第17話/父の弟

 トム隊長がやってきて、ギルドの一室に連れてこられる。アレクサンドロスは一度部外者だからと断ったが、一緒に住むのだからといって連れてきた。

 家に不審者なら、一緒に住むには聞いて欲しいからだ。


 部屋の中には職員のフランさんと銀輪旅団のフランさんがいた。

「フランさん」

 トム隊長は穏やかに頷く。

「そうか、ジャックは知っていたか」

「何をですか?」

「5段冒険者のフランはお前たちの叔父にあたる」

「そうなんですか!?」

「叔父さん?」

 赤毛だから、母さんか?

「はじめまして。カークです。叔父さんはお母さんのご兄弟ですか? お父さんのご兄弟ですか? 家の部屋数から大家族だったのかも。とは思っていたのですけど、他にもご兄弟はいますか?お祖父さんやお祖母さんはご存命でしょうか?5段冒険者って

「カーク!」

 ジャックは質問攻めにするカークの口を押さえた。

「カーク。質問は一つずつにしなさい。フランさんが答えられないだろう? とりあえず、何が聞きたいんだい?」

 トム隊長はカークに目線を合わせて諭す。さすがは育児経験者だ。

「一つ。一つ……フランさんは、どちらですか?」

 しまった。職員のフランさんも初対面だ。

「俺が叔父のフランだよ」

「……ん? どちらですか?」

 あれ?

「いや、カーク。叔父さんだって言ってるじゃんか」

「あ、ああ。違うよ。多分、カークはどちらのご兄弟かを聞きたいんだよね?」

 カークはコクリと頷いた。

「それならそうと言えよ」

「う。そうだけど、冒険者のフランさんは一人でしょう?」

 確かに、5段冒険者のフランさんが叔父さんって言ったわ。

「俺は君たちのお父さんの弟なんだ。二人とははじめましてだな。よろしく」

 あれ? 父さんの方なんだ?

「「はい。よろしくお願いします」」

「今日からふたりのいえでいそーろーします。アレクサンドロスです」

「よろしく、アレクサンドロス」

 トム隊長は頷くと、カークの頭を撫でて話す。

「よし。顔合わせも終わったことだし、この子たちのことをお願いします。さあ、チャック。見回りだ」

「「ありがとうございました。トム隊長」」

 二人は部屋から出て行った。

「さ、帰ろうか。叔父さんは? 家に来ますか? それとも、宿をとっていますか?」

「今日はニジマスの塩焼きと根菜スープにカブの酢漬けの予定です!」

「根菜スープ?」

「お城の厨房で作り方を教えてもらったの! ニジマスは買って帰るよ。あ、買い物、手伝ってくれる?」

「おぉ。もちろん」

「おれんちのにぐるまがあるから、まだつめるぜ。ちからじまんのおれにまかせな!」

 騒がしい子供たちにフランは笑う。

「よし、しばらくは実家に寝泊まりするよ。仲間にちょっと話をつけてくるから、話してな」

「「「はい」」」

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転生兄弟(兵士の息子達) 夜山 楓 @gard1

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