第43話 お泊り会が普通じゃない その5
晩御飯を食べた後、引き続き行われる勉強会。
やっている勉強も人それぞれで奏に至っては俺の仕事部屋でグレオンに勤しんでいる。
宿題に関しては嫁が付きっきりで見ているので、心配はない。
だが、最後に残された課題に関しては皆が行き詰ってしまている。
「日記に関しては先生どうすることもできないよ...」
どのみちチェックするのは担任教師である嫁なのだから、ある程度は許容できる。
ならば別に問題ない気がするが...。
みんな内容が変り映えしない事に悩んでいた。
零君なんてほとんど虫取りに行って家の花瓶やら鉢植えを壊して、両親に怒られて...そんな日々が続いている。
日記の宿題が続かないので、すでに終わってる奏の日記帳を見せてもらう事になった。
これは日記というか...グレオンの攻略メモ...。
ダンジョンの対策内容や、その日獲得したアイテムの使い道などが、びっしりと書かれている。
これは参考にならない。
真衣と由衣に関しては色々あった気もするが...。
ほんとに書く事ないのだろうか...。
川遊びに夏祭り、肝試しに今日のお泊り会。
う~ん...あるにはあるが毎日という訳では無い。
何もない日は宿題をやったり家でのんびりしたりしていたせいか書くことが何にもないようだ。
まぁそれもこれも、教師である嫁が大目に見れば何の問題も無く済む話なのだが...。
「何もなくても思ったことを日記として書いておけばいいんじゃないか?」
そもそも...毎日書いておけば何の問題もないのだが...。
するとどこからともなく愛菜さんが現れた。
「遊んでいるのかと思って来てみれば...勉学...もっと楽しんだらどう?」
「マナ...日記が中々進まなくて...」
「そんなの簡単じゃない...」
書くのが進んでいない日記をパラパラとめくり溜息をつく。
「一日にまとめ過ぎよ、楽しそうなイベントがあるんだから、もっと別々に書きなさい、虫取りだってそうよ、この日に三匹捕まえた話はもっと伸ばせるわね。一日一匹くらいにしておきましょう」
「なるほど!ねーちゃんすげーな」
零君の失礼な態度に一瞬心臓がきゅんと締まるが、愛菜さんは意外と寛容なようだ。
「夏祭りもそうね、三回くらい祭りを開催しましょう、それから、川遊びも三回くらい行った事にすれば大分稼げるわ」
不正を教師の目の前で子供に教育する胆力は凄まじい。
そして、何故嫁はそれに賛成しているのだろうか...。
こっそり嫁を廊下へと連れ出し、本当にいいのか聞いてみる。
「いいのか?あんな目に見えた不正、教師として止めた方が良いんじゃないか?」
「いいのよ!だって早く買ってきた花火みたいもの」
あぁこいつダメだ...ただ遊びたいだけだ....。
俺の嫁はどちらかと言えば勉強よりも遊びを優先させる方だ、そりゃあ今を楽しみたい嫁からしたら勉強なんてさっさと終わらせたい。
溜息をつきつつもそんな嫁を面白くも思う。そういえば、この教師普通じゃなかったな...。
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