていくと
胸よりも少し上にある髪を見つめ
「さだ…こ」と呟いた…
( ・・・伸びたからまた切らなきゃ… )
彼が私に告白をしてきた時には
この毛先は胸よりも下にあり
長い…ロングヘアのストレートだった…
「・・・おばさん…か… 」
肩より下にある髪が
乱れない様にと
家から一歩でも外に出る時には
ヘアゴムで髪を一つにまとめていて
メイクも…
コンビニやドラッグストアで売っている
千円程のBBクリームを塗って終わりだった
タカシマ「白石…眉くらい手入れしたらどうだ?」
入社したばかりの頃は
2期先輩の高島さんから
毎日の様に眉を整えろや
アイメイクもちゃんとしろと
言われていたけれど
25歳を過ぎた辺りからは
もう何も言われなくなり…
新人研修でも
ひたすら顔を俯けていた私に
同期と呼べる仲間もいなくて…
きっと…
本来の同期仲間達は
私の顔も名前も知らないだろうし…
26歳の私を35歳だと勘違いしても
不思議ではない…
青城君は…
初めから私に気付いていたから
私が35歳じゃないと知っているのは当然だけど…
( ・・・・誕生日…どうして… )
アスカ「誕生日まだだから…26歳ですよこの人」
社員証に誕生日の記載はないし
どうしてまだ誕生日を迎えてなく
26歳だと言い切ったのか疑問だった…
「あっ…コンタクト…」
付けたままの
コンタクトレンズを片方だけ取り外し
液体の中にゆっくりと沈んでいくレンズを眺め
もう片方のレンズも外そうと
鏡の方へと顔を向け
茶色と黒のオッドアイとなった目に
小さくタメ息を溢しレンズを外した
疲れるな…
ここ数日…地味に地味に過ごしてきた
私の生活に小さなヒビでも入ったかの様に
ザワザワとする人の視線や声に疲れていた
「・・・明日行けば休みだし… 」
目覚まし時計のスイッチを入れ
いつもよりも早めにベッドの中に
体を横たえると
今日の会社での記憶が頭の中を周り
毛布を頭の上まで被り
暗くシンとした毛布の中で
「大丈夫…大丈夫…」と
子供をあやすかの様に
優しく何度も自分に言い聞かせた
・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます