第15話 この世界の宝石

 寝室で寝る準備をしていた。今日の魔物退治は苦い経験だった。まだまだ一人で魔物退治は無理だと悟った。

 ベッドの横にプレシャスが近寄ってきた。今日も宝石の話をしたい。いつもは元の世界にある宝石だった。今日は私の知らない宝石で語りたい。


「イロハお姉様の世界にある宝石を教えてくれる?」

「どのような内容が知りたいですか」

「最初はどのような使われ方をしているのか知りたい。元の世界では宝石と貴金属を使って、身につける品物にしている。ジュエリーやアクセサリーと呼ばれている。ジュエリーで着飾って魅力的に見せる。気分的にも嬉しくなる」


「似ていると思います。特に女性が好んで身につけているようです。稀少石なら権力の象徴にも使われます」

 魔法があって魔物がいるから、異なった使い方もあるかと思った。でも同じよう。

「着飾るために宝石があるのなら、目の保養ができそう。各地の宝石を探す。それだけでも旅ができそう」


「アイ様は本当に宝石が好きなのですね」

「ずっと見ていられるほど好きよ。とくに大好きなオパールは、見る角度や明かりで雰囲気が異なる。何時間でも見ていられる」

 宝石魔図鑑で写真を見るのも楽しい。でも実際の宝石には勝てない。現物が恋しくなった。胸に手を当てた。ペンダントを思い出した。元の世界にあった宝石だった。手にとって眺めた。


「やっぱり本物の宝石は何度見ても飽きない。イロハお姉様の加護が付加されているけれど、見た目はジュエリーそのものよ。元の世界で宝石はお守りの意味もあった。イロハお姉様の世界では、お守りとしては使わないの?」

 相手が宝石だと色々と知りたくなる。


「色つきの自素石がお守りの意味で使われます。魔法を付加できるからです。とくに属性魔法の耐性はお守りの意味合いが強いです。宝石にも魔法を付加できますが、ほとんど威力はありません」

「威力強化の自素石は、お守りにはならないの?」

 魔法付加は二種類あると聞いた。


「魔法が使えなければ利用価値はないので、お守りの意味は薄いです。魔法の補助として使われます。黒魔道士や白魔道士が、武器に威力強化の自素石を埋め込んでいます」

 宝石と一緒に自素石にも詳しくなった。黒魔道士や白魔道士の武器を見れば、自素石が埋め込まれているか分かる。色が分かれば、どの属性を強化したいのか読み取れる。


「私の宝石魔法は宝石が出現する。他の人から見れば不思議よね」

「言葉も含めて珍しいと思うでしょう」

「やっぱり私の宝石魔法は特別なのね。でも私には使いやすい魔法よ」

 心の中で思った内容が魔法に反映できる。使いやすく感じる大きな理由だった。宝石の特徴を使って見た目も工夫できる。宝石選びも楽しみになっていた。


「わたしも芸術のような宝石魔法が気に入っています。純粋な魔法効果だけでなくて、見た目にも素敵です。アイ様のこだわりが見受けられます」

「宝石だからね。見て楽しまないと絶対に損よ。今日もプレシャスと宝石を語り合えて嬉しかった。そろそろ寝ましょう」

 イロハ様と本物のアイ様に感謝しながら眠りについた。

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