第50話 人魚

(何あれ……誘ってるのかしら?)


 私はその焼けた肌と裸の上半身、そして爽やかなスマイルを見てそんなことを考えた。


 元の世界ではサーファーやライフセーバーのお兄さんたちがこんなビジュアルをしていたように思う。


 良い感じに盛り上がった大胸筋、きれいに割れた腹筋、そして黒い肌に映える白い歯。どれを取ってもむしゃぶりつきたいほどに魅力的だ。


 問答無用に視線を奪うその肢体は、もはやメスを誘っているとしか思えない。


(海のナイスガイって感じだけど……元の世界には絶対にいない人だな)


 その男性の体にはありえない点が一つだけある。それは彼の下半身だ。


「初めまして。今日一日、水中活動のインストラクターを務めさせてもらう人魚のメロウだよ」


 そう言って握手を求めてきたメロウさんは、砂浜に魚の尾を立てて直立していた。


「よろしくお願いします。クウです」


 私は握り返した手の感触から、なんとか大胸筋の触り心地を想像できないかと頑張った。


 が、それが叶う前に手は離され、私の隣りの女の子へと伸ばされる。


「リンっていいます。今日はめちゃくちゃ楽しみにしてきました。水の中で生活できるなんて」


 リンちゃんは興奮に息を荒くしていた。


 私もリンちゃんと同じように息を荒くしていたが、私の方はメロウさんの焼けた肌に対してだ。


 同じハァハァでも似ているようでちょっと違う。


「クウちゃんとリンちゃんだね。水の中で生活するのにはちょっと慣れが必要なんだ。今日はその辺りのことをしっかり教えるから、一緒に頑張ろう」


 メロウさんは白い歯を見せて笑いかけてくれた。


 う〜ん、爽やかだ。


 今日の私とリンちゃんは水の中で活動するための訓練の受けるため、海に来ている。


(人魚の街への旅行、楽しみだな)


 リンちゃんも嬉しそうだが、私も相当ワクワクしていた。


 それはそうだろう。なんと言っても、人魚の街は海底にあるのだから。


 海底旅行ができると聞いてワクワクしない人間などいないはずだ。


(しかもメロウさんを見る限り、人魚ってイイ体つき……きっと常に泳いでるからだろうな。これは人魚の街、期待できるぞ)


 私はヨダレでもたらしそうな気分でそう思った。


 人魚の街は普通の観光地と違って海底にあるため、おいそれとは行けない。だから普通は旅行代理店にお世話してもらって行くものらしい。


 私たちも当然そうしたが、その旅行代理店では水中活動の訓練もパックになったプランがあったのでそれを選択した。


 というか、聞く話によると水中活動の訓練を受けずに潜るのは非常に危険らしい。どっちにしろ訓練を受ける必要があるなら、パックになっていた方が楽でいい。


(しかも、インストラクターの人がそのまま旅行のガイドとして付いてくれるらしいんだよね。安心感あるし、こんな素敵な人魚さんに旅行中ずっと付きっきりでお世話してもらえるなんて……)


