2-12:スキルの合成、そして進化
「モフモフだー!!久しぶりの翔だー!!」
今日は久しぶりの一葉とのSLAWO。日中は事務所にいってHP用の写真に私の紹介動画の撮影、インタビューへの回答などなどを行った。午前中で終わるかと思ってたら全然そんなことなかったし、結構疲れた。なので、SLAWOはいつもより遅い時間にプレイしている。今日は動画撮影はするけど配信はしないとのこと。
ちなみに昨日はレイドボス報酬に貰った万能走法の練習をしてた。まさかそれだけで一日が潰れるとは思ってなかったが、上手くいったときの快感が半端なくて気が付いたら時間が過ぎてしまった。まだ10回に1回成功するかなくらいだから、もっと練習が必要だけどね。もっと安定して成功するようになれば本当にどんな場所でも走れるだろう。足場を作成するための魔力量は少なくていいからね。
「で、今日はどうするの?」
「んー、特に考えてなかった。南のエリアボスはまだクリアしてないんだっけ?」
「南と東がまだだね。」
「じゃぁ、南に行こうー!あっちに進んでいくと綺麗な海も見れるしね!!」
「了解」
そして特に何事もなく南のエリアボスに挑み、難なく突破した。まぁ、一葉のレベルは32、私は23、今回出てきたのはレベル15だったからね。倒すついでにウォーターボールとアクアカッターを覚えるために、一定回数使わせてから倒せる程度には余裕だった。しかもアイスランスを当てれば当たった個所が凍って動きが鈍くなるから余計にね。この間自動合成で強化したアイスランスはこんな感じになってる。
◆アイスランス+:属性 風
氷で出来た槍を放つ技。合成により一般的なものより強化されている。
・氷属性+1
どうやら手動合成の方が複数の能力が強化されるっぽい?自動だと確実に成功するけど、複数能力が強化されるかどうかはランダム。手動でやると失敗して強化されない可能性もあるけど、上手くやれば複数能力が強化されるってことかな?この辺は要検証だ。
そんなこんなでやってきました。南の第二エリア・大草原。地平線の先まで広がる草原ではあるが、人の移動で踏み固められた獣道が存在するので、これに従っていけばそのまま街につけそうだ。私は街に入れないんだけどね。見える範囲だと緑色の狼やオークが見える。
「このエリアの手前側はLv15~18くらい、奥の方でもLv25~27程度だから、そんな苦労しないと思うよ。敵はリーフウルフにオーク、ゴブリン各種がメインかな。」
「なるほどね、魔法を使う個体っている?」
「リーフウルフが使うね。草葉を刃物のように飛ばしてくるよ。それも覚えるの?」
「覚えれるだけ覚えようかなって。なんか魔法同士を合成して強化できるみたいだからね」
「なるほどねー。あ、じゃぁ僕のも覚える?」
「んー、覚えれる数に限度があるんだよねぇ。何があるか見せてもらっていい?それから考えたい。」
「いいよー!」
というわけで一葉の覚えてる魔法を見せてもらった。
◆光魔術Lv8
・ライトボール
・ライトヒール
・ライトランス
◆治癒魔法Lv10
・ヒール
・リカバー
・エリアヒール
・エリアリカバー
「そういや、スキルレベルって10までしか上がらないんだよね?このスキルレベルでこれだけだと覚えられる魔法少ないんじゃない?」
「今のところはねー。ただ、十中八九派生スキルか進化スキル、それか複合スキルがあるはずだよ。治癒魔法なら極めればリジェネレイトとかレイズデッドとか出てきそうだし。」
「まぁ、そうだよね。私はその辺気にすることないけど」
「妖術で色々できるもんねー、封印が解かれるごとに更に出来ること増えそうだよね。さすがユニーク種族」
「だねー。その分大変だけど」
さて、現状整理のために今覚えてる技も確認しよう。
<魔技記憶リスト:記憶可能枠14、使用済13、空1>
<解析済>
・ウィンドカッター+
・ライトボール
・ライトヒール
・ヒール
・アクアバレット
・飛行
・アイスランス+
・ウォーターボール
・アクアカッター
<解析中の魔技>
・木根鞭 [理解度:7%]
・木根弾 [理解度:5%]
・ポイズンウェブ [理解度:20%]
・スパイダーウェブ [理解度:30%]
・ポイズンクリエイト [理解度:70%]
