成瀬くんとの定位置

「おはよ〜、成瀬く〜ん♡」

「あぁ、おはよ」

 

 んも〜。

 成瀬くんもハート飛ばしてよー‼︎って…

 無理か…

 休憩室に他の人居るし。

 

 成瀬くん…。

 私は、とにかくイチャイチャが大好きなの

 です。

 成瀬くんに向けてそう心の中でつぶやいた。

 すると成瀬くん

「あー…なんか今寒気したわー」

 なんて言い出した。

 

 ふんっ。失礼な奴め…

 私がこんなにあっつあつの視線を送ってい

 るというのにさっ。

 

 あ〜。

 ぎゅーしてほしーよー。

 私ったら欲しがりさん。

 

 バイトの休憩中

 な、成瀬くんと一緒!

 

 ジーっ

「ん?」

「あっ、いえ…なんでも…」

 

 ガタッ

 成瀬くんが急に立ち上がった。

 そしてテーブルに手をついて

 チュ〜ってしてくれた。

 

「えっ、なんで…あのっ」

 成瀬くんは、あんまり外でイチャイチャ好

 きじゃないんじゃ⁈

「おまえ、顔で要求し過ぎ」

 ええーっ。

 はっ、恥ずい…。

 でも、成瀬くんがキスしてくれた。

 フフッ。

 うれしい。

 

 バイト終わり

「さ、三上帰るぞ」

「は〜い。」

 付き合う前から防犯上一緒に帰ってた私達。

 

 でも、今は恋人として一緒に帰ってる。

 以前の申し訳ない気持ちから、今度は…

 今度は恋人としての緊張が。

 

「おまえって彼氏いた事あるんだよな?」

「えっ、うん。あるに決まってるじゃない」

「なら、なんでそんなにガチガチなんだよ」

「うっ…それは…」

「まー、オレがあんまりかっこよすぎって事

 だな」

 ムッ。

 正解だけどそれは言わないどこ。

「成瀬くんは、手慣れてるみたいだけど以前

 に交際してた人って…聞いてもいい?」

「あぁ、姉貴の友達」

 ええっ…

 歳上のおねーさん…。

 ってか、お姉さんいるんだ。

 

「成瀬くんお姉さんいるんだ」

「うん。妹もいる。」

「三上は?」

「私も姉がいる」

「ふーん。てっきり兄貴がいると思ってた」

「なんで?」

「だっておまえ…気が強いから」

「えっ、失礼な。私はか弱い乙女よ」

「あー、そうっすか」

 ムムゥ〜。

 

 いつのまにかもう家の前。

 あーあー…。

 もう着いちゃったー。

 

「じゃあ、送ってくれてありがと」

「おう」

「んっ」

 チュ〜の催促をしてみた。

 暗闇だし誰もいないしいいよねっ。

 ん?まだかな…まだかな。

 ワクワク。

 照れてんのか⁉︎

 って思ったら、

 カシャッ

「うわっ、眩しいよー。何?」

「あー、アホズラを写真に」

「ひっどーい‼︎」

「おまえさ、そんなところでキスなんかでき

 るかよ…二階から見られたら丸見えだろ。

 こっちこい。」

「えっ…」

 成瀬くんが手を優しくひいた。

 そして近所からも家からも見えない場所で

 私を隠すように壁の上の方に肘をついて優

 しくキスをしてくれた。

 うわー…。

 言葉とは裏腹にめっちゃ優しいキス…。

 や、やばい…。

 溶けてしまいそう。

 

 ドキドキ。

 

「じゃあな!定位置覚えとけよ」

「う、うん‼︎」

 

 成瀬くん…。

 もう私は、私は…

 成瀬くんにメロメロなんですー‼︎

 

 ガチャ。

「ただいまー」

「あら、お帰り」

「ウワッ!お、お母さん‼︎」

「何よ。人をバケモンでも見たみたいに〜。

 失礼しちゃうんだからっ」

「あぁ、ごめん…」

 

 さっきの見られてないよね…。

 うん。そうだよね。

 

 それから、お風呂に入っても牛乳をゴクゴ

 クのんでもあの優しいキスを思い出すと、

 とにかくほてる…。

 

 心臓がドキドキする…。

 

 うわー‼︎

 こんなキス初めてなんですけどー‼︎

 私…恋愛についてかなり上級者だと思って

 たけど、成瀬くんの前だとぜんっぜんだめ

 だ。

 

 好きになりすぎておかしくなったかも⁈

 

「ねー、あんたさっきから猫クッション抱い

 たり突き放したりしながら赤くなってるけ

 ど大丈夫⁈」

「あぁ、おねーちゃん。居たのね」

「うん。さっきからずっと。ってか、カレン

 が来る前からいるわ」

「あー…」

「あんた、好きな人出来た⁉︎それか彼氏⁉︎」

「あ、うん。彼氏」

「へー、おめでと!」

「うん!ありがとう‼︎」

「幸せな人もいれば失恋する人もいるんだね

 ぇ」

「えっ、お姉ちゃん失恋したの?」

「わたしじゃなくて、友達。」

「あー、りっちゃん⁈」

「うん。なんでわかった?」

「だってお姉ちゃんの友達って言ったら、り

 っちゃんしかいないでしょ。」

「それは、失礼じゃん?」

「あぁ、ごめん。ってか、なんで別れたんだ

 ろう」

「なんかさー、年下だったんだって。頼りな

 くて別れたんだけどやっぱり後悔してて、

 より戻すのにどうしようってさ」

「あー、なるほどねー。」

「二こ下なんだって。カレンと同い年だ」

「へー…」

 

 

 ん⁉︎

 

 ちょ、ちょちょいまてーい‼︎

 

 続く。

 

 

 

 

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