 私はその事にもドキドキしてしまった。


 旅行会社に指定された浜辺で顔を合わせたインストラクター兼ガイドのメロウさんは、サーファーやライフセーバーを思わせる爽やかイケメンだ。


「君たちは自前で水の魔石と属性付与の指輪を持ってるって話だったね?」


「あ、はい。コレですね」


 私とリンちゃんはカバンから青い小さな魔石を取り出した。指輪はすでに装着している。


「おぉ……これはまた上等な魔石だね。旅行会社が用意するものでもこれほどの石はなかなかないよ。よく手に入れられたもんだ」


 この水の魔石は先日のワイバーンロード討伐の報酬としていただいたものだ。


 モンスターの中には魔素を多く含むものを収集する癖のあるものが多いが、ドラゴンは特にその傾向が強いらしい。


 ワイバーンロードも巣にお宝をたくさん隠し持っていて、それらは報酬として功労者に分け与えられた。


 ちなみに討伐戦で第一等の功労者とされたのはヴラド公とアステリオスさん、そして私の三人だ。あまり褒められるとちょっと照れるが、確かに頑張ったと思う。


 おかげで報酬は選びたい放題でむしろ困るほどだったが、ドワーフのドヴェルグさんの勧めで質の良い魔石を何種類かもらうことになった。


『どんな物でもその価値は人それぞれで違おうが、魔石ならまず間違いはないわい。加工すれば様々な物ができるし、売るにも買い手がつきやすい』


 そう教えてくれたドヴェルグさんに選んでもらったものの内二つが、今日持ってきている水の魔石だ。


 リンちゃんが欲しがっていたからちゃんと二個もらった。


「本当にクウさんのおかげですよ。これが無かったら、人魚の街への旅行なんて高過ぎて行けませんでした」


 リンちゃんは私に手を合わせ、拝むような格好をした。


 ちなみに水の魔石と性質付与の指輪がない場合、旅行代理店でのレンタル料金は一日で二十万円だ。


 旅行パックの値段ではない。一日のレンタル料金だ。リンちゃんの言う通り、ちょっと簡単には手が出せない。


(それだけ質の高い魔石は希少だってことだね。まぁ、人間が水の中で息できるほどの力を持ってるんだから当たり前か)


 リンちゃんの指輪もドヴェルグさんに報酬の魔石をいくつか譲って、その代金として作ってもらった物だ。やはり魔石の価値は底しれない。


「いいんだよ、リンちゃんにはいつもサービスしてもらってるから」


 私は私でリンちゃんのエステ・マッサージを安く受けさせてもらっているからお互い様なのだ。


 持ちつ持たれつ、万歳。


 メロウさんが浜辺にある小屋を指さした。


「それじゃ、早速訓練を始めようか。まずはあの海の家で水着に着替えてくれるかな。荷物を置く場所とか案内するから俺について来て」


 そう言って、メロウさんは砂浜の上を移動し始めた。


 私はその後ろについて行きながら、人魚の身体能力に感心した。


「人魚って下半身がお魚なのに、陸上を動くが上手なんですね」


 私にはそれが意外だった。人魚は陸上を移動できないと思っていたが、意外にも速く動ける。


 動き方はそう複雑ではない。魚の尾を使って立ち、その尾でジャンプするのだ。


 今も砂浜を蹴りながらピョンピョン跳ねていた。


(でも何だかこの動き、見たことあるような……)


 私は不思議なデジャヴを感じていた。


「大抵の人魚はこうやって動けるけど、俺は特に上手い方かな。スキアポデスのモノコリさんって人に教えてもらったんだ」


「モノコリさんに!?」


 私はデジャヴの原因にすぐ気がついた。


 魚の尾でピョンピョン跳ねる様子は、片足だけでものすごく速く走るスキアポデスとよく似ているのだ。


「あれ?モノコリさん知ってる?まぁそうか。あの人レースチャンピオンだから有名人だもんね。ちなみに俺はあの人に泳ぎ方を教えたんだよ」


 そういえばモノコリさん、バサロで五十メートルくらいを泳ぎきっていた。まさか人魚仕込みだったとは。


(世間って意外に狭いんだな)



***************



「二人とも可愛い水着だね。とりあえずそのまま海に入ってくれるかな」


 イケメン人魚のメロウさんはさり気なく私たちの水着を褒めてくれた。


 この人、絶対モテるタイプだ。


 とはいえ、私たちは私たちで旅行のために気合いを入れて水着を購入している。褒められて悪い気はしなかった。


 私もリンちゃんもしっかりお腹が出ているセパレートタイプの水着を着ていた。


 それプラス、私は念のため紐を結んだ格納筒を腰に巻き、リンちゃんはパレオを巻いている。


「あ、リンちゃんパレオにブローチつけてくれてるの?」


 リンちゃんの腰には前にあげたブローチ、三女神の末っ子スクルドが留められていた。


「えへへ、新しいかなって思って。可愛いでしょ」


「うん、意外といいかも」


 気に入ってもらえて私も嬉しい。


(そうだ、私は格納筒の紐にでもつけてみようかな。お揃いで旅行すると楽しそうだし)


