【七.罪なき罪の代償】
「…………えっ? えっ? な、なにも……していない???」
「ああ、そうだ。君は何もしていないが、ここで治療を受けている。その驚いた様子から察するに、それについても、
「え、えぇ……」
さすがにこれは私といえど、役を演じることすら不可能だった。
あまりにも予想を超える返答が返されてしまい、私は“誰か”を演じる間もなく、素で反応を示してしまった。
逆にそれがかえって、初々しい十八歳の少年らしかったのかもしれない。
そこで初めて担当医の男性は、それまでの緊張感を解き放ったような、安心しきった表情を浮かべている。
もしかすると……なのだが、過去の“私”も、この彼の反応を引き出したいがため、敢えてこの記憶を頭に留めておかなかったのかもしれない。
過去の私達と、記憶や性格を共有していない前提において、認識の齟齬や記憶の欠落はあって当たり前。
むしろ同じ言動を辿ったことすら、担当医に違和感を生じさせる恐れもあった。
しかしそれは、素の驚きという演じることのできないもので、払拭させることができたのである。
「……君が自分自身で小説を書いていることは知っているかな?」
「えっ? あーっ……はい」
突如として担当医はそのようなことを私に聞いてきた。
さすがにその質問は、催眠療法で潜在的な記憶を彼の目の前で披露した手前、下手に誤魔化すことはできない。
ここで彼に対して『知らない』などと、答えてしまえば、私の言動に一貫性が生じず、嘘がバレてしまうか、もしくは本当に精神異常者として今後扱われる可能性もある。
私はそれを回避するため、少し考える
そしてこうも、言葉を続けることで朧気な記憶を振り返ろうとする。
「た、確か、私の中の私は、十七歳でどこかの出版社から誘われ、本を出した……はず。いや、アマチュアとして、それまでも小説は書いていたのか……な? 出版社の公募……いや、コンテストに応募したりもした……とか?」
「ふむ。なるほどなるほど……」
やや疑問系交じりで、たどたどしくも言葉を繋ぎ合わせる。
担当医は私の話を聞きながら、時折頷き、体を横へと捻じって机の上でペンを書き走らせていた。
そこには一枚のA4程度の用紙が数枚あり、何かを書き留めているようだ。
きっとアレが私の病状や体調の経過観察が記されたカルテに違いない。
治療の合間、ああして私の言葉や行動を書き留めることで、何の病状に当てはまるのか、またどの程度回復しているかなどを探るきっかけにするのだろう。
またその過程を文字として起こすことにより、第三者がそれを見たとき、客観的証拠として、一目で私の状態が今どうなっているのかの判断も出来るという寸法に違いない。
それも裁判では、証拠として扱われるものだから、私もより慎重にもなるというもの。
「なにか、間違っていましたか?」
「ん? ああ、いや違うよ。これは癖のようなものなんだ。患者が話してくれる内容を抜粋して、書き留めることにより、後から自分で見直したとき、治療への糸口のようなものが見えることもあってね。それで……まあ、職業柄の癖のようなものだと思ってくれていい」
どうやら私の考えのとおり、今彼が用紙へと書き留めていたものは、一種の経過観察を模した書類のようである。
そこから私の病状経過を記すべく、別途内容を抜粋して書き写す仕事が彼には待っているはずだ。
(そういえば、ここは確かどこぞの大学病院だと彼は言っていたな。……ということは、私は今、通常の病院に入院させられてる形なのか? 今後の言動によっては、地方にある山奥の隔離精神病棟行きってのも、十分考えられる)
私は彼が話す中で、今の自分が置かれた状況というものを改めて再確認していた。
