終章:人の意思、人の未来
一つの千年王国
Side ネロ
僕はネロ。
本名ではない。
代々そう名乗っている存在。
そしてアイン・ミレニアの総帥でもある。
全てはこの世界を一つの王国に変えるために。
だけど邪魔者がここ、「エルドラド」に向かってきている。
それを阻止しなければならない。
だから僕は騎士達とその隊長達に告げる。
「アイン・ミレニアの王であるネロが告げる。ここに迫りくる敵を排除せよ」
皆が「仰せのままに、国王陛下」と傅く。
☆
Side ヴァン・テスタロッサ
=空中戦艦 ヴュリンヒルド、ブリッジ=
「そうか、奴達の本拠地が姿を現したか――」
アイン・ミレニアの本拠地が浮上する。
どうやら勝負に出たようだ。
世界を統一し、千年王国を作るために。
浮上した場所は太平洋の海。
間違いなく彼達を狙っているな。
☆
Side 谷村 亮太郎
まさかこんなに早く仕掛けてくるなんてね。
こっちはまだ準備が整っていないのに。
それにしても本拠地のエルドラド――
避暑地がリゾート地を無理矢理軍事要塞化したような場所なら、エルドラドは純粋な巨大軍事要塞だ。
そして王であるネロも全周波帯、あらゆるメディアでその姿をさらした。
一見するとただの着飾った少年だ。
傍にいる宰相らしき人物の操り人形だろうか。
☆
Side ネロ
『僕はネロ。
この世界を統一し、王として君臨する者だ。
もしも意を唱える者がいればそれが何者であれ、容赦はしない。
例えどんな大国であってもだ。
それに意を唱えるならこのエルドラドに来るがいい』
☆
Side 木里 将太郎
=避暑地・レギンレイヴ艦内=
「世界中に奴達の軍勢が現れただと!?」
俺は驚いた。
世界中にミレニアの部隊が展開していたらしい。
日本も例外ではなく、日本各所でミレニアの部隊と戦闘が始まっているようだ。
「中にはミレニアに呼応した部隊もいるそうよ――」
「まさか本気で世界征服を――」
世界征服。
昔の悪党が使っていた単語。
創作物でもダサいと言われていた使われなくなった言葉が現実の脅威となって立ちはだかる。
「急遽エルドラドに向かうそうよ。世界中に部隊を展開している今がチャンス。それを逃せば――」
「文字通りの賭けだな――」
「どの道、これで正真正銘、最後の戦いになるわね」
「ああ行こう――」
俺達はエルドラドに向かう事になった。
☆
Side ネロ
今僕は大量殺人を行っている。
世界中の大国、小国、軍事力を持つ全ての勢力に攻撃を仕掛けている。
だけどやらなければならない。
世界は一つにならなければならない。
それがアイン・ミレニアの王としての使命であり、僕の望みなのだから。
でなければあの世界のようにやがては腐り落ちて滅んでしまうから――
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