第21話 塩の続き

「先輩、ところで、もし塩の取引が規制されてたらどうすんですか?」


「そんときゃ塩を使った加工食品でも売るさ」


「ああ~~なるほど」


「生ハムとか作ろうぜ」


「良いっすね!作りましょうよ。ってか先輩、そもそもこんだけ調味料とかが流通してないと、アタシたちが売っても誰も使い方わかんないんじゃないっすかね?」


「その発想は無かったわ。いやマジでそれあるな……。塩とかはシンプルだからまだしも、塩漬けとかに発展するまで時間かかりそう」


「原材料もそうっすけど、けっこう加工したものにもなんかお金に出来るものあるかもしれないっすね」


「そうだなー。そういや原材料で思い出したけどよ、この肉ってなんの肉なんだ?」


「なんか基本的にこの辺で売ってるのは冒険者とかが狩ったモンスターの肉らしいっすよ」


「ジビエみたいなもんかね。害獣みたいなもんだし、狩って食えるなら一石二鳥だな」


「いやー、でもこの前のアレックスさんみたいに危ない目に遭う事もあるみたいですし、けっこう大変なんじゃなっすかね」


「家畜とかいないんかね。でも街から離れりゃ常時モンスターに脅かされるような環境だし、無理な話か。私兵とか軍事力のある権力者くらいになればいけるんかな?」


「害獣に荒らされるのはいつの世も一緒なんすね」


「そもそも俺らには耕作地すら無いけどな」


「それなんすけど、街の外の土地って勝手に耕しちゃいけないんすかね?」


「あん?」


「だって、モンスターが出てくるような土地っすよ。例えばこの辺の領主みたいな人がいたとしてですよ、自分の土地って認識あるんすかね?」


「ふむ……」


「街から離れて管理が行き届いてない土地って、誰のモノでもなかったりしないっすかね?もちろん名目上偉い人の持ってる土地になってる可能性も十分ありますけど」


「そのへんちょっと調べた方がいいかもしれんなー。耕す土地ないと俺手から水と塩だす変な人だしよ」


「水と塩出さなくても先輩は変な人っすけど」


「えっ」


「なんすか」


「朝倉お前俺のことそんなふうに思ってたの?」


「いや事実じゃないっすか」


「俺は変な人じゃないが?」


「そうっすか?」


「爽やかな人だが?」


「んふっ……爽やかな人は異世界経済を破壊する邪悪な計画を思い付いたリしないと思うんですけど」


「俺はピュアで爽やかだが?」


「なんでそんな純情路線推すんすか?もう良いじゃないっすか先輩が邪悪なのは分かってますって」


「邪悪じゃないが?」


「ピュアで爽やかでカッコいい先輩、新しいお肉焼けましたよ」


「お、サンキュー朝倉」


「先輩ができる事増えると生活の糧が増えるから助かります」


「オイオイ朝倉、農家として独り立ちするまで守ってくれるんだろ~?」


「そういえばそうでしたね」


「まだ耕す土地も苗もないわ手から汁と塩が出るわ、まともな農民ライフできるまではまだかかりそうだぜ」


「そっすね!まぁ泥船に乗ったつもりで任せてくださいよ」


「大船とまではいわないからせめて普通の船に乗せてくれや」


そう言って、俺たちは楽しく食事をし、街へ帰った。

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