 そんなことを考えている私の体を、リンちゃんがじっと見つめてきた。


「それにしてもクウさん……本当にスタイルが良くなりましたね」


「リンちゃんのエステのおかげかな。それに、オークのハンプ教官にかなり鍛えられたからね」


「そういえばあの前後でだいぶ引き締まりましたよね」


 一ヶ月のブートキャンプはかなりキツかったものの、体型という点ではやっておいて良かったと本当に思う。ちょっとずつ戻ってはいるけども。


 リンちゃんはリンちゃんでエステティシャンなので、やはりスタイルが良い。


 だから私たちは思い切って結構露出した水着を選んでいた。


↓挿絵です↓

https://kakuyomu.jp/users/bokushou/news/16817330649206308369


 ちなみに今後体型が崩れても大丈夫なようにラッシュガードも買ってるけど。予防線は張っておかねば。


「わわっ、冷たい〜」


 海に入ったリンちゃんが高い声を上げた。


 海に入れないような季節ではないが、それでも入り始めは冷たいものだ。


 私も膝上まで水に浸かったが、やはりブルッときた。


「じゃあ魔石に魔素を込めてみて」


 メロウさんに言われて魔素を込めてみる。


 すると不思議なことに、水の冷たさから受けるブルッという感じが緩和されたように感じた。


「水の属性を付与されたら冷たさが和らぐんですか?」


 私の質問に、メロウさんは首を横に振った。


「いや、冷たさ自体に強くなるわけじゃないね。水から受ける色々なダメージに抵抗が付くんだ。温度だけじゃなくて、水圧とかね」


「じゃあ結構深くまで潜っても大丈夫なんですか?」


「君らの魔石はかなり良いやつだから、魔素さえしっかり込めればかなりの深度でも耐えられるだろうね。水温もそうで、例えば真冬でも普通に潜れると思うよ」


「じゃあ真冬に海水浴ができますね」


「できないとは言わないけど……空気の冷たさは防いでくれないから、水から出たらめっちゃ寒いよ?」


「あ、なるほど……水の属性付与が少し分かった気がします」


「他にも浸透圧とか海水による塩分の害も緩和してくれるよ。あとは……まぁ、とりあえずこっちの深いところまで来てみて」


 私たちはメロウさんに促され、肩までの深さの所まで移動した。


「よし、じゃあそのまま息を止めてみて」


「え?息を?顔を出したままですか?」


「そうだよ」


 私たちは言われた通りに息を止めた。


 そしてそのまま五秒たち、十秒たち、二十秒たち、三十秒たちたち……


 一分ほどたった所で私とリンちゃんは興奮気味に口を開いた。


「……すごい!どれだけ息を止めてても苦しくない!」


「水の魔石って水の中で息ができるんだと思ってたんですけど、浸かってるだけで酸素が入ってくるんですか!?」


 メロウさんは女子二人のリアクションが大きかったからか、満足そうに笑った。


「すごいでしょ?酸素は皮膚呼吸で勝手に入るんだよ。もちろん肺で水を吸った方が酸素は入るけど、普段空気しか吸ってない陸上の種族が水を吸ったり吐いたりしようとしても、呼吸筋の強さ的に難しいんだ。だからそれは激しく体を動かした時だけにすればいいよ」


 そう説明してくれたメロウさんの首に、私は一筋の切れ目を見つけた。


 あれは、おそらくエラだろう。


「そうか、だから魚についてるのは肺じゃなくてエラなのか……」


 メロウさんはうなずいて私の推測を肯定してくれた。


「正解。水みたいに抵抗が大きなものは同じ管から出し入れするよりも、一方向に流したほうが効率的なんだよ。泳いでいるだけで酸素が入ってくるしね。まぁ魚によってはエラでプランクトンを捕まえるものもいるから、水の抵抗ばかりが理由じゃないけどね」


「へぇ……生き物の体ってすごいですね」


 メロウさんは感心している私たちに向かって柔らかく微笑みかけた。


 その声音が妙に優しげになる。


「そして、ここからがインストラクターの腕の見せ所だよ。二人とも気持ちをリラックスさせて」


 メロウさんはそう言ってから、ゆっくりと口を広げて喉から不思議な音を出した。


 私はそれが歌っているのだということに気づくまで、少しの時間を要した。


 というのも、メロウさんの歌声は声であるはずなのに、まるで楽器でも奏でているかのような美しい音色だったからだ。


 そして、私の意識はそれを美しいと思ったところでほとんど途切れた。


 いや、完全に意識を失っていたわけではない。ただ頭の中に濃い霞がかかったようになり、ふわふわとした心地の良い半覚醒状態のままメロウさんに促されるままの行動を取った。


