誰が為に、その絵筆を振るうのか。

 貧しくも心優しい絵描きの主人公には、妹がいた。妹は兄の優しい絵が大好きだった。しかし、貧困故に日々の食べる物にも事欠く始末。
 そんな中、兄に軍関係者が仕事の話を持ち掛ける。この国の兵士の戦意高揚のための絵を描いてくれれば、高値で買い取ってくれる。この話に、主人公は飛びついた。これで、妹にひもじい想いをさせずに済む。その一心だった。
 しかし、この事が兄妹の間に問題を産んだ。妹は兄の描く絵が変わってしまったことに、泣きながら悲しんだ。そして……。
 
 果たして、兄妹の運命は?
 これは一人の戦争画家が、平和を願うキャンパスに出会うまでの物語。

 絵を描くことで、平和とは何か、戦争とは何か、そして人間にとって一番大切なことは何かを考えさせてくれる一作でした。

 是非、御一読下さい。