花が咲くまで初見月。

a letter

27. February

 小さな村の跡地を見つけた。

 滅びつつも、それなりに形が残っている。修復すれば、家も使えそうだった。

 この場所ならば、新しい生活をはじめることができるのではないか。そう思い、比較的しっかりしている家を修復することにした。


 この場所に留まることを決めたのは、どのようなきっかけだったか。

 建物がしっかりしていることもそうだが、他にもなにかあったような気がした。

 ここに滞在してから気にしている庭木がある。気温ではなく日照時間で花をつける木だ。

 その蕾が膨らんでいるのを、日に日に楽しみにしている自分がいる。


 花が咲いたらどうなるか。


 今年は何も起こらないだろう。

 だが、来年は。再来年は。


 叶うならば、子どもたちと花を見たいものだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る