第33話 夏祭りが普通じゃない
夏休みも中盤、当然の様に祭りがある。隣町で...。
今いるところで祭りは開催されない、それもそのはず、そもそも開いたとして、人数が揃わない、出店1つか2つそれも店主が知り合いなんてまっぴらだ。
それをするくらいなら、多少遠かろうと人の賑わう祭りに参加したほうがいい。
俺は人混みが好きな訳ではないので、祭りに行きたいとは思わない。それこそ、都会の祭りなんて参加した日には祭りが祭りではなくなる。
花火とかを家で見た事はある。娘達にはそれくらいの記憶しかないが...それに関しては俺も思うところがある。
娘達にはいろいろな事を学んで欲しいと思っている、だからこそ、田舎の祭りには参加する。
田舎の祭りに行った事がないので、どれだけ人が来るか分からないのが不安だが...そこまで多くはないだろう....。
皆で浴衣に着替える。
なんで俺まで...と言う思いはあるが娘も嫁も、とても似合っているのでよしとする。
俺は紺色の落ち着いた色を、娘達は明るめの水色と黄色だ。
快は俺のより多少明るい青色で嫁は落ち着きのある朱色、見た目はまだ20代だが歳は俺と同じ37歳....それを知らずに見ると、見た目の割に色が落ち着きすぎている...。
まぁ知ってる俺は年相応だなと思う程度だ。
車を走らせること1時間。祭り会場の駐車場に車を停め履き慣れない下駄をカタカタと鳴らしながら夕暮れの街を歩いた。
だが...思った以上に人が少ない。祭りと言うには余りにも少なすぎる。
駐車場の看板には、間違いなく祭り会場と書いてあったし、疎らではあるが人は居る。
試しに通りかかるおじさんに本当に祭りがやっているのかを訪ねてみる。
「あのすいません、今日ってほんとに祭りやってるんですか?」
「え?あぁはい、やってますよ...人が集まるかは分かりませんが...」
何故そんなにテンションが低い...。
明らかに祭りに行く人のテンションではない...。この祭り大丈夫か?いや...田舎の祭りはこんな感じが普通なのだろうか...。
「毎年こんな感じなんですか?」
俺の問に対しおじさんはため息交じりに首を横に振る。
「いやぁ...今年だけだよ...先日...アプデが来たからなぁ...みんなそっちだろ...はぁ...」
「あっそうなんですね...なんかすいません...」
まさか原因が俺達だという衝撃の事実に声は小さくなる...。
確かに、いまだに城門の突破者は0人...ちらりと見ただけでも、動画投稿サイトはアプデ内容で溢れ情報纏めサイトはパンク寸前だ...。
未だに攻略勢が勤しんでいるのだろう...。
皆が家に籠りひたすらゲームをする...開発者としては嬉しいが...祭りの参加者としては寂しいものがある。
今日の祭りは俺達のせいで...普通じゃない....ごめん。
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