安否確認

食堂に全員が集まった。

席は元の客人の人数と同じ10席。幸い友人を殺された彼も負のオーラはすごいがちゃんと食堂に来ていた。管理人は死んでしまった彼の席は残したまま、厨房から別に椅子を出してきて端に座った。


全員が席に着いたのを確認して、私は話し始めた。


「えー、まず、他の方々に何事もないことが確認できました。管理人さん、ここにいる人たちで今この旅館に泊まっている人は全員で合っていますか。」

「はい、合っています。本日私がロビーでお出迎えした方々なので、顔も覚えております。」

「ありがとうございます。では次に、今日この旅館に来てから怪しい人物を見たり、危険な目にあった人はいますか。」


しばらく待ってみたが、誰も発言しなかった。


「いないようですね。これからの流れですが、ひとまず警察が来るまで食堂で皆さんで待ちませんか。まだ早朝で眠い中申し訳ないですが、どこに危ない人間がいるかわからない中、一人でいるのは危険だと思います。どう思いますか。」


「俺は賛成です。一番安全だと思います。管理人さん、もう警察に連絡はできていますか。」

「すみません、彼を食堂に連れてくるのに時間を取られていました。今すぐやります。」


赤城くんに促されて管理人が電話を掛けに行った。


「そういえば、気が動転しててまだ警察にも連絡入れてませんでしたね。」


そう口を開いたのは階段ですごい量の荷物を運んでいたお嬢様だ。


「そうでしたね。とりあえず管理人さんが警察と連絡が取れれば、警察からこれからの行動について指示があるかもしれません。帰ってくるまで待ちましょう。」


そう私はその場を締めた。

みんな顔が酷く強張っている。誰のことも信じられないといった状況だ。


しかし、管理人はなかなか帰ってこなかった。


「ねぇ、まさかとは思うけど、彼大丈夫よね。彼もこの旅館のどこかに潜んでた犯人に何かされたり…そんなことないわよね。」


日本庭園で話した女がヒステリック気味にそう言う。


「たしかに、少し遅くて心配ですね。皆さんで探しに行きますか。鍵がなくても裏に入れるのかわかりませんが。」


ガタイのいい男がそう答える。


しかし、どうするか悩んでいると管理人は無事に帰ってきた。何ともなかったようだ。

しかし、彼の表情はいつもに増して暗かった。

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