比良坂市決戦その2

 Side 天王寺 イチゼン


 何故だ?


 何故こうも思い通りにならない!?


 おかしいだろ!?


 クソ、クソ、クソ!!


 どいつもこいつも舐めやがって!!


 味方も役立たずだし!!


 今度こそ全員ぶっ潰してやる!!





 Side 木里 翔太郎


 敵は多いが正直負ける気はしなかった。

 

 士気は明らかに此方が高いせいもあるんだろう。


 今は態勢を建て直して反撃の準備中。


 竹宮高校、比良坂学園チームの役目はその時間稼ぎだ。

 

 和泉 ツカサ先生と牛島 ミクさんはコンビを組んで地上の近付く敵を粉砕。


 相川 タツヤと豊穣院 ミホさんも空中で敵のパワーローダーや戦闘ヘリなどの迎撃に当たっている。


 俺と手毬は友軍の救出だ。

 

 敵はもう形振り構わず味方ごと吹き飛ばすつもりらしい。

 

 自衛隊は憎くないと言えば嘘になるがこれはもう戦争でもなんでもない。


 権力を利用したただの虐殺だ。

 

 それを見過ごすほど落ちぶれちゃいない。


 手毬 サエも同じ気持ちのようか一緒に傍で戦ってくれている。



 Side 荒木 将一


 戦いの流れが変わった。


 加々美 瞬も同じように感じただろう。


 他の面々は防衛戦を再構築、敵の手に警戒しているチーム。


 俺達、突入チームは陽動チームだった部隊と合流しつつ降伏した自衛隊の救助に当たっている。


 それにしても敵の数が多い。


 どこぞの大国がバックで軍事支援でもしているのだろうか。


 そうとし考えられないぐらいの物量だ。


 それを考えるのは後にするとしても皆同じ気持ちだ。


 三人娘、本野 真清や愛坂 マナ、朝倉 梨子も空中に地上にと俺の周囲を守るように頑張っている。


 三人とも見事な連係プレイで次々と近付く敵を落としていく。


 たぶん俺に良いところを見せたいとかそんな気持ちだろう。


 それを見ているとこう――早いとこ答えを出さないと――なんだか罪悪感湧いてきた。


 今は戦いに集中しよう。





 Side プレラーティ博士


 レギンレイヴ艦内で指揮を執りながら戦況を整理する。


 態勢も大分整い直してきた。

 

 あと数分もしないウチに戦闘続行可能になるだろう。


 降伏した自衛隊も敵の指揮官がとんでもない馬鹿なせいで次々と此方の味方になってくれる。


 形振り構わない手段を使いまくると何かしらの代償がついてまわるんだね。


 まるで末期の独裁国家のようだ。


 連戦になるが――


 相手は思い知る事になるだろう。


 装備が良くて数が上なだけでは戦いに勝てる程、戦争は甘くないことを。





 Side 天王寺 イチゼン


『敵部隊攻勢!!』


『陸上戦艦一隻轟沈!!』


『左翼の部隊が劣勢!! このままだと崩壊します!!』


『右翼も敵の攻勢苛烈!! ダメです!! 敵の攻撃が――』


 次々と聞きたくない報告が飛んでくる。


 怒りで頭がどうにかなりそうだ。


『こうなったら全ての予備選力を投入する!!』


 と、俺は決断する。


『りょ、了解!! 全戦力投入します!!』


 まるで小型の陸上戦艦のようなパワーローダー「ベヒモス」数体。


 オマケだ。無人パワーローダー部隊も投入する

 

 正直こんな場所で使う事になるとは思わなかった。


 だが俺を怒らせた罰だ。


 この際だから全部投入してやる。 





 Side 和泉 ツカサ


 アインブラッド・フルアーマータイプ。


 初期のアインブラッドに改良咥えた物だ。

 純白の増加装甲+外付け式ブースター。

 二連装シールドビームライフル。

 右肩のキャノン砲。

 左肩の多用途センサー。

 

 牛島 ミクさんは桜色の桜花。

 手毬 サエのとは違い、背中にフライトユニット、フローターを付けただけのタイプ。

 もう性能的にキツイにも関わらず腕が良いのか頑張っている。

 俺も負けてられない。


 傍には豊穣院 ミホさんの純白のパワーローダー、ルナがいた。

 特殊な粒子制御で空中を泳ぐように自由自在に飛び回り、敵の航空戦力を圧倒していた。

 

 相川 タツヤはアインブラッド・ウイング。

 木里 翔太郎のアインブラッド・レイヴンと同じシリーズと思われる。

 背中の翼型のバインダーが特徴で空を飛び、左手にシールドを持ち、右手に持ったバスターキャノンで一気に敵を纏めて粉砕している。(火力が高すぎるので違う兵器を持つことも多かった)