んー、一葉が持ってるライトランスを覚えて、使うことのないライトボールと合成したいかな。あとはヒールとライトヒールも合成させてしまおうか。リカバーは状態異常を1つ解除する魔法らしいからこれも覚えたい。ただ、枠が足りない。んー、解析中のやつは破棄でいいかな。覚えるのにそんな時間かからないし。ひとまず、解析中の魔技を全部破棄する。これで枠が6つ空いた。
「ちなみにエリアヒールの回復量ってヒールと同じ?」
「同じだよー」
じゃぁ、エリアヒールは要らないね。私はソロか一葉と二人でやるだけだし、エリアヒールである必要はない。
「したら、ライトランスとリカバーを覚えたいかな。リカバーって対象が状態異常にかかってなくても発動できるの?」
「できるよ。何も起きないけどね」
「わかった、じゃぁお願い」
そして、狐火・白を発動して、ライトランスとリカバーを覚えるまで狐火に対して発動してもらう。
ピコン『ライトランスの解析に成功しました。以降、本来の威力・MP量で使用可能になります。』
ピコン『リカバーの解析に成功しました。以降、本来の威力・MP量で使用可能になります。』
「OK、憶えれたよ。ありがとう。」
「どういたしましてー。特に目的もないなら合成?だっけ。やっちゃえば?僕は隣で見てるから。」
「そうだね。やっちゃおうっか。」
まずはライトランスとライトボールの合成から。今回は手動で合成を行う。仮に失敗してライトランスとライトボールが使えなくなっても、また一葉にお願いして覚えさせてもらえばいいしね。まぁ、失敗するつもりはないんだけど。
前回と同じように狐火・紅を発動して合成を実行。ベースにはライトランス、素材にライトボールを選択して狐火の色を見ながらライトボールを当てていく。色がほぼ白になったタイミングで登録する。
ピコン『魔技合成に成功しました。ライトランスの効果が強化されます』
ピコン『ライトボールは破棄されました。記憶可能枠の空きは残り2枠です。』
◆ライトランス+:属性 光
光の槍を放つ技。合成により一般的なものより強化されている。
・威力+1
ふむ・・・、前回は強化幅+4だったけど、今回は+1か。効果幅は狐火・蒼の発動回数によるのだろうか?今回は5回発動したからね。前回は2回だったけど。この辺はまた一人の時に検証しよう。この調子でヒールとライトヒールを合成。回復魔法でもいけるのかと不安になったがこれも無事成功し、回復量+1がついた。
「なるほどね。実際に発動しないとだめなんだ。随分特殊な合成方法だね」
「だね。基本的にはベースにした魔技の基本魔力量より、気持ち少ない程度の魔力になるように調整していけばいいみたい。」
「そっかー。じゃぁ合成後の威力を比較してみようよ。僕もライトランス使えるからね。威力+1ってのがどれくらいなのか見たいし。」
「いいけど、私の攻撃って威力二倍だからわかりにくくない?」
「あっ、そういえばそうだね。じゃぁ、無理だね。敵のHPを見れればいいんだろうけど、まだ見れないし。」
「看破のレベルを上げたら見れるって感じなのかな?」
「多分ねー。とりあえず海が見えるところまで行こうかー」
「了解」
それからしばらく南へ進んでいく。道中の魔物は特に苦戦することなく倒しつつ進んでいると、獣道から東にそれた先に丘が見え、その丘の上に家が建ってるのが見えた。折角なので行ってみることにした。
「ふぅー、結構きつかったね」
「だね、見た目以上に急で上りにくかったよ。」
無事家の前に到着。しかし見えてた以上に急な坂で結構な高さがあった。私は四足歩行なので特に問題なかったが、一葉は上るのに苦戦してた。丘というよりはちょっとした山という感じだった。
そして頂上にたどり着くと、目の前には広い庭が広がり、その奥に家が建ってた。恐らく私たちが来たのは裏側なのだろう。その証拠に家の正面側を見てみると、緩やかな斜面になっていて獣道が出来ていた。そしてここからは南の街ライラを見渡すことができる。海に隣接した街のようで港があり、建物は全体的に白で統一されていてとても綺麗だ。
「この家なんだろうね?前は見なかったんだよねぇ」
「カズハはライラまで行ったことあるんじゃないの?」
「あるけど、その時はなかったと思うよー。気にしてなかっただけかもしれないけど」
「とりあえず呼んでみる?」
「そうしよっか」
そして扉にあったベルを一葉が鳴らす。少しすると扉が開き中から人が出てきた。
「はいはーい、どちら様ー?」
出てきた人は銀髪の女エルフ。エルフは総じて美形という話を聞くが、本当に美形だ。・・・一葉の方が可愛いけどね!!!
