二節「リト大陸上陸」

リト大陸では風神がいる国、ロウラス以外にもいくつかの国が存在している。というのもロウラスだけでは内戦やほかの大陸の侵略者に対抗するのが難しいと判断されたためだ。そのため旅人や観光客は通行手形が必要になっている。だから俺は真っ先に馬と通行手形を手配しようと思い受付に行く事にした。

「すいません。通行手形と馬の手配って出来ますか?」

「通行手形と馬ですね。通行手形の発行は五分ぐらいです。馬の手配はあちらの専用受付になります」

「分かりました、ありがとうございます。とりあえず通行手形の発行をお願いします」

「かしこまりました」

淡々と会話を済ませて通行手形を受け取りすぐに移動する。


また、別の受付にて。

「すいません。馬の手配をお願いしたいのですけど」

「わかりました。通行手形の発行は済ませてますか?」

「はい。これですよね」

「ありがとうございます。確認しますので少々お待ちください」

待ち時間の間、周りを見渡す。ここの港町は大きく、貿易が多いだけあり船も多く、馬車も多い。電力供給はできているみたいで街頭や店の電気などは問題ないのだろう。

「粒子魔法が普通の世の中でも使えない魔法は科学技術で補うしかないもんな」

そんなことを考えていると馬を連れてさっきの受付の人がきた。

「お待たせしました、お客様。この先の旅に神々の加護がありますように」

お辞儀をしてお礼を言い、連れてこられた馬の荷物袋に荷物を入れる。

「街を出るか。確かロウラスまでの道のりは・・・二つ街を抜けるのか」

地図を見ながら確認し、すぐに行くことにした。


移動し続けて3時間程が経った。水の補給やテントの購入、馬を休めるために近くの街へ寄っていたのだ。休憩中にある話が聞こえてきた。

「なぁ、聞いたか?また、ロストシティの方からまた機械化魔物が出てきたらしいぞ」

「また?もうやめてくれよ。ただでさえ近年魔物の凶暴化に困ってるのに機械化魔物まで出てきたら俺ら生きて行けるかな?」

「この地は風神様と地神ちしん様の加護があるから大丈夫だって、それに魔獣も出てきてないしな」

「まぁ、神殿の守護竜もいるし大丈夫だよな!」

機械化魔物。聞き覚えがある。どこで聞いたのかは全く覚えてないが、俺の過去に何かしら関係していると考えながら食事をしていた。


日にちを跨いで移動を再開する。休み休みで移動を続け、気がつけば二つ目の街に着いていた。

「お疲れ様。ありがとな」

馬を受付で返してあとは歩いて行こうと思った。理由は次の街がロウラスなのと、近くにある森の中に風の神殿があるからだ。森の中に馬を置いて行くなんて事は出来ないため歩きで森を探索することにした。休む為に宿屋に行き、部屋を借りてその日はすぐに眠った。


次の日。

朝早くから宿を出て歩みを進める。

「長居しても変わらないからな」

そんなことを言いながら歩き、街を出て森に入る。日の出の時間だからか、森は暗く感じる。でも方向は手持ちのコンパスで大体わかるから大丈夫だと思う。


森の中を歩きつ図けて数時間後、ある異変に気が付いた。

「ん?さっきまで鳥が鳴いていたのに静かになったぞ」

刀を抜刀し、周囲を警戒する。近くの木々が揺れ音がした方向を見ると少し大きめのアルダマラが出現した。

「魔獣か。やはりこの森は数匹の魔獣と魔物の住処になってるのか」

仕掛けられる前に早々に仕掛け決着をつけようと前進する。俺の刀をアルダマラは牙で食い止めるが、あの時より力が強くなっているため、そのまま口を切れたのだ。それでもアルダマラはビクともしない。それどころか身体が変化している。魔獣の性質上、成長し続けるのは分かるが、狂化は初めて見た。ならこちらは『粒子探知』を行う。粒子探知は粒子が最も集まるところを見るものだ。どの生物も粒子から構成されているため、粒子が最も集まっている所が必ずあるはずだ。わかりやすく言うなら『心臓を破壊する』といえばいいのだろうか。

「見つけた」

粒子を集め粒子斬撃を放つ。それと同時に俺はアルダマラの背中に乗り前脚を浮かせ粒子が全身に入るようにする。案の定、その攻撃で辺りに血しぶきが飛ぶ、それでも死なないと思った俺は背中から刀を刺す。そうするとアルダマラは倒れ動かなくなった。


その後も、何度か魔物と戦闘をして、ゴブリンが拠点としていた洞窟で一晩を過ごす事にした。周囲にあったゴブリンの死体を処理して自分の寝床にする。弱肉強食と言われる世界で、こうやって戦い抜くのは少しだけ気分が悪い。だけど、こうしないと生きていけないのが事実だ。どうも、殺すことに躊躇いが無くなっている。この世界を知らない普通の人間にはもう戻れないだろうな。

「はぁ、殺るか殺られるかか。生態系にいる以上、こればかりはね」

そんなことを言い寝ようと思った。明日は神殿探しに本腰を入れるか。


to be continued…

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