第52話 クリスマスが普通じゃない?

 待ちに待ったクリスマスが始まった。

 朝からケーキを作る嫁、冬休みの宿題をやる娘達、快と華菜はクリスマスツリーの飾りつけを行っている。まぁ飾りつけをしてるのは華菜だけで、快はただ見ているだけ。

 今日の為だけに嫁が買ってきた2m程のモミの木に色々な装飾が施されていき、頂点にはしっかりと大きい星が飾られている。


 ケーキ良し、聖樹良し、チキン良し、そして肝心なサンタさんからのプレゼント。


「パパ~サンタさんなにもくれなかった....」

「どうしてだろうなぁ...もしかして何か隠し事とかしてないか?」


 俺の問掛けに対し一瞬肩をびくつかせると真衣は俺について来てと言う。

 あ~これは何かあったのか...。

 真衣と由衣の欲しい物は【力】だが、当然渡す事は出来ないので、俺と嫁はある秘策を思いついたのだ。

 悪事の吐露、プレゼントを貰えなかったのは何か悪い事をしたんじゃないか?と娘達に揺さぶりを掛ける事で娘達の口からやってしまった悪い事を白状させる。


 俺は裏庭まで案内され俺は驚くべきもの、いや...どうでもいいものを見させられた。


「ごめんなさい...」


 そこには最近嫁が趣味で作っている鉢植えの破片が分からないように隅っこに隠されていた。

 趣味で花を育ててたなら嫁には気付いて貰いたかった所だが...真衣が自分で言うなら良しとしよう。


「壊しちゃったらすぐに伝えるんだぞ?いいな?」

「うん...ごめんなさい...」

「サンタさんからのプレゼント来年は貰えると良いな」


 なんて言ったもののプレゼントはしっかりと用意している、サンタさんにお願いした欲しいものは貰えないが、親からのプレゼントはある、何故なら、親はサンタさんではないのだ、欲しい物の内容を知らなくても、それは仕方のないこと...。


 ただの言い訳になるかもしれないが、異世界人たちのプレゼントのレベルが違うのだから余計悩んでしまったのだ...聖剣やら神器なんて俺らに用意できる訳が無い。


 その結果、真衣と由衣には多機能文房具入れだ。

 小さい頃はこういうものに憧れたなぁ~なんて思いを馳せながらこれを思いついた訳だが、用意すると嫁が言って異世界に行ったので、不安しかない。


 快にはかっこいいぬいぐるみだ。

 ドラゴンは男の子の憧れなのだから。

 華菜にはかわいいぬいぐるみ。

 なんとなくで決めたが、モフモフがモフモフを抱きしめる様はかなり微笑ましい。


 多機能文房具に多少の問題が発生したが、クリスマスは上手くいった。

 上げたプレゼントは喜んでもらえたし、ケーキもチキンも食べた。子供達は美味しいものを食べ、新しい物を貰い、満足したのか眠りにつく。


 クリスマスは至って普通のクリスマス。

 子供達が眠った後、それは起きた。

 白く小さくて儚い....今年の初雪だ。

 明日積もってると良いなぁと願い俺と嫁はひっそりとお酒を嗜み眠りについた。


 俺と嫁だけのホワイトクリスマスは特別だった。

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