第31話 夏休みが始まった
7月も後半になれば当然子供達は夏休みに突入する。
羨ましい限りだ。
俺達社会人には当然夏休みなんてものはない、むしろ、休みに浮かれゲームに入り浸る連中のせいで、仕事が多い。
夏休み限定のイベントもやっていたりするので仕事は多いのだ。
そう、子供達に課せられた膨大な量の宿題を手伝う事はできないのだ。
決してやりたくない訳では無い。
子供達は仕事に追われる父に宿題を手伝ってもらう事はできない、宿題を出した張本人の嫁にも手伝っては貰えない。
まぁまだ夏休みは始まったばかり、最初に全部終わらせるのも、最終日にまとめてやるのも、夏休みの醍醐味だ。
因みに嫁は初日に終わらせる派らしい、俺は最後までやらない派だったけど...。
居間で俺は秋に開催されるイベントが纏められた書類を確認する。その横で、真衣と由衣が宿題を広げ早速取り掛かる。
俺達が各々仕事と宿題に取り掛かってから数分。嫁が大きなスイカをもって居間にやってきた。
「野口さんの家にスイカ貰ったから...スイカ割りしない?」
『・・・』
邪魔してやるなよ...。
俺は好奇心を抑えることが出来るが...子供達は違う。楽しそうな事があれば、勉強なんて後回しだ。
「やるーー!!」
「スイカ割りやりたい!!」
『スイカ!スイカ!スイカ!』
スイカコールと共に嫁と娘達は家から出ていった。
ちらりと宿題の進捗を確認してみると...はぁ...算数の宿題がまだ、一問しか終わっていない。
田舎に来てやりたいことが出来る嫁はやりたい放題。今年から、娘達にとって夏休みは嫁による妨害を受ける事になるだろうなぁ...教師であり母親である嫁が...娘の宿題を妨害してどうする...。
少しすると、嫁と娘達は居間に戻って来た。
綺麗に切られたスイカを持って...せっかくなので俺もご馳走になる。
皆で縁側に座りスイカを食べる。
しゃくしゃくと食べ進め、嫁は種を飛ばす。当然娘も真似をし種を飛ばす。
まぁ誰も見ていないので、注意はしない、そもそも、満面の笑みで笑われては注意する気にもならない、楽しそうでなによりだ。
スイカを食べ終えたら娘達は宿題タイムだ。
先程は途中で邪魔がはいったが...
「花火買いに行ってくるけど...みんなも行く?」
『・・・』
はぁ...。
『行くーーー!!』
邪魔してやるなよ...。
俺は仕事で行けないが...娘達は違う、初めてやる花火という単語に心が躍り嫁の後をついていく...宿題は再び後回しとなった。
普通は勉強終わってからとか言って、子供が頑張って終わらせて、それから買い物に行くんじゃないだろうか...率先して邪魔していくなんて...普通じゃないよなぁ...
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