第1の殺人
廊下に出てみるとちょうど何人か廊下に出てきた。
「何があったんですか。」
1人の女性に聞かれる。
「今日の夜から男性が1人行方知らずだったそうです。とりあえず声が聞こえたのは一階ですよね。行ってみますか。」
私がそう呼びかけると周りの人達も賛同した。
一階に降りてみるとまた悲痛な声が聞こえてきた。その声はおそらくお風呂場からのようだった。
おそるおそる近づくと男湯の方で話し声が聞こえた。
「どうしました。大丈夫ですか。」
その場にいた中で一番ガタイのいい男性がそう呼びかける。
「あまりご覧にならない方がいいかもしれません。事情は後で説明しますので。」
管理人が答えた。
みんなどうしようか迷っていると、今日小さな日本庭園で話した女性がそのまま男湯に入っていった。
残されたメンバーも少し顔を見合わせていたが、全員結局中に入ることにした。
「みなさん…。」
「きゃっ。」
「…どういうことですか、これは。」
なかなか異様な光景だった。脱衣室を通り過ぎて、浴室に入ると温泉がはってある風呂場の隣に3人はいた。
結局全員入ってきてしまったことに管理人はこちらを向いておどおどしている。
その隣でしゃがみ込み、ある人を抱えているのが先程友人を探しに行った彼だ。
そしてその彼が抱えているのが…やはり昼間に彼とロビーで口喧嘩をしていた人だった。
しかし顔は真っ白になっていて、全く動いていない。全身は濡れていて少し皮膚がふやけているように見える。
「その彼は…どうしたんですか。」
「…死んでる。」
ガタイのいい男がそう聞くと、意外にも冷静に死体を抱きかかえた彼は答えた。
「犯人はこの旅館の中にいる。」
一瞬でその場が静まり返った。
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