私の中にある記憶と、現実に今こうしている自分との相違が必ずあるはずなのだ。それは担当医の表情と、先程の言動が物語っている。
私は何もしていないから、ここでこうして彼の治療を甘んじて受けねばならないとのこと。
つまりは、
私自身の不審な言動があり、予備として入院させられている可能性も出てきた。
「君は確かに十七という歳で、出版社からデビューしている。ちなみになんだが、デビュー作のタイトルは……」
担当医はそう話を続ける形で、今度は作品名を問い質してきた。
だから私は素直に、こう小声で答えた。
「…………完全犯罪者の作り方……です」
そう映画の中の彼が最初に出した作品タイトルを述べた。
それこそが私が私たるという証でもあったのだが、私の予想は裏切られる形となってしまう。
「違うよ……そのタイトルじゃない」
「…………えっ?」
今度こそ、私は驚きの様子を隠すことができなかった。
なんせ記憶の奥底をなぞったうえ、その“答え”を導き出したのだ。それなのに、間も置かずに否定されてしまうとは、思いも寄らなかった。
「君が最初に出した本、そのタイトルは……『ただ一人だけの完全犯罪者』なんだ。その後、つまり次に出版されたのが、君が口にした『完全犯罪者の作り方』……順番が逆になっている」
ど、どういうことだ。今、彼が言ったことがすべて事実とするならば、私が見た記憶の中で食い違いが起きてしまっていることを示唆する結果となる。
私の中の彼のデビュー作は『ただ一人だけの完全犯罪者』で、それがまったく売れなかったからと、次なる新作を生み出すそのために現実でトリックを試すことにしたはずだ。
……なのに。私の頭は本当に混乱しているのかもしれない。
もしくは現実と妄想との間にあるはずの『壁』が、既に無くなりつつあるのかもしれない。
「やはり……ね。どうやら君には健忘症の疑いもあるようだ」
「け、健忘症……それって、確か……」
「ああ、一般的には痴呆症やボケとも言われているね」
「まさか、そんなことあるわけが……。そ、そもそも私は十七……、いや、十八歳なんですよね? それなのに健忘症と言われても、とてもじゃないが俄かには信じられないです」
私はあまりに慈悲のない言葉に対し、初めて感情を露にして憤る。
しかし、私の担当医はこのような患者の動揺にも慣れているのか、あくまで冷静な口調と態度のまま、こう次げた。
「年齢に関係なく、健忘症には罹るものだよ。若年健忘症とも呼ばれ、過度なストレスを受けた脳が自分を守るため、そのような行動を無意識下で行うことがあるんだ。だから年配者特有の病気ではない」
「無意識下で……」
私はそのような説明を受け、愕然としてしまう。
なんせ、自分が老人のような病に侵され、最後には自分が何者であるのかすら理解できなくなる恐れもあるのだ。これが明るく、落ち着いていられようなものか。
「尤も、医者の観点から言えば、まだ君が若年健忘症という断定はできないが、何かしら記憶に障害というか、一時的な記憶喪失に陥って、ある種の心のフィルターをかけている疑いもある。これらの症状は、過去に辛い経験や交通事故に遭った人が経験する傾向が見られる。君の場合にも、その条件にピッタリ当てはまるのだが……」
そこで私の担当医は言葉を閉ざしてしまう。
次に何の言葉が待ち受けているのか、もしや私が両親を殺害して食べた……そのような言葉が飛び出てきても何らおかしくはない。
だが、そこで気づいたことがある。彼は『私が何もしていない』などと述べていたのだ。
そうなってくると、彼の言葉と行動に矛盾が生じてしまう。そこに何か重要な因子が存在しているのではないだろうか?
