生死を問う命の物語

切腹から始まる物語に息を呑む。
死を望む十兵衛とそんな彼を死なせないハーデス。
これは命を問う物語である。命を問い、自らに問いかける物語だ。死ねなくなった体を厭いながらも十兵衛はハーデスと共にぶつかり合い、協力しながらお話は進んでいく。二人のやり取りは重々しくもあるが時に軽快に笑わせてくれる。
重い題材を扱いながらも、所々に挟まれた笑いが緊迫する物語を解きほぐしてくれる為に読む手が止まらなくなる。
重々しいだけではない、熱く、すっきりする展開もある物語は読み終えた後も彼らの世界の中を見つめている感覚になる。

十兵衛とハーデスだけではない一人一人の命の物語が丁寧に、深くまで描かれた物語は最後まで読むとこの世界に住む人たちがより一層、好きになります。
今を生きる彼らを追いかけたくなる物語です。

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