乗鞍ヒルクライム その②
これまでの私だったら‥‥‥
目標にしたレースの為に時間を費やし、集中を向けて、良い状態で迎えられて、良い走りが出来そうだって思えていて、実際にベストを尽くせたにも関わらず結果が伴わなかったら、それこそ悔しさ満タンだったな、と思う。
そこに向かう意識が低かったり、練習が積めていなかったり、体調が悪かったり、思うように走れなかったりした結果だったら、自分の中で言い訳が出来る。
本当の自分の力はこんな物じゃないんだと。
人には言わなくても、自分を慰められるっていうのかな。
だけど、出来るだけの事をして、出来るだけの事が出来て、その結果だったら、それが自分の実力なんだと認めざるを得ない。
これ以上は無理って思ってしまったり、これ以上どうすれば良いんだと分からなくなってしまったり。
自分はそんな事を何度も何度も繰り返しながら、それでもやっぱり走る事が好きで、やりたい走りをしたかったから、何かを見い出し、止める事は出来ずに走り続けてきた。
悔しいという思いは、ステップアップの為の大切な感情の1つだと思う。
自分にとって一番の成長の糧になってきた感情だと思う。
だから今年の1戦目、2戦目を終えて、あまり悔しさを感じないのは悲しい事なのかもしれないという不安もあった。
もうこれ以上は望めないのかも、と。
だけど、今はそうじゃないと感じている。
悔しいという思いだけが、ステップアップの為の大切な感情なのではない、と。
全然、諦めてるわけではないし、何よりも今は楽しく走れている!
そんな思いが強い。
「結果が全てではない」とずっと思ってきたけれど、これまでは結果とそれ以外の事を切り離して考える事が出来なかった。
それが今回はちょっと違う。
ここ2か月間の取り組み、自分の中で○。
体調の合わせ方、○。
レースでの走りの感覚、○。
レース以外を含めたのりくらを楽しめたか、○。
レースである以上、一番求めていたタイムや順位は○ではないけれど、結果は結果で切り離して考えられてるっていう感じかな。
今の自分にとっては、結果に対する自分の中の言い訳を作れるよりも、練習が積めて、体調良くレースを迎えて、レースで今のベストを尽くせる事の方がずっと尊いって思える。
こうした感情の変化は、歳のせいなのか、今年たまたまそうなのか、分からないけれど、悪い物じゃないって今は思える。
何を求め、何を感じるか。
どれが良いとか悪いとかじゃなくて、その時々で違って良いのだと思う。
生きたい人生を生きる為に、結果が必要な時もあるだろう。
私がずっと大切にしている事。
一番好きな事に対しては、素直な自分の心を大切にして取り組みたいという事。
私にとっては自転車。
レースを走りたければ走るし、止めたくなったら止める。
勿論一時的な感情で決められるようなものではない。
これからも自分の心に素直に取り組んでいきたい。
☆
レースを含めた諸々の事、もう少し書きたい事がある。
ここでは2人の女子選手の事。
レースを終えてから前章で少し触れたキコちゃんとエルと、色々と話をする事が出来た。
2人共、日本を代表する現役のロード選手だ。
キコちゃんとは前日に会場で会えた。
「今回で乗鞍は最後にするかもしれないから、チャンピオンで走る事にしました」って。
最後にするかもっていうのは何回も聞いていたような気がしたので、それはどうかと思うけど、何かしっかりした決意がある事を感じた。
乗鞍に関しては、チャンピオンクラスは80分以内で完走できる自信があればエントリー出来る。
ただ、女子の区分は無く、これまでは女子は全ての選手が一般女子にエントリーしていて、どちらかを選択するという意識は無かった。
集団の中で走るのと一人で最初から最後まで走るのとでは、走り方もタイムも変わってくるけれど、キコちゃんならばチャンピオンで走った方が絶対にタイムは出るだろう。
2017年までは女子のトップは競れる選手がいなくて、ほぼほぼ個人タイムトライアル状態だった。
チャンピオンの中で自分がどれ位走れて、どれ位のタイムを出せるのか挑戦してみたいという気持ちはよく分かる。
そして彼女は素晴らしい記録を叩き出した。
1°05'02
レースの形態が違うので、女子の優勝タイムと比較は出来ないけれど、女子としては素晴らしい記録である事に変わりない。
「楽しかったです」
晴れ晴れとした笑顔を見れた。
この乗鞍で、やりたかったレースが初めて出来たんじゃないかな。
「おめでとう」の言葉を掛ける事が出来て、色々と話を聞けて嬉しかった。
エルは前回、前々回の優勝者でレコードホルダーになっていた。しばらく体調を崩していたような事を聞いていたし、ヘタに走る事はマイナスの印象になるだろうから、彼女は今年乗鞍を走るのかな? って思っていた。
だからエルの出場自体が嬉しかった。
今回、彼女は勝てなかったし、私は今回のレースのほんの一部しか知らないけれど、エルは本調子ではなくてもレースを自らメイクしていったんだろうなと思う。
それが彼女らしいし、気持ち良い。
三年前は一緒に走ったり一緒に過ごす時間が多かった彼女と、また色んな話が出来て嬉しかった。
ロード選手として同じ時代を走ってはいないけれど、今の時代を引っ張っているキコちゃんとエルにはまだまだ頑張ってほしい。
彼女達の頑張りが報われる場がもっともっと増えれば良いのになって思っている。
今後、乗鞍の女子のエントリーはどうなっていくんだろう?
今回、女子のエントリー数は177人。その中で今回80分以内でゴールしているのが13人。
もしこの13人がチャンピオンクラスと一般女子に分裂してしまうのは好ましいとは思えない。
2018年からは女子も先頭集団が形成されるレースらしいレースになってきているのだから。
今回90分以内にゴールしているのは32人。
例えば女子は90分以内で完走出来る自信がある人はチャンピオンクラスにエントリー出来て、その後ろに一般女子が並んで一斉スタートのグロスタイム(ヨーイドン! でタイム計測開始)。
表彰はチャンピオン女子の部と一般女子の部に分けて行うようにしたらどうだろう?
今年のチャンピオンクラスと一般女子クラスの人数が同じようなものだから、問題ないんじゃないかな? と思ったりしている。
個人の意見で提案できるものじゃないけれど、そういう意見が集まれば、提案できるかな? とも思っているので、ご意見などあれば聞かせてほしいです。
(ん? こんな所に書いても仕方ないかな。この事は少し考えてみます。)
さて、また長くなってしまったので、次章でレースの事を書いて、乗鞍を絞めようと思う。
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