第11話:適材適所が尊重される社会へ ③-1

そして、これらの行為が多発したとしても諮問機関は内部告発などを受けてもすぐには問題視する事無く、労災が発生するなど実際に労働衛生法や労働基準法などに抵触する事が発覚するまでは事なかれ主義を貫くのだ。そして、このように不当な扱いを受けた人たちは自己主張する事を許されず、仮に主張したとしても企業を擁護する動きがあるため、本人の精神衛生が侵される可能性があるにも関わらず、主張が正当だと判断をされるケースや発生事例に基づいた労働衛生上問題視される行為があったとしても即座に法令違反や。業務改善命令などを下す事はないし、そういう事が連鎖的に発生する事でその職場で働いている社員が連鎖的被害に繋がってしまう可能性があるのだ。


そして、私はこれらの行為を認めてしまう事で本来きちんと責任を負わせなくてはいけないケースの時に根折れする可能性があると思うし、本来は根折れさせてはいけないにもかかわらず組織側を守るために個人に対して不利益を被らせる可能性があると分かっていながら適正に処理をしないなど公正な判断が出来ないのだ。

その結果、不当解雇などに遭った人たちが不当解雇であると証明したとしても疑念が晴れる事はなく、逆に名誉棄損などで訴える事が出来てしまうのだ。


これらの社会構造のパワーバランスの不均衡により本来ならば十分に活躍できる可能性のある人材を潰してしまい、せっかくの逸材を社会から離れさせてしまうという最悪の結果を招いてしまうのだ。


 日本というのは自分たちに不利益が被るか、被らないか、自身の進退に影響しないかなど自己防衛を中心軸に考える事が多い。もちろん、正しい事をしているならこれらの疑念などは肯定的に捉えられるが、悪い事をしていて、自分だけ助かろうというのは自分の立位性や所属している組織などを利用しようと考えているのだろう。


 そこで、下の立場の人間に濡れ衣を着せて追放する事で自分の責任を逃れる事も可能となり、自分の働く環境を自力で改善させたという達成感を得ているのだろう。しかし、これらの行為を繰り返された事で連鎖的に拡大してしまうのだ。


 日本というのはどちらかというと上からやられた事が連鎖的に広がり、歪曲した行為が長期に渡って正当化されるという傾向にある。これは、海外に比べるとかなり後れをとっている。そのうえ、会社に対して寄与して当たり前、安く働いて当たり前になってしまった結果、雇用形態間で賃金格差や待遇格差が広がってしまい、弱者が苦しむという構図になっていく。つまり、魅力的な人材を採用したとしても退社スパンが短くなる背景にはこれらの永続的な問題が潜んでいるように感じるのだ。そして、自分よりも能力や考え方が上回っているなど自身の地位や信用を脅かすと思うとその人を除外したくなるのだろう。


 しかし、日本では年功序列などの立位ピラミッドが形成され、すでに一般化されているため、部下からは上司など目上の人に対して尊敬を持って接し、理不尽なことをされても我慢することを覚えているため、何か問題が起きたとしても労働基準監督署等に通告することをためらう傾向にある。また、たいていの労働問題などは大きな社会問題化することは少ない。そして、多くの場合は本人が自殺や過労死など本人が命を落としているケース、精神疾患の発症などすでに手遅れの状態になったケースになってから出ないと問題視されず、熱りが冷めてからその会社の問題としてニュースなどで順次取り上げられる。

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