第34話 自分 8

私が高校で不登校児になった理由は、不正入学そして


初日に担任に呼び出され、一度でも喧嘩をしたら退学だと言い渡された。


その2つが理由だ。


担任は20代前半だったが、当時の私は荒れていた。


殴りまわして両目をくり抜いてやろうかと一瞬思ったが、止めた。


理由は、こいつは私が不正入学したのを、知らないのだと思ったからだ。


不正入学者に対してそんな事は、言えない事は少し考えれば分かる。


事がおおやけになれば、共犯になるからだ。


私の中学時代の資料を見たのだろうと思った。


私がその時思ったのは、学校の先生への道のりは短すぎると思った。


生徒の気持ちを知るには、圧力をかけるのは、

無駄だということすら理解していないからだ。


私は弟との喧嘩で、何度か即死しかけた。弟は友達だと思っていた奴と


親に同時に裏切られてから、暴力性を増していった。


武器など使わなかった奴だったが、ある日の喧嘩で奴は私に向かって


電気屋などで売っている、一番大きな乾電池を投げつけられた。


頭に完全に命中すれば死ぬ可能性は充分にあるほど、思いっきり投げられた。


他のある日、喧嘩になり、弟に中途半端な攻撃をしても無意味だと知った。


殴っても、蹴っても一定のダメージは怒りに変換されて、余計強くなる事を知った。


私はある日の喧嘩で、自分の部屋に入り、ドアノブを強く握り、奴は入ろうとしたが


ドアノブからは入れないと思ったのか、ドアを何かで叩きつけている事は分かった。


しかし、私の部屋のドアは、二重構造で簡単には破れない作りになっていた。


ガンガンと物で殴り続けて、暫くして音が止んだ。


諦めたのかと思った瞬間、中身の入った鉄柱が、私のこめかみをカスって行った。


一ミリでもずれていれば一生傷に残るほどのものだった。


こめかみをカスっただけで、皮膚は破れ血が流れ落ちた。


当然、1センチ違えば、私の頭蓋骨に穴が空いて死んでいただろう。


私は私で怒りがこみ上げてきた。そして自分の部屋のドアを蹴破り、


逆に弟は自分の部屋に逃げ込んだ。私は素手殴りまくって穴を空けていった。


拳からは血が出ていたが、どうでもよかった。


二重構造のドアを一枚破り、二枚目も破った。弟は物でその穴を塞いだ。


私は他の場所も膝をぶち込んで、ひび割れを作り、底に対して肘を使って


一枚目を破った。二枚目を破り、弟は体をドアにつけて押さえつけていた。


そして父親が来た。お前たち家を壊す気か?! と言った。


私は言った。あんたが好きなだけやれとガキの頃から教えたんだろうが!!


父親に対して怒りをぶつけずに我慢してきたが、


身勝手な父親もその時、私にとっては攻撃対象となった。私が一歩近づくと


すぐに場から逃げて行った。


ドアも二カ所破り、クソ親父にも本音を初めて言った事で私は満足したのか


それ以上、何もやる気が無くなり、自分の部屋に入って空いた穴を塞いだ。


私は今、文字に書き起こして思うが、自分の言葉には責任を持つべきだと、


改めて感じた。子供はいないが、教育は私の場合は問題だらけであるが、


まともに育てるのは、それほど難しくないと言える。


ただそれでは個性も何も無い、子供が大人になるだけだろう。


うちの父は過剰な暴力で、幼子であった私を強制的に育てた。


問題はそこにあったのだろうと思う。


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