 どのくらいそうしていたのかは分からないが、私は気づけば砂の上に横たわっていた。


 海底の砂の上に。


「あれ……私……」


 まだ軽くフワフワする感覚の中でつぶやいたが、自分の耳に入ってくる自分の声に大きな違和感を感じた。


 それはそうだろう。水の中でしゃべっているのだから。


「気づいたかな?二人とも、そのままリラックスしてて」


 メロウさんの声も少し響くような、こもったような音になっている。


 それを聞きながら横を見ると、リンちゃんも私と同じようにボウっとした眼で水面のキラメキを眺めていた。


「人魚の歌声は催眠魔法になるんだ。それを使って二人を半覚醒状態にして、水の中に潜らせたんだよ。皮膚呼吸できるって頭では分かってても、いざ肺に水が入ってくるとパニックになる人が多いからね」


 私はまだハッキリしない意識の中で、メロウさんの取った行動に納得していた。


 確かにいきなり『肺で水を吸え』と言われても、怖くてできないだろう。


 咳き込んでパニックになりかねない。


「今の君たちの肺や鼻腔には、もう水を入れてある。水の性質付与で苦痛はないはずだよ。ゆっくり催眠を解くから、この状態を受け入れていくんだ」


 メロウさんがまた不思議な声で歌い始めると、だんだんと意識がハッキリしてきた。


 ゆっくりと起き上がったリンちゃんが、頭を振りながら口から小さな気泡を出した。


「なんか……変な感じです。呼吸が重くて、声もうまく出せない気がします」


 私もリンちゃんの言うことに同意した。


「あー……確かにそんな感じ……でも別に苦しくはないし、そのうち慣れそう」


「そうですね。ちょっとすれば慣れそうです」


 メロウさんは私たちの様子を見て安心したようだった。


「お、この分なら大丈夫そうだね。二人とも水中活動の才能があるよ」


 リンちゃんは褒め上手なメロウさんの言葉に笑った。


「ええ?まだ水に入っただけですよ?」


「そうだけど、この時点で脱落する人も結構多いんだ。さっきも言ったようにパニックになったり、あと気持ち悪くなっちゃう人もいるね」


 そうなのか。


 まぁ確かにいくら苦痛がないとは言っても、やはり肺まで水浸しというのは陸上生物にとってありえない状況ではある。体調を崩す人がいてもおかしくはないだろう。


 メロウさんは尾をはためかせて私たちの周りをグルッと一周泳いだ。普通の人間では考えられないような速度だ。


「でもまぁ、確かに水中活動での技術を教えるのはこれからだよ。ビシバシやっていくから覚悟してね。このくらいは泳げるようになってもらうから」



***************



「よーし、上手だよ。でももう少しももを上げて。そう……そのくらい」


「はふぅ」


 私はメロウさんに太ももを軽く押し上げられ、小さく吐息を漏らした。吐息と言っても吐き出しているのは海水だけど。


 メロウさんは今、私に泳ぎ方のコツを教えてくれている。


 手取り足取り正しいフォームを教えてくれるのだが、私の肌を優しく触る手のひらがゾクリとした快感を生じさせた。


 ただ、多少変な吐息を漏らしてもあまり気にはならないはずだ。


 メロウさんは本人も言っていた通り、結構ビシバシ指導してくる。普通に息が切れる程度にはキツかった。


(でも、イケメン爽やかインストラクターに手取り足取り教えてもらえるなんて……この旅行代理店、このプランにして良かった)