「こんにちは。冒険者のKazuhaです。こっちは・・・パートナーのカケルです。街の中でもないところに家があったので気になって訪ねてみたんです。ここで何をしてるんですか?」
私の姿が狐なのでどう説明するか悩んだみたい。一葉が敬語で話してるの凄い違和感があるな。ま、対応は一葉に任せます。私はいま狐だからね。
「あら、もしかして来訪者の方?思ったより早かったのね。私の名はエリーよ。ここで立ち話もなんだから、中にどうぞ。」
ん?『思ったより早かった』?まるでそのうち来ることをわかってたみたいな言い方だけど。まぁ、話を聞けばわかるかな。
「カケルも一緒でいいのですか?」
「えぇ、いいわよ。というか、その子も来訪者だから話せるんでしょ?見た感じ妖狐族かしら?珍しいものを見たわ。」
どうやらバレていたらしい。来訪者かどうか判別する方法があるのかな?
「ありがとうございます。」
それはそれとしてお礼をいう。
「本当に自然に話せるのね・・・。知能を持った魔物や動物は会話ができるとはいうけど、会ったのは初めてよ。不思議な感じだわ。」
「私も最初は狐族の獣人って感じだったんですけどね。いまは色々あって狐の姿になってますが。」
「あらそうなの。呪い・・・って感じでもなさそうね。まぁ、とにかく中に入りなさい」
お言葉に甘えて私と一葉は彼女の家に入り、リビングのソファーに座らせて貰った。少しして彼女はお茶を出してくれた。それも私の分まで。ちゃんと飲みやすいようにペット用の小皿みたいなのに入れてくれてる。・・・なんかこうしてると本当にペットになったみたいな感じだ。
「庭で取れたハーブを使ったハーブティーよ。茶菓子がないのは御免なさいね。場所が場所だし、気軽には仕入れられないのよ」
「いえいえ、お気になさらず。むしろ急な来訪なのに対応してくれてありがとうございます。」
「大丈夫よ。前もって聞いてたからね。」
「先ほどもそんなことを言ってましたね。来訪者が訪れるのは知ってたみたいな感じでしたけど」
「えぇ、そうね。あなたたち来訪者が訪れる1ヵ月くらい前に教会からお達しがあったのよ。来訪者がやってきますーって。どう対応するかは私たちに任せるって感じだったわね。」
なるほど。このゲームのNPCは人と遜色ないAIを積んでるからね。そういう神託があったとかっていうことにした方が都合がいいのだろうね。
それはそれとして、このハーブティー美味しい。
「そうなんですね。どうしてここで暮らしてるんです?結界も無いので危険だと思うんですけど?」
「この辺の魔物なら問題ないわよ。それにここにも結界は張ってあるのよ?街の物ほど強くはないけどね。」
なるほど、簡易結界的なものがあるようだ。彼女は見た感じエルフだし、そういうのに詳しいのだろう。
「どうしてっていうと研究のためね。スキルの取得条件から進化や派生、複合とか。とにかくスキルについて色々調べてるのよ。今は街の外で一人暮らししてたら何かしらのスキルを取得できないのかの実験中ね。まだ初めて1ヵ月だから結果は出てないけどね。」
なんというか・・・・、随分と気が遠くなりそうな実験だ。取得できるかどうかもわかってないのに。というかスキルの派生とか進化って何かしらルールがあるのか?
