第9話完敗記念日


久しぶりに繋がった電話で、

彼は力無く言った。


「なんかテンション落ちちゃってて

医学部の事も一旦考え直しています。

また連絡するので少し時間を下さい」


私は何故か猛烈に悲しかった。


今までの彼は、

未来や人生に関して皮肉めいてはいても

ポジティブな発言しかしてこなかった。

いつもエンターテイメントを含んだ時間を

惜しみなく提供してくれていたのに、

それをあっさりと辞めると言い出したのだ。


私は私の発言で、

わずかな私達の未来への光を吹き消してしまった気がした。

そして気がつけば泣きながら懇願していた。


「私のネガティブな思考が、

リクのスーパーポジティブな思考の邪魔をしてしまって本当にごめんなさい。

こんな事で、リクの前向きな心が壊れてほしくないよ。

私の事は無視してもいいから半年間頑張ってきて。その姿で私も頑張れるから」


もう何が正しいかなんて分からなかった。

ただもう少し同じ光の中にいたかった。


貴方は私だけのヒーロー。

ゲームマスターです。

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