 私はハァハァしながらこの僥倖に感謝していた。


 メロウさんが私の二の腕をそっと触り、動きを直す。その優しいボディタッチにまたドキドキしてしまう。


 しかしその動揺で私は思わず体勢を崩してしまい、逆さになりかけた。


 それをメロウさんが優しく抱きとめるように支えてくれた。


 私はそのどさくさに紛れて、メロウさんの胸に頬を押し当てた。


「ご、ごめんなさい」


 と、言いながらその大胸筋の感触を堪能する。うーん、良い。


 煩悩にまみれた私とは正反対に、メロウさんは爽やかな笑顔を返してくれた。


「大丈夫だよ。それにしても、初めに比べたらだいぶ良くなったね」


 メロウさんは悪いところをビシバシ直してくるものの、しっかりと褒めてもくれる。絶対人気が出るタイプのインストラクターだ。


 リンちゃんもそんなメロウさんの言うことに同意した。


「ホント、クウさん初めよりかなり速いですよ」


 そう言ってくれるのは嬉しいのだが、リンちゃんは私の倍以上の速度で遊泳していた。


 普通に泳いだだけで出せる速度ではない。


「リンちゃんいいなぁ……私も水魔法が使えたらいいのに」


 リンちゃんが異常に速いスピードで泳げるのは、水魔法で水流を生じさせて補助しているからだ。


 というか、人魚を始めとした水中種族は魔法を併用して泳ぐのが当たり前らしい。


 メロウさんはその様子を眺めながら感嘆の息を吐いた。


「はぁ……リンちゃんって水魔法を習ったのは本当に初めて?それでここまで上手く使える陸上種族なんて見たことないよ。才能がある」


 そう、リンちゃんは水魔法をきちんと習ったのはこれが初めてらしいのだ。


 にも関わらず、まるで水中種族であるかのように縦横無尽に泳いでいる。


「私もビックリです。もしかしたら肺まで水浸しにされたのが関係してるのかもしれません。なんだか、今までに無いくらい水が身近に感じるんです」


「もしかしたら関係あるかもしれないね。それにスライムは水気を好むし、水魔法との相性はいいのかもしれない」


 メロウさんはそう納得していた。


 ちなみに私も一応は水魔法の使い方を習ったのだが、手であおぐ程度の水流しか起こせなかった。


 要は水に魔素を混ぜる感覚をもって操るのだが、私には水が上手くイメージできないのだ。


 身体強化よりもよほど難しいと感じたが、この辺りは人によって相性があるのだろう。


「私も得意な召喚魔法で何とか出来たらいいのに……」


 と、そこまで言って気がついた。


「……そうか、使役モンスターに引っ張ってもらえばいいんだ!!」


 なぜ今まで気が付かなかったんだろう。きっと水の中でも活動できる使役モンスターもいるはずだ。


 メロウさんは私の言葉を聞いてニヤリと笑った。


「ああ、気づいちゃった?格納筒を持ってたからクウちゃんが召喚士だってことはすぐ分かってたんだけど、今までわざと黙ってたんだよ」


「え?そうなんですか?」


「うん。だって初めから気持ちが使役モンスターを頼っちゃったら訓練に身が入らないでしょ?普通に水中生活を送るには細かく移動することの方が多いけど、そういう時には結局自分で泳ぐことになるからね。だからきちんと訓練を受けてもらうために、わざと言わなかったんだ」


「あー……そうですね。確かにそうなりそうです」


 メロウさんの言うことはもっともだったし、私は私でイケメン爽やかインストラクターとのボディタッチを堪能できた。


 何ら不満はないです。


「でも基礎はもう出来るようになったから、そろそろいいかな。後は実践でやっていくしかないし、使役モンスターの方を試してみていいと思うよ。水中で活動できそうなモンスターは持ってる?」