 殺し合いの中で、命のやり取りをしている最中にこう思うのは不謹慎だけど、学生時代に帰って来たように感じた。





 Side 加々美 瞬


 後方ではアンナさんを初めとしたチームが支援射撃をしてくれています。


 近くでは荒木 将一のブラックウォーリアーは勿論、自分のバレットウォーリア―も様々な銃器を使って戦闘を継続しています。


 更に周囲には本野 真清さん、愛坂 マナさん、朝倉 梨子さんのパワーローダーが飛び回っている。


 僕と将一さんもそうだが全員ブラッド・リアクター搭載型だ。


 本野 真清さんのアインネクスト。

 緑色の万能型の機体。

 両肩のシールドが特徴的だ。

 防衛に回っている、竹宮高校と比良坂学園の人達で運用されているアインブラスターの元になった機体だ。

 いわゆる先行量産期、試作機と言える。

 武装は標準的だが、他の二人を上手くサポートしつつ着実に戦果をあげてる。 


 愛坂 マナさんのアインブラッド・セイバー。

 白と青の近接戦闘型のアインブラッド。

 普段の彼女からは想像も出来ないが接近戦の素養があったようだ。(それが不幸か幸運だったかは分からないが)

 今は大きなバスターソードで斬るスタイルで今も戦い続けている。

  

 朝倉 梨子さんのアインブラッド・ガンナー

 白と緑のアインブラッドで愛坂 マナさんが使用している機体の兄弟機でもある。

 肩の緑のバインダーや頭部のセンサーレンズも特徴である。

 狙撃戦仕様で癖が強いが難なく使いこなしている。時折、ビームライフル、カービン、ピストルなども使っている。

 

 ・・・・・・本当に皆さん成長したなーなどと思うのでした。




Side アンナ・ハサウェイ。


 私はアンナ・ハサウェイ。


 使用するパワーローダーは本野 真清が使うアインネクストの派生機、アインネクスト・バスター。(カラーは緑。ブラッド・リアクター搭載型)だ。


 ハサウェイと言うせいでちょっと色々と弄られてしまいますが、その元ネタと同じく場の流れに身を任せたとは言え、テロリストになってしまいました。


 主に防衛戦を構築してもっぱら指揮を執っている状態です。

 何度も修羅場を潜っているせいか比良坂学園の皆さん(生徒)も手慣れた物であり、機体も新型のアインブラスターで竹宮高校の皆さんと一緒に暴れ回っております。

 

 私もビームスマートガンで敵の陸上戦艦のブリッジや砲台を遠距離から消し飛ばしたり、敵の戦車や戦闘ヘリを打ち落としたり、パワーローダー狙撃して灰に変えてます。


 荒木先輩から留守を任された時からそんな感じの生活を続けていたら周りから「撃墜王」、「比良坂学園の女帝」、「比良坂学園の死神」、「狙撃王」など様々な二綱を頂く事になりました。


 ちょっと誤算です。


『いや~まさか軍人さんが混じっているとは言え、学生だけの愚連隊でここまで戦えるとはオジさん思ってませんでしたわ~』


 などと自分をオジさん呼ばわりしている女の沙織部長が灰色のパワーローダー、プロトウォーリアー実戦配備型(荒木 将一、加々美 瞬が使用する機体のプロトタイプ)で暴れながら言ってます。


 沙織部長の言う通り国家相手にまさかここまで優位に事を進められるとは思っても見ませんでした。


 戦争は普通、国力、軍事力がある方が勝つんですが、それだけでは決まらないんですね。 


「皆最前線で暴れ回ってるね~」


『ユカリは最前線に行かないんですか?』


 橘 ユカリ

 小柄な金髪ツインテールの少女で小悪魔的な性格。

 今はネイキッドローダー桜花のフロータータイプ(牛島 ミク仕様機の同型タイプ)を身に纏って戦ってます。

 

「振り払う火の粉は振り払うけどヘタに行動して皆に迷惑を懸けたくないしね。敵も形振り構わなくなってきてるし連携が大事だとユカリは思うの」


『なるほど』


 ユカリの言い分も一理ある。


 敵は大量破壊兵器を阻止され、陸戦型モビル○ーマーのようなシルエットのパワーローダーを数体。


 更には無人機と思われる高機動のパワーローダーまで出しています。

 また敵の隊長機のガードを務める高性能機や黒鬼隊なる特殊部隊も出張ってきて正念場になっている状況。


 ここまで兵力を投入してヴァイスハイト戦は大丈夫なのかちょっと心配になって来ますが、だからと言って戦わないと言う選択肢はある筈もなく。


 私は武器を向けるのでした。

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