第15話 イウナーサブマリン

 キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間になった。


「ねぇ、かすみちゃん?問題出してあげよっか?」


 甲高い声でほのかが聞いた。


「…いや、いいや。」


 かすみはスマホでビートルズのプレイリストを見ながら言った。


「わかった。じゃあ、問題です!」


「誰かヘルプ。」


「扇子をもっていると乗れない潜水艦はな~んだ?」


 ほのかはニコニコしながらかすみを見た。


「いや、答え言っちゃてるから。『扇子をもっていると乗れない乗り物はな~んだ?』でしょ?」


「あ!そっか!なるほどね!じゃあ、改めて問題です!」


「…」


「潜水艦を持っていると乗れない扇子はな~んだ?」


 ほのかはまたしてもニヤニヤしながらかすみを見た。


「いや、扇子には乗れないから。『扇子をもっていると乗れない乗り物は?』よ。」


「あ~そっかそっか!じゃあ、気を取り直して問題です!」


 ほのかは自信満々に言った。


「センスがあると乗れない潜水艦はな~んだ?」


「…」


 かすみは黙り込んだ。


「あれ?どうしたの?かすみちゃん?」


 ほのかはかすみを見て心配そうに言った。


「…潜水艦。」


 かすみはボソッと呟いた。


「え?なに?」


「潜水艦よ。答え。」


 かすみがそういうとほのかは大声で言った。


「せーかーい!!すごーい!かすみちゃん!よくわかったね!」


 かすみは下を見ながらゆっくりと立ち上がった。


「そりゃわかるでしょうよ!!あんたが答え言ってんだから!潜水艦っていうなって言ってるでしょうが!!」


「もう!何なのかすみちゃん!褒めてあげたんだから素直に受け止めなよ!」


「受け止めれるわけないでしょ!こっちはもう答え聞かされてんのよ!その状態で答えて褒められても煽りにしか聞こえないでしょうが!!」


「もう!かすみちゃん嫌い!かすみちゃんなんて海底1万メートルで半魚人に食い殺されればいいんだ!」


 ほのかはブーイングをして自分の机に突っ伏した。


「海底1万メートルまで行ったら半魚人に食べられる前に水圧で潰れるから!そもそもそこまで行かないから!」


 キーンコーンカーンコーン。チャイムが鳴って休憩時間が終わった。





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