第40話⁂七夕会🎋!⁂


 直樹と美咲の懸命な捜査によって暴き出された真実。

 それは人間達の欲望と保身それに虚栄心に群がるハイエナどもによる事件性が高いという事だ。


 障害児・者施設〔レインボ―🌈〕は、そんな保身の塊の親達が生み出した何とも恐ろしい子捨て施設と言っても過言ではない。


 色々な事情、訳アリ人間達のるつぼ。

 世間に自分の負の部分をどうしても晒せない事情や、晒したくない人達の子捨て施設なのである。


 どういう事かと言うと、例えばの話であるが?

 日本有数の会社社長なのだが、愛人も超有名人。

 その間に出来た子供が正常な子供であればまだ問題は無いのだが、障害が有ったとする。


 そんな地位も名誉もある2人だが、そこに結婚の2文字が全くない、ただの金銭目的(出世する為の援助)の関係だったら、正常な子であればその内成長して親の手から離れて行くので、まだ問題は無いのだが、これが例えば障害があったらどうだろうか?


 その内に妻にもバレるだろうし、片や愛人にしても周りに迷惑をかけるし、愛する男との生活にも支障が出る。


 お互い子供が可愛いが、お互いに有名人であるが故に、そんなスキャンダラスな関係は隠したい、

 だが、忙しい2人はそんな子供がいたら家で見ることが出来ないので、施設に預ける。そして…しょっちゅう会いに行く羽目になる。


 それを面白おかしく書き立てられれば本妻や愛する男に、自分達の関係がバレてしまう。

 更には子供までいた事がバレてしまえば只では済まない。


 こうして全て覆い隠してくれる、高額ではあるがプライバシー厳守の、この胡散臭い施設に捨て子同然の形で入所させている。


 それこそ、後ろ髪を引かれる、辛い思いをしての苦渋の決断ではあるが、最終的には自分の身が可愛いのだ。


 だから…その後、子供達が悲惨な状況に追いやられていようが、バレたら怖いので一切口出し出来ないのである。


 その弱みに付け込み、子供たちを好き放題に金儲けの道具として使う算段なのだ。


 そこには身の毛もよだつ恐ろしい事件が隠されて………。


 ◆▽◆

 それではあの仮面舞踏会開催の目的は一体何なのか?


 それは言わずと知れた、天涯孤独の女性をターゲットに、より美しい選りすぐりの女性達を集めるための舞踏会。


 柳田組は養護施設や老人ホームさらには障害者施設などの正業を、多く手掛けている。

 そこで顔の広い柳田組長は、天涯孤独の養護施設などの器量の良い女性を、ピックアップして招待状を送った。


 それは上手い口車に載せて、一にも二にも女性を水商売や、いかがわしい風俗、AV更には海外に売り飛ばすなど、お金の為に寄り集められた女性たちなのだ。

 そんな悪事に引っ掛かった女性達。


 それを知った翔が、父の組長に食い下がった。


「オヤジお金の為とは言え障害児・者施設の人達に何て事するんだよ。酷い酷すぎ!人間のする事じゃ無い。更には身寄りのない女性たちに何をしているんだい?」

最近は翔が、目を光らせているのでお手上げ状態。



 だが、仮面舞踏会の目的は、これだけではない、もっと想像も付かない策略、目的、陰謀が隠されている。

 ◆▽◆

 1997年10月16日「臓器移植法」が施行され、脳死下の臓器提供が可能になった。

 しかし、臓器提供には、本人の書面による意思表示と家族の承諾が必要だった。


 また、この意思表示は民法上の遺言可能年齢に準じて15歳以上を有効としていたため、15歳未満の脳死後の臓器提供は出来なかった。


 その為、多額の募金を集めて海外渡航し臓器移植をする子どもが後を絶たなかった。


 2010年7月17日「改正臓器移植法」が全面施行され、本人の意思が不明な場合にも、家族の承諾があれば脳死下の臓器提供ができることになった。

 このことにより、15歳未満であっても脳死下の臓器提供が可能となり、小さなからだの子どもたちの心臓や肺の移植の道が開かれた。


 また、死後に臓器を親族に優先的に提供できる意思を書面により表示できるとした「親族優先提供」も2010年1月17日に施行されている。


 障害者は健常者よりどうしても命の時間は短く、短命である事が多い。

 

