アイン・ミレニア

 Side 天王寺 ゴウトク


 =避暑地極秘区画内・空中戦艦ブリッジ=


 まさかミレニアの連中――この機会に乗じてワシを消しにきおったか!?

 そう思った矢先に次々と入口に奴達のパワーローダーが入り込んでくる。


 そして艦内のメインモニターにある人物が映し出される。


『天王寺 ゴウトク。貴方はいい道化でした。ですが貴方の出番はここまで。ここで退場してもらいます』


「ま、まて!!」


 そしてブリッジの先にパワーローダーが並び、此方に銃口を向ける。

 同時に黒と金の機体が割って入った。



 Side 谷村 亮太郎


 まさか大量殺人者のクソ野郎を助けるためにこの刃を振るわないといけなくなるなんてね!!


 まあ、そうしないと落としどころの無い戦争になるから仕方ないのさ!!


 本当に納得いかないけどね!!


 それはそうと――ゴウトクが脱出に使おうとしていた空中戦艦はボロボロだ。


 マトモに飛び立てる状態じゃないだろう。


 逆に考えれば戦艦の形をした檻と言う状態だ。


 ともかく天王寺 ゴウトクを助けながら刃を振るわないといけない。



 Side 木里 翔太郎


『敵が退いていく――』


「なんだったのかしら?」


 全くだ。

 谷村さんにキッチリ説明を求めないと。

 それはそうと――


『お前らまだやるつもりか?』


 赤、青、黒の3機と向かい合う。


『いいや、引き際は弁えている。投降しよう――ゴウトクもイチゼンも捕まったみたいだしな』


 リーダー格と思わしき赤い機体が言う。


『そうか――それであいつらに心当たりは?』

  

『無いね。正直君らの方が詳しいんじゃないか?』


 と返された。

 確かに谷村さんに心当たりがあるようだ。


 

 =空中戦艦・レギンレイヴ、シグルドリーヴァ周辺=


 天王寺 ゴウトク、天王寺 イチゼンの捕縛で戦いは終わった。

 だが谷村さんに聞きたいことがあった。

  

「早い話がこの世界大戦の黒幕さ。名前はアイン・ミレニア。一つの千年王国――世界征服目論む悪党みたいな認識で構わないよ」


 続けて谷村さんはこう言った。


「同時にこの世界大戦の黒幕であり、世界を裏から操る影の支配者でもある」


「まるで都市伝説みたいな連中だな」


 俺はそう言った。

 本来なら冗談だろと言いたいが――そう言う雰囲気ではなさそうだ。


「奴達を倒さない限りは再び世界は歪められ、新たな争いが起きてしまう――僕はそれを探りに一旦欧州まで行ってたんだ」


「成程――」


 と、藤崎さんが納得したように相槌を打つ。


「で、居場所は分かってるのか?」


 今度は荒木さんが尋ねた。


「ああ。場所は分かっている。ここと同じ人工島らしいぐらいしか分からないが」


 との事だった。


「敵の規模は?」


 加々美 瞬が質問する。


「所詮は一武装勢力だ――とは言いたいが、様々な勢力に伝手がある。天王寺 ゴウトクもその伝手の一つだ。最終的にどれぐらいの規模になるかは不明だ」


 続けて谷村さんはこう言った。


「ここから先は命令じゃない。激しい戦闘が予想される。よく考えてから行動してくれ。猶予期間は――」


「最後まで水臭いですよ」


 藤崎さんが谷村さんの言葉を遮る。


「ここまで来たのよ。準備が出来次第、殴り込みに行くわよ」


 と、サエが言った。


「皆はどうかしら?」


 サエの呼びかけに次々と賛同の声が上がる。

 

「分かった。だけど準備は必要だからどうしてもその時間は必要なのは分かって欲しい」


 谷村さんのその言葉で話は締めくくられた。

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