「スキルって進化とかするんですね。何か条件って判明してるんですか?」
「基本的なスキルであればだいたいね。進化条件について知りたい?」
「「ぜひ!お願いします!」」
「あらあら、そちらのお狐様も気になるのね。いいわよ。それじゃ説明するわね。」
そしてスキルの進化条件について教えてもらった。といっても特に難しいことはなかった。
・自身のレベルが30以上であること
・スキルレベルが10であること
・上記の条件を満たした上で、教会にある昇華の間にいき、祈りを捧げること。
条件はこの3つだけ。3つ目は進化の方法だから実質上の二つだけかな。それから、持っているスキルやそれまでの行動によっては進化の選択肢が複数できるらしい。これがいわゆる派生や複合といわれるものだそうだ。それらの情報は『スキル図鑑』という本に記載されているとのこと。ただし、その本は非常に高価でありあまり出回っていないため、ただの冒険者が手にするのは難しいだろうとのこと。ちなみに彼女はその図鑑の編纂にガッツリ携わっているらしい。
「とまぁ、こんなところね。ただ、スキル図鑑のほうはもし手に入れる機会があったとしてもあまり当てにしないほうがいいわよ。一般的なスキルであれば信用できるとは思うけど、それでも書いてあるスキルのうち7割は信用できないわね。検証が難しいもの。だからあの本を買うのは金持ちでモノ好きな人だけよ」
まぁそうだよね・・・って待って。私そもそも街に入れないからスキル進化無理なのでは・・・?いや、その前に人化の術を覚えればいいのか。次で2つ目の封印が解放されるかは不明だけど、早めに覚えたいな。街に入れないのは不便だ。
「なるほど、教会に行けばいいんですね。私も治癒魔法のスキルレベルが10になったところなので、知ることができて良かったです。」
「そう、それは良かったわ。にしても、事前に聞いてたけど本当に成長が早いのね。確かに使えば使うほどスキルは伸びていくけど、どんなに成長しやすいスキルでも1年。治癒魔法ならLv10にするのに早くても5年はかかるわよ」
「あー、成長が早いのはカズハだからじゃないですか。来訪者の中でもトップを走ってるので。普通の人はLv3くらいですよ」
適当いってるけど、普通はそれくらいだと思う。知らんけど。
「それでも早いわよ。まだ3か月くらいしかたってないじゃない。月に一つレベルが上がるなんて、私たちからしたら何それズルいって感じよ。」
3か月?あぁー、ゲーム内時間が3倍に加速したからか。確かにそれくらいか。
「まぁ、レベルが上がっても使いこなせなければ意味ないですけどね。経験は私たちの方が圧倒的に下でしょうし」
「うんうん、そうね、その考え方は大事よ。例えスキルレベルが高くても、それに見合った経験を積んでないと宝の持ち腐れよ。自分よりスキルレベルが下だからって見下したりしたらダメよ?私たちの方がこの世界では先輩なんだから」
「肝に銘じておきます。」
「よろしい。さ、もういい時間だから帰りなさい。私もこの後用事があるからね。」
「そうですね。お時間を頂きありがとうございます。お茶美味しかったです。ごちそうさまでした。」
そして私たちはお礼をいい、家を出た。
「これからどうしよっか?」
「行けるところまで行ってみようよ。街には入れないけど、街を避けて更に海まで行くことはできるんじゃない?」
「それはそうね。じゃぁそうしよっか。」
そして私たちは海を目指してひたすら進んでいく。街に近づくにつれて魔物が徐々に強くなっていき、一回の戦闘に時間がかかるようになっていったため、海まで進むことはできなかったが、街にたどり着くことはできた。そして一葉は街に入っていき、私は入れないのでいつもの拠点に戻ってログアウトした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます