第16話 一生しりとり宣言

 キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間になった。


「ねぇ、かすみちゃん?問題出してあげよっか?」


 手でうさ耳を作りながらほのかが聞いた。


「…いや、いいや。」


 かすみは手鏡で自分の顔を見ながら言った。


「わかった。じゃあ、問題です!」


「ええ、もう慣れたわ。」


「クマやウサギならできて、キリンやペンギンはンが付くから出来ないゲームはな~んだ?」


 ほのかは自信満々にかすみを見た。


「いや、ほのか。それだと答え言っちゃってるから。ンが付くからできないゲームって言っちゃったらしりとりだってバレちゃうでしょ?」


 かすみは呆れながらほのかに言った。


「あーなるほどね!そっか!じゃあ、次はしりとりが答えだってバレないように出すよ!」


「うん…まぁもうこの時点でバレてんだけどね、毎回思うけど。」


「問題です!」


「…」


「クマやウサギならできて、…えっと…キリ…ンッ!や…えー…ペンギ…ンッ!は出来ないゲームはな〜んだ?」


 ほのかはまたしても自信満々にかすみを見た。


「いや、そんなにン!って強調されたらしりとりだってすぐバレちゃうでしょ。もっとサラッと言えないの?」


 かすみはジト目でほのかを睨みながら言った。


「あ!そっかそっか!これだとバレちゃうか!私としたことが〜!動物の名前忘れちゃって言葉が詰まっちゃったよ~!よし今度はバレないようにするよ!いっくよ〜!!」


「…うん、よくあんたそのテンションでいけるわね、毎回。」


 かすみは呆れ顔で言った。


「問題です!!」


「…」


「ブタやタヌキならできて、キリンやペンギンは出来ないゲームはな~んだ?」


 かすみはそれを聞いて拍手した。


「おおー!言えたじゃない!さすがほのか!やればできるじゃない!」


「えへへ!やったー!すごいでしょー!」


 かすみに撫でられながらほのかは嬉しそうに答えた。


「あなたならやればできると思ってたわ!まあ、なんでクマとウサギをブタとタヌキに変えたのかは謎だけど…ん?」


 かすみは少し考えた後、立ち上がって大声で言った。


「って、ブタ、タヌキ、キリンだとしりとりになってるじゃない!!ダメだっつってんでしょーが!しりとり匂わせたら!」


「もう!なんなのかすみちゃん!いちいちうるさいよ!問題出してるんだからちゃんと答えてよ!問題です!コブタ、タヌキ、キツネ、ネコができるゲームは?」


「もうしりとりになっちゃてるじゃない!しかも一番デフォルトの!」


「もうかすみちゃん嫌い!そんなにしりとりが嫌いならもうしりとりやっちゃダメだから!」


 そういうとほのかは立ち上がってお尻をぺんぺんと叩いてから机に突っ伏した。


「コラァ!!別にしりとりが嫌いなわけじゃないから!一生しりとりができないのは地味に困りそうだから却下!!」


 キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間が終わった。


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