第19話 HKジャパン
キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間になった。
「ねぇ、かすみちゃん?問題出してあげよっか?」
椅子にもたれ掛かりながらほのかが聞いた。
「…いや、いいや。」
かすみは、ほのかの方を見もしないで言った。
「わかった。じゃあ、問題です!」
「いや、要らないって言ったじゃん。」
「増える事はあっても、減る事はないものってな〜んだ?」
ほのかはニヤニヤしながらかすみの方を見た。
「あら!すごいじゃない!ちゃんと問題間違えずに言えて!同じ国の人間として誇らしいわ〜!」
かすみはほのかの頭を撫でながら言った。
「えへへー!遠すぎない?私とかすみちゃんの距離。」
ほのかは撫でられながらニコニコして言った。
「増えることがあっても減ることがないものでしょ?えっとね〜。」
かすみは顎に手を当てて考え始めた。
やがて、答えを思いついたのかニヤッと笑ってほのかの方を見た。
「わかった。答えは年齢でしょ!年々増えていくけど減ることは絶対ないから。」
かすみは自信満々に答えた。
「ブブー!!違いまーす!!」
「はぁ?」
ほのかの予想外の言葉にかすみは唖然とした。
「え?なんで?これの正解って年齢でしょ?」
「違うよ!年齢は輪廻転生したら0に戻るから減るよ!」
「いや…そこまで考えないでしょ…。そもそも輪廻転生があるかどうかも分かんないし…。」
「でも否定できないでしょ?だから不正解だよ!」
「う~ん…。まぁ…。じゃあ、答えは何なのよ?」
「あ!聞いちゃう?しょうがないな~!正解は…」
ほのかはニコニコしながらかすみを見た。
「心の傷です。」
ほのかは真顔になって答えた。
「なに?あんたスポンサーにACジャパンでもついてるの?」
かすみは懐疑的な目でほのかのことを見た。
「心の傷っていうのはね、一生消えないんだよ。傷つけた方は覚えてなくてもつけられた方は一生覚えてる。それはいくら謝られたって償わさせたって消えるもんじゃないんだよ。言葉はナイフなんだ。使い方を間違えるとやっかいな凶器になる。だから、かすみちゃん。言葉には十分気を付けて。」
ほのかは真剣な顔をしてかすみに言った。
かすみはその言葉を真面目に聞いていたが、やがてジト目になりほのかを睨みながら言った。
「いや、ほのか。私、よくあんたに結構ひどいこと言われてるんだけど…」
ほのかは何も言わずジッとかすみを見ていた。
キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間が終わった。
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