第41話⁂段々見えてくる真実!⁂


 勇君は大切な友達を懸命に探し回った。


 こうして誰もいない、医療療育センタ―の6階の奥まったところにある何とも怪しい部屋に辿り着いた。

 {何か………厳重そうな部屋だから…多分閉まっている筈だが?……ひょっとしたらB君が居るかも知れない?}

 そう思い多分開かないだろうと思いながらも、扉を開けた。


 すると、何と?扉が開いた。

 そして…そこに青白い、まるでドラキュラの様なB君が内蔵が開いたまま横たわっていた。


 {こっここれは?なっ何?臓器摘出………ひょっとして?もう死んでいる?}

 そして…ゆすってみた。

 だがもう息絶えている様子。


「クッソ————ッ!こ ん な!こ ん な‼酷 い 事 を グウウウウ(´;ω;`)ウゥゥ」


 すると、奥の部屋から何ともいぶかしげな表情をした医師が出て来て、勇君を見るなり鬼の形相で睨み付け、捕まえようと急ぎ足で追いかけて来た。


 怖くなった勇君は慌ててこの部屋から逃げて、みんなのいる遊戯室に駆け込んだ。

 そして…怖さでブルブル震えながらも、遊戯室で遊んでいる皆に泣きながら訴えた。


「酷 い! 酷 す ぎ!B君 が、 B君 が、ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭殺 さ れ て、 殺 さ  れ て い る~! ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


 そうこうしているとさっきの医師が、慌てて勇君の跡を追って遊戯室にやって来た。


 [B君と勇君は共に聴覚障害者。

 B君は全く聞こえない、話せないが、知能は正常なので勇君との連絡手段はもっぱら手話。

 一方の勇君は微かに聞こえるので、たどたどしいながらも話すことが出来る。

 知能の方もいたって正常だが、【注意欠陥多動性障害(AD/HD)じっとしていられない。考える前に動く】などの症状がみられる]


「先 生 一 体 ど う い う 事。酷 い  酷 す ぎ!葵 に 話 し て や る!ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


「そ う だ! そ う だ!」


 遊戯室の障害児達も、あまりにも酷い現状に泣きながら先生を睨み付け、訴えている。

「違うんだ!病気だから仕方ないだろう?」


「一 体 ど こ が 悪 かった の さ?医 学 の 勉 強 を し て いる 葵 に 言 い つ け て や る!」


 ギラリと一気に胡散臭い表情に変わった医師が、冷や汗をかきながらも取り繕うと必死だ。

 これはどうにもならない一大事と思い、慌てて柳田組長に連絡を入れた医師。


 要するに医師たちも組長の犬。

 その為、例え恐ろしい実態を目の当たりにしていても何も言えない。

 それは一にも二にも金銭的な面で優遇されているので、目をつむって奴隷にならざるを得ないのだ。


 何故そんな立派なお医者様が、そのような違反行為をしてまで、こんな病院にくすぶって居なければならないのか?


 それは大学病院は若い内は給料が安い。

 その為、民間病院でバイトを掛け持ちして荒稼ぎをしなくてはならない。

 だが、それは普通のお医者様の話である。


 この病院の先生方も皆が皆、国立大学医学部卒業ではない。

 私立大学の医学部を卒業する為には法外なお金が必要なのだ。


 例えば良い所のお坊ちゃまだったが、バブル崩壊、更には1994年~2005年就職氷河期、その後の2008年リーマンショック(一連の金融危機)の煽りを受けて倒産する企業が跡を立たなかった。


 折角苦労して私大の医学部に合格したが、運悪く親が経営する会社は倒産。

返済する為には悠長な事は行っておられない。


 債権者に追われる日々。

「お金を期日まで振り込まないと指をちょん切ってやる。イヤイヤ生きて居られないようにしてやる。それから可愛い妹を売り飛ばしてやる」


 この様な恐ろしい暴言の数々に怯えおののいて、お金を何としてでも工面しないと。

 こうして、医者として一番やってはいけない事だと重々分かって居ながらも、お金の為にこんな悪事に手を染めてしまったのだ。


 何故かと言うと、この医療療育センターは、破格のお金を支給して貰えるからなのだ。

『背に腹は代えられない』とはよく言ったもの。


 これで債権者からの取り立ては治まったが、一方でお金は破格だが、その分さらに恐ろしい組長からの脅しが酷い。

 その為、脅されているので、止む無く組長に従って悪事の数々に手を染めているのが現状。


 ◆▽◆▽◆▽◆▽

 こうして医師志望の葵に言いつけると言って聞かない子供たちに、恐れをなして組長に早速連絡した医師。


「暫く待って居ろ。俺が今すぐに行く!」

 

 組長の言葉に一安心した医師だったのだが、その時、山の斜面に薄明かりが、チカチカ見えてきた。

 …その灯りは段々近づいてきた。

 そして…皆でわらべ歌の『ホタル来い』を歌いながら斜面を降りて来た。


 ♪ホ、ホ、ホ~タル来い♬


「エエエエ————————ッ!今日は葵の家にお泊りして来る筈だったのに、何故戻って来たんだ?」


 13歳ながら異彩を放っていたミュ-ジシャンを夢見る矢口謙太と、あの当時から画壇に注目されていた優れた画風の知的障害田村洋介と、弟の付き添いで施設に来ていた麗奈と葵4人が思いも寄らない事にこんな時に帰って来た。


 だが、まだ山の斜面をライトを付けて降りてくるところ。

 時間はまだ少し掛かる。


 これは大変一大事!

 またもや組長に連絡。


「う~ん?あの賢い葵にそんな事を話されたらきっと警察に通報されて、俺達の悪事がバレてすべてお終いだ。う~ん………もう……どうしようもない。遊戯室にる子供等を全員刺し殺せ!そして…犯人は逃げたと言うんだ。分かったな?」


 早速柳田組長の指示で腕の立つ従業員の1人で、仕事に紛れ込んで正業に就いている組員の1人が、組長の指示で次から次へと遊戯室の子供達を刃物で刺し殺して行った。


 こうして口封じの為に消された。

 それから……これ幸いに殺害して臓器摘出して闇市場に横流しもできる。


 臓器を取り出してから保存して置ける時間は4時間から48時間ほどしかない為、そう思うようにはいかなかった。


 こうしてあの惨劇を目の当たりにした、ミュ-ジシャンを夢見る矢口謙太と、あの当時から画壇に注目されていた優れた画風の知的障害田村洋介と、弟の付き添いで施設に来ていた麗奈と葵4人はこの惨劇を目の当たりに復習の権化と化して行く。


 そして…この腐れ切った施設に一石を投じようと画策する。


 こうして全て白日の下に晒される。








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