キスから一転

 待って。

 お姉ちゃんって成瀬くんと同じ制服…

 同じ高校だよね?

 

 成瀬くんってお姉さんの友達と付き合った

 事あるって言ってたよね?

 

「ちょい、ちょい!お姉ちゃん‼︎」

「何?」

「りっちゃんの彼氏って何君?」

「あー、カズくんとか言ってたな」

 

 ⁉︎カズくん⁉︎

 

 成瀬くんは、和也かずやっていいますが‼︎

 

「ちょっ、ねーさん‼︎」

「なに?」

「まさか、友達に成瀬っていうおなごいるか

 ?」

「うん。いるよ!なるる。なんで?」

「…あー、なんかいそうな気がして…」

 うきーッ‼︎

 ありえない…。

 

 もしかして…りっちゃんの元カレって成瀬

 くん⁉︎

 

 そして‼︎

 りっちゃん復縁したいんじゃろ⁉︎

 わー‼︎

 どうしよー‼︎

 

「お、お姉ちゃん…」

「ん?」

「まさか、復縁の協力を…?」

「うん。そうだねー。できることはしてあげ

 たいかなー」

「あー、サヨウデスカー…」

「大丈夫?なんか今日変だよ?いつもに増し

 て」

「えぇ、お構いなく…」

 

 とろけるキスから一転…

 

 どうしよー‼︎

 

 明日もバイトー‼︎

 

 チュンチュン。

 あぁ、もう朝なんですね…。

 ハハハ…

 一睡もできませんでしたよ…。

 

 学校にて

「おぉ、友よ…おはよう」

「どうしたカレン⁈」

「あー、彼氏に…成瀬くんに…っ」

「えっ、カレン大丈夫?」

「ダメでゲス」

「…あー、かなりやばいね。どうした」

「か、彼氏が元カノがりっちゃんが…」

「えっ、落ちつけ!カレンは、美人なくせに

 天然だし、変な発言するんだから。それで

 彼氏の前でヘタしたか?」

「ううん…でゲス…ハハハ…」

 

 とりあえず一日かけて友達の友美にお話を

 聞いてもらい、少し勇気をいただいた。

 

 

 そしてついにバイトの時間

 バイト先で…

 

「あ…おはようございます…」

 って挨拶したら、成瀬くんが

「どうした?魂抜かれたか⁇」

 なんて頭ポンポンしてくるじゃありません

 かー‼︎

 

 おやめ…おやめください。

 そんなに優しくされたら辛い…。

 だってあなたの元カノ復縁を試みているの

 ですよ…。

 しかも、りっちゃん…。

 りっちゃんは、お姉ちゃんの大親友。

 私のお姉さん的存在でもある。

 そのりっちゃんと成瀬くんがーー‼︎

 

 バイト中たまに幻覚が見えた。

 成瀬くんとりっちゃんがあの…あのとろけ

 るようなキスを…

 

 イヤーー‼︎

 イヤイヤイヤーー‼︎

 

 頭をブンブン振った。

「どうした?犬の水浴びの後のマネ?」

「ちがーう…ぅ」

「じゃあ、どうした?仕事終わったらゆっく

 り話聞いてやるからな。どうしても仕事無

 理なら我慢しないで言えよ」

「…うっ、うん。ありがとう」

 

 やばい…。

 これ以上優しくされたら泣いちゃうよ。

 

 でも、なんとか頑張って乗り越えた仕事‼︎

 成瀬くんは、話聞いてくれるって言ってた

 けど、どう話したらいいんだろ…。

 

 りっちゃんが成瀬くんと復縁望んでるよっ

 て正直に言うべき?

 どうしたら…

 

「よし、帰るぞ!三上」

「うっ…うん」

 ドキドキドキドキ…。

 変な汗まで出てきたよー…。

 

「なー、三上」

「えっ、はい」

「なんで敬語…今日は少し寄り道してあの公

 園寄ろうぜ」

「う…うん」

 

 シーン

 誰も居ない公園…。

「で、どうした?」

 うっ…

 どうしよう…

 りっちゃんが復縁望んでるよって言う?

 それとも…

 それはりっちゃんが自分で言いたいかな…

 

 私が言うことによって成瀬くんに気を使わ

 せちゃうかな。

 

「あのー、友達がね」

「うん」

「友達の話なんだけどね。」

「うん」

「実は、その…彼氏がいたんだけど、別れち

 ゃって、もうその彼氏新しい彼女がいるの。

 でも、多分その…りっちゃ…あっ、友達は、

 元カレに新しい彼女いることしらなくて、

 復縁をのぞんでるの。」

「成瀬くん‼︎どうする⁉︎」

「えっ、オレ⁇」

「うん」

「オレならー…まぁ、別れた原因にもよるだ

 ろうな」

「なんで別れちゃったの⁉︎」

「ン?オレに聞かれても…」

「あっ、そうだよね」

「うん、まぁそれはさ当人同士に任せるしか

 なくね?」

「うん。そうだよね…私は、そしたら大人し

 く身を引きます」

「うん。身を引くってか、見守ってやればい

 いんじゃん?」

「あっ…そうだね。見守るか…」

「大丈夫か?今日はちゃんと寝ろよ」

 くしゃくしゃ

 頭をワシワシさてれ髪がボサボサになった。

 

 ハハハ…

 頭、鳥の巣ー

 ハハハ…

 直す気も起きないよ…

 

「じゃあ、ね」

「おい…髪くらい直せよー。どんだけ元気ね

 ーんだよ」

 さら、さら。

 

 成瀬くんが手ぐしで直してくれた。

 そしてまた頭ポンポンしてくれた。

 

 もう…頭ポンポンこれで最後かもしれない

 な…。

 

 続く。

 

 

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