「先生……私は、一体どうしてここにいるんですか? 先程、何もしていないと言っていましたが、もし本当ならば、どうして精神科医である先生に治療を受けているのですか? 教えてください」
私は思い切って、彼に疑問をぶつけてみることにした。
何かしら反応があることを期待しての行動である。
「…………本当に良いのかい? 前のように取り乱して暴れる……なんてことは起きないだろうね?」
「えっ? えっ? と、取り乱して……暴れる……ですか? こ、この私がですかっ!?」
何を言われたのか、訳が分からず、私が彼が口にした言葉を繰り返した。
それは再度言葉を噛み締める意味でも効果的で、やや遅れて私の脳が言葉の意味を理解した。
どうやら彼の言葉と態度から察するに、過去の私も同じようにここに到る理由を問い質した結果、半狂乱になってしまったのかもしれない。
つまりは、それだけの何かがあったということの裏返しでもある。
正直、私の記憶には残っていないが、医者である彼がそういうならば、事実のことなのだろう。
それでも否定するわけにもいかず、私はこう答えることにした。
「大丈夫です……たぶん」
本当のところを知らない私は、自分のことなのに自信なさげとも言える返答をどうにか返す。
担当医は一瞬身構えてから、こう前置きをして、私の身の回りで起こった出来事を語ってくれる。
「分かった。君の病気を治すきっかけになるかもしれないしね。しかし、あくまでも冷静に私の話を聞いて欲しい。……大丈夫だね?」
「……はい」
私の様子が冷静だと判断したのか、彼は静かにも語り出した。
私はまだ高校在学中に、とある出版社の公募に小説を応募した。
それがたまたま通ってしまい、私は兼ねてより念願だった小説家の道を歩むことになる。
デビュー作はその公募に応募した作品を半分ほど手直しして作られた『ただ一人だけの完全犯罪者』という、推理小説だった。
だが、内容は私の知るものと違い、とある小説家志望の少年が、推理小説を執筆するため、身近な人を使ってトリックを試すというもの。
しかもそれは、現実に起こった事件をモチーフにしているという体で書かれており、また売り出す際も帯やあらすじ末尾に『ノンフィクション』と付けたことで、世の中に波紋を呼んだのである。
もちろん、そんな事件が実際あるわけもなく、本当のところはそのノンフィクションという言葉自体、作中の伏線の一つでもあったのだ。
そしてその中で登場する人物はたった一人であり、彼の名前すら終盤まで書かれることがなく、彼は自身をこう呼んでいた。
『A-17なる少年』――と。
『A』とは、よく未成年が殺人などを起こした際、新聞やテレビ各社が加害者である未成年の少年に対し、報道規制と彼に対する配慮から生まれた『少年A』などの仮名である。
そして『17』とは、自らの年齢を指したもの。
『少年』は未成年と称するのを、安易な言葉として嫌った形となっている。
その作品のコンセプトは、あらかじめ提示されており、登場人物がたった一人だけで推理小説として、果たして形を成すものなのか、というこれまでのミステリー小説や推理小説に対する挑戦的なものだった。
実際には、登場人物がA-17なる少年一人というわけではなく、他にも存在しているのだが、何故か皆彼の前に姿を現さず、代わりとして服屋などのディスプレイとしてのマネキンやサーカスに使われる等身大のピエロの人形だったりする。
彼は心の病を患っているため、人を人とは認識できず、両親を殺害した後、証拠隠滅のためなのか、二人の体を食した。
親殺しと人が人を食すというカニバリズムに、世間の反応は相当なまでに厳しかった。
結果として、私が出した本は悪い意味で評判となり、皮肉にも世間の意見とは違って、恐怖心を得たいがため、またその本を未成年である少年が書いたということ、そしてジャンルがノンフィクションという実際に起こった事件をモチーフしたというのが幸いし、世間の評価と対する形で本は売れに売れたらしい。
だが、本が売れれば売れるほど、また評判になればなるほど、著者である私は精神的にも肉体的にも、追い込まれていったという。
