第7話

 ゆっくりとした足取りで、入ってきた扉へと向かう。さっき軽く開いた扉がすごく重く感じた。

 どうしよう……。このチョコ。自分で食べるのはすごく辛いじゃん──。



 スケート場付近にある公園に来た。まっすぐ帰る気になんてなれずに。

腰かけたベンチが凄く冷え切っている。

「美穂?」

 公園入口で、杏奈が心配そうに立っていた。私は、目に涙を浮かべ杏奈に抱き着いた。

「杏奈!」

 涙がこぼれ始めた。

「美穂、どうしたの?」


「言えなかった。会えも、しなかった」

「え?」

 泣き声で頑張って杏奈に話した。彼に好きな人がいたこと、その子とは両想いであったこと。

 彼女は、何も聞かずに私のそばにいて話を聞いてくれていた。


「私、バカだよね。好きな人がいるって知っていたのに……」

 頑張って笑うけど絶対笑えていない。

「美穂、笑わなくていいよ。苦しかったら、沢山泣いていいよ。私が全部受け止めるから」

 その一言で、私のリミッターが外れ号泣した。すごく泣いた。



 私の恋は、儚く切なく終わった。

 バレンタインという一年に一度のチャンスを掴めなかった。


 おめでとう。私の好きな人。



 君への思いへ続く私の思いの道のりは、綺麗に切なくまっすぐに伸びた。


 儚く切ない、一方通行の道のりでした──。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

この恋は一方通行です 櫻葉ゆう @arayu_0123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