ライバル

 あー、いったいどうやって阻止したらいい

 のか…

 

「おす、三上」

「あっ、オス」

 いかんいかん‼︎成瀬くんに心配かけては、

 ならぬ‼︎

 

「今度は、どうした?」

「えっ、な、何が?どうしたってのさ⁇」

「もう…挙動不審すぎだろ」

「いやだなぁ。私はいつもこんなんさ」

「うー…ん、言われてみればそうなのか?」

「そうそう」

 

 成瀬くんは、先にお店に出た。

 

 ふぅー。


「アッハハ、あんたマジウケる。余裕なすぎ

 でしょー」

 ウッ…。

 ないよ!そりゃないわっ‼︎

 フンっ‼︎

 

 バイト中

 ゴロゴロ

 雷が鳴りだした。

 

「うわぁ〜、こわ〜い」

 成瀬くんにペタペタ触る田口先輩…。

「あの、ちょっと離れてもらえます?」

「いや〜、怖いー」

 お客さんは、全然いないから田口先輩のや

 りたい放題だ…。

 

 ハハハ…

 

 バッ

 うわっ…

 停電…

「大丈夫か、三上」

 えっ、なんで…

「成瀬く…ん?田口先輩は⁇」

「鈴木くんに任せた」

「あー…」

 

「いや〜ん。こわいこわ〜い」

 田口先輩は、完全に鈴木くんを成瀬くんと

 勘違いしているみたいだ。

 

 停電が復旧した。

 すると田口先輩

「えっ⁉︎鈴木⁉︎なんだよお前、キモいなー、

 離れろよバーカ‼︎」って言った。

 

 シーン…

「あっ、な〜んてねっ。フフッ」

 慌てて笑顔になってみたらしいけど、時す

 でに……。

 

 でも、まだ油断大敵…。

 

 成瀬くん停電したらすぐ私のところに駆け

 つけてくれた。

 やっぱり優しいな。

 大好き!

 

 すっかり雷も落ち着いた。

 そして成瀬くんと手を繋いで帰った。

 

「今日ありがとね。」

「なにが?」

「雷の時すぐ来てくれて」

「あぁ、真っ暗になっておまえが店のもん勝

 手に食ってんじゃないかと思って見に行っ

 ただけ」

「ひど〜い‼︎」

「ウソだよ」

「んも〜」

「あっ、牛」

「違うから‼︎」

 

 成瀬くん…

 ほんとはすっごく優しいの知ってるんだか

 ら。

 

「ねぇ、成瀬くん」

「ん?」

 チュッ

「フフッ」

「お、おまえ…」

「いつも成瀬くんからキスしてくれるから今

 日は、そのお礼」

「マジかー…びっくりだわ」

 ちょっと恥ずかしそうな成瀬くん。

 

 でもさ、こんな私が簡単に成瀬くんにキス

 できたんだよ…

 田口先輩にもし成瀬くんのくちびるを奪わ

 れたら…

 しかも田口先輩が成瀬くんみたいにとろけ

 るような…こ、腰を抜かすような甘いキス

 をしてきたら⁉︎

 二人は、あつーいキスをかますんじゃあり

 ませんかっ⁉︎

 えっ⁉︎

 どうなんです⁉︎

 

「なぁ、成瀬や…」

「はい?なんで急に呼び捨て⁇」

「おぬし…急にキスされてドキドキしてるん

 じゃろう⁇」

「おまえ誰だよ…ってか、そりゃびっくりす

 るわ」

「ふーん」

「えっ、ふーんって何⁈自分からしといて…

 おまえ究極のツンデレか⁉︎」

「まぁ、今日のところはそうしておこうじゃ

 ないの。」

「変な奴だなー。おまえ」

「まあな…。」

 

 そんなくだらないやりとりをしていた。

 あー、どうしよう…。

 成瀬くんをどうしたら私の虜にできるんだ

 ろう…。

 成瀬くんが、私にベタ惚れだったら妖怪田

 口先輩のベロンベロンにググッと来ないは

 ず…

 

 私も成瀬くんが腰を抜かすようなすっごい

 テクを身につけたい‼︎

 そんな、男をメロメロにする習い事ってな

 いんですかー‼︎

 

 あ、恋愛の先輩に聞いてみよっと。

 

「ねー、お姉ちゃん」

「ん?」

「お姉ちゃんってずっと彼氏と付き合ってる

 じゃん」

「うん」

「どうやって骨抜きの虜にしたの⁇」

「はっ⁇骨抜きの虜って…」

「してないの⁈」

「うーん…そこまでは…」

「じゃあ、なんで彼氏妖怪にずっと奪われて

 ないわけ⁈」

「はい⁇何妖怪に奪われるって…」

「私の彼氏は、妖怪ベロンベロンに狙われて

 るの。お願い。力を貸して‼︎」

「あんたさー…ライバルが現れたっていいた

 いのね?」

「うん…まあ、そんなとこ」

「あー、ライバルねー…」

「やっぱり先輩でも難しい案件ですか…」

「そうだねー。ま、相手がこの人を失いたく

 ないって思いになってくれていたら、他の

 人にぐらつかないんじゃない?」

「失いたくないくらい素敵な人間…」

「うん。でも正直私もよくわからないよ」

「そっかー…でも、ありがとう。」

「大したアドバイスできなかったけどね」

「ううん。そんな事ないよ。じゃおやすみ」

「はーい、おやすみ」

 

 うー…ん。

 呑気におやすみしていていいのだろうか…

 

 続く。

 

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る