実際に私が両親を殺してもいないし、正確には解体して食べてもいない。世間から厳しい目を向けられている私に対し、両親は必死になって守ってくれた。
あるときは、ニュース番組に出て、自らが生きていることを述べたり、雑誌のインタビュー記事に反論してくれたりもした。
私は世間から疎まれ、希望も何も見出せない中、両親の愛に救われたのだ。
だからこそ、その後、実際に遭った事件がより鮮明に私の印象付ける形となってしまう。
それは私のデビュー作である『ただ一人だけの完全犯罪者』が出てから一年後のことだった。
皮肉にも私のその本を読んだ未成年の少年が、実際に本の内容をなぞるように両親を殺害して、その証拠隠滅を図るため、文字通り自分の親を
もちろんそんなものが現実の警察に通用するはずもなく、彼は親殺しと人を食べたというレッテルを貼られ、世間から驚愕の事件として、連日に渡りテレビや新聞、雑誌社などで取り上げられ、新たな『少年A』として祭り上げられた。
まるで中世にあった魔女狩りの如く、当時彼の動機となった本の著者である、この私にも厳しい目が向けられることになる。
同じ未成年であり、歳も十七と十八という近しいのも、更なる要因となり得た。
また本を媒体に、次なる事件の加害者、そして被害者を生むのではないかという疑問が世間で巻き起こり、新規の出版停止や回収する騒ぎへと発展する。
だが、それも皮肉なことに当時出版物である本を回収するということは、それだけ世間にも知れ渡り、認知度が高まることを意味していた。
つまり、人々が更にその本と実際に遭った事件に対して興味を持ち、一体どのような内容なのかと需要が高まることになる。
もちろん出版社も強かであり、出版を停止するその前に情報を掴んでいたため、その前にかなりの部数を増刷していたのだ。
それは会社という利益を生まなければならない存続できない組織においての、必然とも言える行動だったのかもしれない。
出版社もその命運からは決して逃れられることができず、世間から問題視されようが、逆に利用する気持ちで、増刷していたのである。
出版停止と回収という二つの刺激的な出来事は、より世間の関心を惹き、皮肉にもまだ回収されていない本屋にある本は、本棚に収まる間もなく一瞬のうちに売れてしまった。
それこそが出版社の狙いでもあり、結果として百万部を超えるベストセラーへと、押し上げる形となったのであった。
だがしかし、ただそれだけで物事が終わらないのが、善悪という名の天秤を司る
出版社が利を得た一方、本の著作者である私とその家族はスクープの格好の餌食となり、平然と家まで押しかけてくる執拗なまでの報道陣の犠牲となっていた。
そして両親は、連日連夜に渡り報道陣の取材に疲れ果て、いつしか心を病んでしまい、二人とも私を残し首吊り自殺をしてしまったのだった。
一人残された私は、自分のせいで何の罪のない両親を自殺するまで追い込んだマスコミや世間に対して、報復しようと決意する。
その方法は到って簡単なことだった。
創作たる現実にはありもしない事件をでっち上げ、空想の物語を具現化した本を現実に読んでしまった私と同じ年頃の少年は、実際に本の内容に導かれる形で事件を引き起こした。
ならば、同じく新作も同じテイストに仕上げ、本として世の中に出れば、同じく事件が起こるものだと思っていたのである。
つまり未成年の少年達へ向け、新たな推理小説を執筆することにしたのだ。
当然、世間から有名となった私の忌み嫌われているペンネームを使わない手はない。そのうえで世間とマスコミを囃し立てるため、著作名を『A-17なる少年』と称する事にした。
端的にみれば、どこの誰だかも分からないペンネームではあるが、それでも本に書かれた物事が実際の事件へと発展した経歴から考えれば、私が書いた新作であると私の作品を読んだ人間ならば容易に気づくはずである。
敢えて、最初の作品とは違うペンネームを、そして作中で唯一固有名詞を得た主人公を著作名へと抜擢することにより、マスコミと世の中に対して真っ向から宣戦布告する形となった。
出版社には私の思惑などは一切伝えず、新作が出来たから……などと称して、担当に原稿を見せる。
すると、彼らは以前の私の作品が百万部を超えるベストセラーになったことで味を覚えていたのか、何の障害も無くすんなりと出版までこぎつける事が出来たのであった。