 その為、この施設では入所者に何かあった時の、本人の書面による意思表示と家族の承諾を得て、脳死下の臓器提供ができる許可を得ていた。


 親御さんにしてみれば、自分の子供達が可哀想な状態に置かれているので、万が一の時には、それは致し方のない事、元々長く生きられない命なので覚悟を決めている。


「もし?自分たちの子供がもう助からないのであれば、命の灯が消えたのならば、致し方のない事。我が子の力で救える命があるのなら」と善意的なのである。


 現在臓器移植を待つ人達は日本に1万5000人いると言われている。

 その為にも一刻も早く事を進めたい。


 脳死下であれば臓器提供ができる旨の家族の承諾を得ていた柳田組長は、親たちが滅多と顔を出さない事を良い事に、とんでもない悪だくみを考えている。




 ◆▽◆▽◆▽◆▽

 あの20年前の七夕🎋の日の前日


 本当は元気のいい子だが、手の掛かる問題児A君は健康診断の為に、医療療育センタ―に消えた。

 そしていなくなった。


 この施設では七夕会🎋の日は、毎年定休日になっている。

 そして…従業員達も早々に退社させていた。


 それでは何故、手の掛かる障害児たちがいるのに従業員達を早く退社させる必要が有ったのか?


 それは年に一度だけ、その日だけの最高のサプライズ、家族が会いに来てくれる日。


 何故この日に当てられたのかと言うと、年末年始は1年で最も忙しいかきいれどき、また決算の時期でもあるし、年末年始という事で、年始のあいさつ回りなど、切っても切れない付き合いもあるので、この7月7日七夕の🎋日が当てられた。


 そして…この日はどんな事をしても、何が何でも家族に出向いて貰っていた。

 それはそうだろう。1年に1度くらいは顔を出して貰わないと。


 こうして夢にまで見た家族と一緒に七夕会🎋を楽しんだ後、家族は帰って行く。

 その時に何とも幸せな事に、親と一緒に帰省する子もいるのだ。


 従業員も居ない。施設の子供達も極力少なくなったその日がねらい目。

 だがその日に限って家族と会えた喜びで、子供達の嬉しさが治まらなかったのか、高揚感が一杯で寝付けなかったのか、遊戯室に溢れ返っていた。


 それでも反対に良いチャンスかもしれない?騒がしかったら聞こえずらい。

 と言っても棟の違う医療療育センタ―で行われる訳だから全く問題は無い。


 そして…今まさにB君の命が危険にさらされている。


 だが、残念な事に世間はそんなに甘くない。

 B君と仲良しの勇君が懸命にB君を探し回っている。


 2人は、親がどんな日であろうと訪れた事が無い、可哀想な子達なのだ。


 だから…2人の結束力はまさに鉄の結束。

 {どんな事をしてもB君を探し出して見せる!}

 そんな強い意志で探し回っている。


 そして…昨日から居なくなったB君を血眼になって探し回っていた。

 

 ましてや親がやって来ない七夕会🎋など楽しい訳が無い。只々惨めなだけ。

 同じ18歳の勇君は、そんな七夕会🎋などどうでも良い。

 大切なA君を探す為に奔走している。


 そんな時にふっと思い出した。


「そう言えばいなくなる前日、明日は僕健康診断なんだ」


 そう言っていた事を思い出した。

 七夕会🎋でにわかに皆がバタバタしていたので、それ所では無かった。


 {あぁ~?落ち着いて考えたら、確かにそう言っていた。って事は医療センターにいるって事だ}

 そう思い医療療育センタ―に入っていった。


 {従業員さんも極力少ない今日なら、医療療育センタ―の中も監視の目が光っていない}

 こうして誰もいない医療療育センタ―の部屋と言う部屋を隈なく探した。


 すると、6階の部屋の明かりがついていた。

 {何か………厳重そうな部屋だから…多分閉まっている筈だが?……ひょっとしたらA君が居るかも知れない?}

 そう思い多分開かないだろうと思いながらも、扉を開けた。


 すると、何と?扉が開いた。

 そして…そこに青白い、まるでドラキュラの様なB君が内蔵が開いたまま横たわっていた。


「こっここれは?なっ何?臓器摘出………」


 臓器売買の対象となるのは心臓や腎臓と言った内臓のみならず、眼球や骨、髪の毛一本、血液までお金になる。

 全く残酷な話である。


 こうしてすべてが明らかに………。

 そこには想像も付かない真実が⁈







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