第47話 運動会が普通じゃない その2

 午前の部の感想を言い合いながら一家団欒していると午後の部の主役達が颯爽と登場する。

 ほとんどが懇親会で会った事がある人達だが所々見た事の無い人もいる。

 明らかに動物を擬人化させたような子が何人かいる。


「暇な奴は全員集めてきたぞ」


 白銀の髪を靡かせる覇王様は何の気なしに嫁に報告する。

 一体嫁はどのような立場だったのか聞きたくなるが...まぁ聞いてもどうしようもないので、野暮なことはしない。


 昼食を食べながら異世界人たちの運動会?を眺める。

 最初は100m走。

 スタートの合図は野口先生がピストルを鳴らし、ゴールは押しボタン式でシーラと呼ばれている人が秒数を計測している。


 マジで何も見えない。

 子供達ですら動きが見えない。0.000001秒という記録が初回から出ているが...どうゆう事なのだろうか...むしろそれを判断している人が圧倒的に化け物と言うか...。


 懇親会でペロペロキャンディーを盛大に毛まみれにしたドジっ子そうな子ですら、目にも止まらない速さで走り抜けた。

 そんな、何も見えないレース見ていて楽しいかと言われれば、あまり楽しくは無い。

 だが...まさか、嫁もその化け物連中と同等の速度で走り抜けた事に驚きを隠せない。

 ドミナミさんも例外ではない、何がとは言わないが、千切れてしまわないか心配ではある。


 次の競技はドッチボール。

 運動会の種目としてどうなのかと思わなくも無いが、ハイレベルな戦いを見れるのであれば...と深く考えないようにした。


 覇王様と混沌の神様の2人に対するは、それ以外の参加者だ。

 それぞれの親子にドミナミさん達を加えた計20人が覇王様と神様に襲い掛かる。


 特別ルールでボールは最初から三つ。例え覇王様たちのチームでボールをキープしたとしても相手チームにもボールがある事になる、それも相手は20人、油断はできないはずだ。


 審判は先程と同じくシーラさん。

 試合開始時に混沌の神様が相手を挑発する。

 人差し指でクイクイッと招き不敵に笑って見せる。


「さぁかかってこい。覇王が二人で相手になってやる」


 対する20人は全員が本気モード。

 殺し合いをしてるかのような雰囲気を醸しだしている。

 最初からボールを所持してるのは愛菜さんとゼルセラさんと...嫁??

 あいつしれっと参加してたのか...。


 そして戦いの火ぶたが切って落とされた。

 開幕から激しい攻防を繰り返す両者。


 だが、異変は早々に起こった。

 覇王様と混沌の神様が投げたボールは相手に届く事は無かった、それが何故か...それは相手に到達するまえに爆ぜてしまっているからだ。


「ッチ!脆いな」


 一体どれ程の力で投げればボールが爆ぜるなんて事になるのだろうか。

 もっとも...普通じゃないのは確かだ。

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