出版社としては、本が売れれば社会問題になろうが、どうでもいいとの考えだったのかもしれない。それはむしろ私にとってみれば、好都合だったに違いない。
その後、なんなく普通に新作は出版されてしまい、世間を賑わせた問題児が、またもや問題作になるであろう新作を出したと、マスコミ各社は騒いだ。世論もそれに追随する形となって、矢継ぎ早に批判する。
けれども、一度走り出したら容易には止まる事が出来ないのと同じく、一旦世に出されてしまった本をその場に止めるものはいなかった。
こうして世間という野に放たれた私の推理小説は、社会や他人に対する不満を一番感じる年齢、十七歳の少年達へ何事かを引き起こすべく、因子を埋め込んだのである。
あとはそれが各々の心や頭の中で芽生えれば、私の思惑通り、世間を賑わす事件へと昇華することになる。
これは私が世間やマスコミに対する報復であると同時に、両親を自殺するまでに追い込んだ世の中に対する、ある種の復讐劇とも言える。
私は本来、両親を疎ましく思っていたにも関わらず、失って初めて尊いものだと思うようにもなっていたのだ。
これは大切なものを失わなければ得られない感情の変化でもあった。
だからこそ、それを私から奪い去った世間が憎かった。
これまでも世の中に対する不満は如何様にも募ってはいた。
それでも、直接的に復讐してやろうなどとは考えてはいなかったのだ。
だが、それも今では私を止める両親もこの世にはおらず、また社会正義という私の心に救う正義感から、以前の私と同じ気持ちを有するであろう少年達に向け、メッセージを込めた。
そしてそれに感化された少年達が、私の代わりとして、私の著作本をなぞる形として、現実に事件を引き起こし、私の復讐心を少しでも和らげる。
ある意味で、それは両親に対する贖罪の形であったのである。
「――というのが、事の顛末になるのだが、どうかね? この話について、何か君からの感想はあるかな?」
「…………上手く言葉にできないのですが、なんだかやけに物事が整いすぎているように感じるのですが、気のせいでしょうか? どこか他人の創作物を読み聞かせらているような、そんな違和感が……」
私はここまで彼の説明を受け、それがどこか嘘のように思えてならなかった。
まるで絵空事、言わば空想の域を脱せない物語を読み聞かせられたようにも感じる。
確かに物事には『きっかけ』、そして『過程』、最後に『結果』が必ず伴うものではある。
けれども、それも度が過ぎれば、疑念を抱かずにはいられない。
ましてや、そう語っている彼の一人称は“私”であり、第三者としての語り草ではなかったのだ。
「今の話は……本当のことなんですか? 実際、私の身に起こったことなんですよね?」
「…………疑っているようだね。まぁ無理もないことだよ」
私は疑いの目と言葉で、再び担当医に訊ねてみたのだったが、彼はどこか残念そうな表情と言葉を返してくる。
だが、逆にそれが胡散臭さを助長する結果となる。
私は敢えて、その当たりを付けたものを聞いてみることにした。
「もしも間違いだったなら謝りますけど、それは『私が仕出かしたこと』ではなくて、本当は先生が実際にしたことじゃないんですか? もしくは私にそのような証言してもらわないと困るような理由が存在する。じゃないと、そこまで鮮明に他人の記憶や心理状態を読み取り、“騙ること”はできないはずですよ。違いますか?」
「…………」
彼は私の言葉を聞き、口元を緩めるだけに留まった。
その笑顔とも言えぬ不気味な表情が意味するところは、私の考えが『当たり』であったことを示唆するものだったのかもしれない。
今の今まで忘れていたのだが、彼の顔を見て思い出した。
結局のところ、彼は“私”なのだ。
先程まで雄弁に語っていた物語も、私自身がそうであったと同じように、彼自身もそのような妄想、創造を膨らませ、私に聞かせていたに過ぎないのだ。
この時点で、彼は“私”であり、私は彼自身だとの確信がようやく持てたのだった。
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