成瀬くんのオバケ⁉︎

 …成瀬くん、今までありがとう。

 すごく楽しかったし、幸せでした。

 

 私は、りっちゃんの復縁を応援することに

 した。

 

「ただいまー…」

「あ、おかえり。カレン」

「お、お姉ちゃん…りっちゃんど、どうなっ

 たの?」

「あー、今夜電話するって。うまく復縁でき

 るといいね」

「…うん」

 

 次の日


 …寝れるわけない。

 

 でも、きちんと授業を受けてバイトに向か

 った。

 

「おはよ…ーご、ざいます…」

「おまっ…昨日はちゃんと寝ろって言ったの

 に」

「あー…あはは。成瀬く…んおめでとう…」

「は?」

 バタッ

 

 私は、成瀬くんにおめでとうを言ってから

 の記憶がない。

 

 目を覚ますと、家だった。

 あー、朝?

 じゃない…暗い。

 携帯を見ると夜の七時

 

「うわーっ‼︎寝てる場合じゃないよ。バイト

 行かなきゃ」

「おい…」

「うわあ‼︎成瀬くんのオバケ‼︎なんで⁉︎成瀬

 くんの事考えすぎたから?お願いします。

 消えてください。」

「はぁ?消えねーし」

「イヤー‼︎しゃべるじゃん。ごめんなさい。

 ほんとごめんなさい。諦めます。だから…

 消えてー‼︎」

「なんだよ、諦めるって。ってか、電気つけ

 ろよ」

「えっ、オバケのくせに明るいの平気なんだ

 ?ってか、私オバケの成瀬くんでもいい気

 がしてきた。成瀬くんがどんな形でもいて

 くれるならそれでもいい…オバケさん…ず

 っといてくれる?あっ、でもほんとの成瀬

 くんが消えちゃう⁉︎」

「おまえさー、何さっきから言ってんだよ」

「はっ、そうだよ‼︎私バイト行かなきゃ!オ

 バケもついてくる?」

「おい…オレ本物だしバイトおまえ今日休み

 になったから。」

「あぁ、バイト休み…ん?じゃあ。これ夢み

 てんのか。空とか飛べる?」

 

 ぎゅっ


「痛い痛い!オバケ‼︎なんでほっぺつねるん

 だよ」

 ボカっ

「いってーな」

「はっ…オバケのくせに弾力ある…何⁈こわ

 いこわい」

 

 チュ〜。


 成瀬オバケにキスされた。

 しかも、優しく頭包み込んで…

 

 私は、ぼろぼろ泣いた。

 

「なに?夢ならずっとこのままがいい」

「夢じゃねーよ。オレだよ」

「えっ、なんで私なんかのとこにいるの?し

 かもキスなんかして」

「彼女だからだろ」

「えっ…彼女?まだ私彼女なんだ」

「あのさ、どんな夢見てたわけ?」

「夢じゃない…りっちゃんは?」

「ん⁉︎りっちゃん?」

「りっちゃん…と復縁しないの⁈」

「は?なんで…ってか、律子しってんの?」

「うん。成瀬くん同じ高校だよね。うちのお

 姉ちゃんも、成瀬くんと同じ高校でりっち

 ゃんは、お姉ちゃんの親友。」

「へー」

「お姉さんも成瀬くんと同じ高校だよね?前

 にお姉さんの友達と付き合ってたって言っ

 てたよね。りっちゃんなんでしょ?」

「あー、律子はオレの友達と付き合ってて、

 この前別れてまたより戻したって。」

「どうして…嘘つかなくていいよ。だって名

 前もう聞いてるし」

「なんて?」

「カズくん」

「カズマな」

「オレ、カズヤ」

「……ん?……」

「律子は、オレの友達の彼女」

「えーっ‼︎」

「もしかしてずっと勘違いして悩みすぎてぶ

 っ倒れたの?」

「…うん…。そう、かも…」

「バカだな…おまえ。オレが好きなのは、お

 まえだよ」

「…うん。初めて好きって言った」

「あ、そうだっけ?」

「うん。私も好き。」

 

 チュ〜。

 優しく成瀬くんは、キスをしてくれた。

 

 よかった。成瀬くんが…成瀬くんがいてく

 れる。

 りっちゃんもより戻せてよかった。

 

「で?なんで成瀬くんが家に?」

「おまえが倒れたから心配でずっとついてた

 んだよ」

「へー…あっ‼︎なら、私の寝顔をずーっと見

 てた⁉︎」

「あぁ、ヨダレ垂らしながら白目むいてたか

 ら、たーくさん写真撮って遊んでた」

「うわー…やな趣味してるわー」

「嘘だよ、バーカ。もうあんまり心配かけん

 なよ」

「うん。ごめん」

 

 成瀬くんは、優しく私を包み込んでくれた。

 

 いっつもおまえだのバカだの言うくせに、

 キスとかハグがすーっごく優しい。

 私は、成瀬くんに優しく包まれながら、

「ありがとう」

 って言った。

 成瀬くんは、

「うん」

 って言葉を返してきた。

 

 続く。

 

 

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