第19話 アイナちゃんとお薬

 気まずい……そのうち合わせると約束してしまったが、ホワイティと家の魔王達……もとい嫁さん達に会わせるのは不味すぎる、


 ホワイティは、勇者パーティーの回復士で一緒に魔王を倒した仲間だ。


 俺が魔王イリスティラと一緒に住んでいる事がバレたら……ましてや結婚している事がバレたら殺される……。


 花梨ちゃんも、俺がホワイティとした?かもしれない事がバレたら離婚もあり得る。


 まだ初夜も迎えていないのに離婚って事態は避けたい。


「はぁ……どうしてこうなったんだ?」


 俺がバイトのカウンターで憂鬱な顔をしていると……イリスティラじゃない……魔王コスをした女の子に話しかけられた。


「お兄様?どうしたの?頭いたいの?」


「君は……イリスの友達のアイナちゃんか?」


「ふふふ……あいなは、よをしのぶかりのすがたなの!」


「へぇ……そうなんだ……」


「今日はパトロールにきたの!」


「偉いなぁ!アイナちゃんは」


 俺は、アイナちゃんの頭をなでなでしてあげた。


 アイナちゃんは、気持ちよさそうな顔をしてくれた。


 うん、可愛いなぁ……。イリスティラも可愛いが、アイナちゃんは新鮮で清楚な感じがしていい。


「むむ……お兄様から、どーてーの魔力をかんじます!」


「え!?そんな言葉、どこで覚えたの!?」


「ししょーに学びました!」


「イリス!?こんな小さい子に何教えてるの!?」


 アイナちゃんは、どう見ても小学一年生くらいの小さな女の子だった。


 こんな小さな子に、童貞だとか、魔力とかが分かるはずが無い。


 どうせ、また魔王様ごっこでもしているのだろう。


「どーてーは放っておくと、悪い魔法使いになってしまうの!」


「お兄さんは、まだ二十歳だから大丈夫だよ?っていうか……アイナちゃんが心配する事じゃないよ?」


 俺はまだ三十歳にはなっていないし、最近は童貞なのかも怪しくなって来たからな?


 それに、小学生にまで心配されてしまったら、おしまいだ。


「お兄様には、どーてーが治るお薬をあげるね?」


「それは、どーもありがとう?」


 アイナちゃんは、コップに水?をついでいた。


 その水はどこから出て来た?


 アイナちゃんの持っているおもちゃの魔法のステッキから……水が出ていた。


 え? そんなおもちゃあったっけ?


 あらかじめ、ステッキに水を入れていた?


 いや、あのステッキには穴がない。


 とすると……あの水はどこから……?


 あれは、本当に水なのか?


 アイナちゃんは薬と言っていた。


 童貞が治る薬……。


 怖い怖い!!


 童貞が捨てられる薬なんて、媚薬とか惚れ薬しか思いつかない……。


 いや、そもそもアイナちゃんは普通の小学生だ。


 俺の考えすぎだろう。


 ……普通の小学生?本当にそうか?


 アイナちゃんは、あの魔王イリスティラが認めた魔王の弟子だ。


 魔王の弟子なんだぞ!?


 薬の作り方くらい教えていても不思議ではない。


「さぁ、どうぞ?お兄様?お薬のじかんです」


 どうする?俺!?


「ああ……いただくよ……ありがとう!アイナちゃん」


 俺は、心を決めた。こんなに可愛い子が変な薬を飲ませるはずがない。


 俺は受け取ったコップを一気に飲んだ。


「ふぅ……美味しかったよ?ありがとう!」


 それは、水では無かった。ヨーグルトのような味がした。


「ふふん!これでお兄様のどーてーは治るでしょう!」


 それから、アイナちゃんの薬が本物だと気付いたのは、その夜の事だった。


 アイナちゃんがガッツポーズをしていたのには気が付かなかった。


◇◇


 バイトを終えて家に帰ると、俺の下半身はギンギンになっていた。


「どうしたのじゃ?レモン♡」


「いや……これは、お前の仕業か?」


「そんなにズボンをパンパンにして、何を言っておるのじゃ?したいのであろう?うん?」


「いや……しないぞ?」


「我に魔力を寄越すのじゃ♡」


「ほれほれ、我が脱がせてやろうぞ?」


 やっぱり、イリスティラ……お前の差し金だったか……。


「はようせぬとカリンが帰って来てしまうのじゃ!」


「どうして?」


「レモンは、我では興奮せぬからのう♡」


「そっか……悪かったな……イリス……」


 そして……俺はイリスティラにコッテリと絞られ……魔力をごっそりと持っていかれたのだった。









読者様へ


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こちらは暇な時にゆっくり投稿予定です。 まったり進みます。

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異世界から帰ってきたら魔王を拾ったんだけどどうしたらいい? 蒼真 咲 @soumasaki

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