全人類チェンジ!

 惑星が巡る太陽系。

 今、地球は大いなる最期が来ているのだと、八〇億人の人類全てが自覚していた。

 二〇二×年、宇宙観測衛星によって発見された『それ』は、完全に地球への衝突コースに乗っていた。

 人類は抗った。

 地球が保有する核ミサイル全てを発射し、命中させてもそれを爆破出来なかった。

 太陽光を地上に敷設した巨大反射鏡で集中させて、その外殻を溶かしてガスを噴出させた反作用で軌道を変えようとしたがそれも叶わなかった。

 月に巨大なロケットエンジンを建設し、特攻させて衝突させたものの、月は砕けたがそれは何の傷一つも負わなかった。

 もう人類は覚悟するしかなかった。

 今日が『その日』だった。

 預言者を名乗る女性は、愛読している転生ライトノベルを手に全人類にネットでメッセージを送った。

「全人類の皆さん! もうすぐ人類は滅びるでしょう! でも絶望はしないでください! 地球人類は、いや地球に棲む生物はすぐに全て、異世界に転生します! 皆は無双の英雄に、あるいはチートな能力を持つ非凡なる凡人に、あるいは今までの人生経験を活かした新たなる人生の成功者になるでしょう! 皆さん、これはただの死ではないのです! 地球の大いなる飛躍、『チェンジ』の時なのです!」

 そして地球は、その何百倍もの質量がある『大型トラック』に轢かれた。

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