第20話 地球最後の日
キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間になった。
「ねぇ、かすみちゃん?質問していい?」
椅子にもたれ掛かりながらほのかが聞いた。
「…あー、あとにしてくれる?」
かすみは、ほのかの方を見もしないで言った。
「わかった。じゃあ、質問!」
「いや、後にしてって言ったじゃん。」
「地球最後の日ってどうやって過ごす?」
ほのかは天井を見ながら、かすみに問いかけた。
「え?地球最後の日?うーん、そうねぇ…。」
かすみは少し考えた後、ほのかを見て答えた。
「仲いい人とかお世話になった人にお別れの挨拶しに行くとか。」
その答えを聞いたほのかは天井からかすみに視線を変えて言った。
「ほんとに?」
「…ほんとだけど?」
「ほんとにそんなことしていいの?」
ほのかは陰鬱とした表情で言った。それに対してかすみは戸惑いながら聞いた。
「…どういうことよ?」
「お別れの挨拶しに行っても会ってくれないかもしれないよ?地球最後の日なら向こうも忙しいだろうし、かすみちゃんとあってる暇ないかもよ?もし、会ってくれなかったらショックじゃない?ショックなまま死んでいくの嫌じゃない?」
「…いや、少しくらい会ってくれるでしょ!そりゃあ、何人かは会ってくれないかもしれないけど…。」
「会えなかったら、未練残っちゃって死ぬに死ねないかもよ!」
ほのかは笑顔で言った。それに対してかすみは不満そうに答えた。
「じゃあ、無難に家族と過ごすわよ。家族なら会えないことないでしょ。」
「わからないよ?お父さんは愛人がいるかもしれないし、お母さんは不倫相手がいるかもしれないし、兄弟には恋人がいるかもよ?」
「考えすぎでしょ!ほのか、あんたドラマに毒され過ぎよ!そんな人達、ほんの一握りだから!…たぶん。」
かすみは呆れた表情をした。ほのかはそんなかすみに言った。
「もし、家族と一緒に過ごせたとしても、そこで楽しい時間を過ごしちゃったら生きることに対して未練が残りそうじゃない?」
「うーん…まあ、そうかも…。てか、ほのか。そういうあんたはどうやって過ごすのよ?」
そう問われたほのかは少し考えてから答えた。
「結局、何かしようとするとそれを達成できなかった時に未練が残るし、楽しすぎるともっと生きてたいと思っちゃうと思うんだよね。だから、私は内容がなくて、早く地球滅びないかな?って思っちゃうくらい退屈なことをして過ごしたいな!」
「ふーん。で、それはなによ?」
ほのかはかすみを見て、笑顔で答えた。
「もちろん、かすみちゃんとのおしゃべりだよ!」
それを聞いたかすみはニコッと笑ってほのかを見た。
そして、自分の上履きを脱いで、それを手に持つと、そのままほのかの頭を思いっきり引っ叩いた。
「ほのか!てめぇ上等だ!!今日をあんたの最後にしてやるわ!!」
「いった~!!なにすんのさ!そんなんだから地球最後の日に誰も会ってくれないんだよ、かすみちゃん!!」
「なんで誰も会ってくれないことが決定してんのよ!!誰かしらは会ってくれるから!!もし、全員から会うこと拒否られても、あんたと過ごすのは嫌だから!!」
キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間が終わった。
バカとマジメの押し問答 正妻キドリ @prprperetto
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