 私はうちの子たちを一人一人頭に思い浮かべた。


 全て陸上で隷属させたモンスターではあるが、全てが泳げないというわけでもないはずだ。


「えーっと……」


 私が一匹一匹の顔を思い浮かべていると、突然メロウさんが後ろから抱きしめてきた。


 たくましい大胸筋が私の背中に押し当てられる。


 私は水着だしメロウさんは何も着ていない。肌と肌が密着し、私の胸は嫌が応にも高鳴った。


「えっ、えっ?」


 私はそんな声しか上げられなかったが、それも一瞬のことだった。


 ものすごい速度で加速したメロウさんに引っ張られ、強烈なGを全身に受けることになった。


「キャアア!!」


 私は悲鳴を上げながら、視界の隅を何かが素早く流れたのを見た。


 それはあまりに速すぎて何なのか分からなかったが、すぐにメロウさんが教えてくれた。


「シーサーペントだ!!かなりヤバいやつだよ!!」


 メロウさんは叫びながらリンちゃんの腕を取り、さらに尾をはためかせた。


 少し離れたところに置いてあった荷物のところへと向かう。


 そこにはメロウさんの武器である三叉の槍、トライデントが砂に挿してある。


「二人はここで一緒にいて!下手にバラけられると守るのが難しくなる!」


「わ、分かりました……」


 リンちゃんは体をすくませて返事をした。


 メロウさんは素早くトライデントを手に取り、シーサーペントへ向けて構える。


 シーサーペントは一言で言えば大きなウミヘビのモンスターだった。


 と言っても、そのサイズはウミヘビとしては度を超している。


 体長は五、六メートルくらいあるのではないだろうか。普通の蛇と違って尻尾の先にヒレが付いている。


 不意打ちをかわされたシーサーペント次の攻め手を考えているようだった。


 体をクネクネと波打たせながら、こちらの様子をうかがっている。


「普通はこんな浅いところにいるモンスターじゃないんだけど……何かの拍子に迷い込んだのかな」


 私たちがいるのは水深十メートルにも満たないような場所だ。確かにこの大きなモンスターには狭いかもしれない。


 逆に言うと、陸地はそれほど遠くはない。そこまで逃げれば大丈夫なのではないだろうか。


「陸まで逃げられませんか?」


 私の質問に、メロウさんは首を横に振った。


「そう簡単には逃してくれないだろうし、何よりシーサーペントは陸上でも普通に大蛇として高い戦闘力を持ってるんだ」


「えっ、そうなんですか……」


「普通のウミヘビでも陸上で活動できるやつが多いんだよ。あとウミヘビと同じようにシーサーペントの牙には強い神経毒があるんだ。絶対に噛まれないようにしないと」


 リンちゃんはメロウさんの警告を聞いて、頬を引つらせた。


「っていうか、あのサイズの蛇に噛まれたら毒がなくても死んじゃいますよね……」


「まぁね。でもアレはまだ子供だよ。成体のシーサーペントは、外洋船くらいのサイズがあるから」


(が、外洋船って……それ何十メートルあるんだ)


 半ば呆れるような恐怖心を抱いた私たちへ、シーサーペントが急加速してきた。


 どうやら真正面から噛みつきにかかることにしたようだ。


 こちらの水中戦力であるメロウさんもシーサーペントへと真っ直ぐ突き進む。


 その背中を見たリンちゃんが驚きのつぶやきを漏らした。


「は、速過ぎ……!!」


 メロウさんは目を疑うほどの速度で泳いでいた。まるでミサイルだ。


 私は魚雷というものを見たことはないが、もしこれが魚雷の速度だと言われたら納得しただろう。


 シーサーペントもかなり速いのだが、少なくとも速度においてはメロウさんが勝っている。


 メロウさんはシーサーペントの牙をかわしつつ、その胴体に向かってトライデントを繰り出した。


「はぁっ!!」


 鋭い先端はシーサーペントの革を貫いて刺さり、血の赤いもやが海中に広がった。


 攻撃は見事に決まったはずなのだが、メロウさんの口から出たのは舌打ちでも付きそうな声だった。


「くそっ、浅い!やっぱり俺の攻撃じゃシーサーペントには致命傷を与えられないぞ……」


 そんなメロウさんの胴体を、またシーサーペントの牙が襲った。


 確かにトライデントの一撃はあまり効いてはいないようで、その動きは相変わらずキレキレだ。


 しかし、やはり人魚の遊泳速度はすごい。メロウさんはスピードに物を言わせてまた牙をかわした。


「このままシーサーペントが諦めるまで捌き続けられるか……」


 メロウさんは今までの二撃を完全にかわせていたし、トライデントの攻撃も効いていないわけではない。


 ただ、相手が嫌になるまで無事に戦い続けられるかといえば、それはなんとも言えないところだろう。


(私も手伝わないと……)


 私は頭の中にうちの子たちの姿をズラリと並べ、水中に向いていそうな子の検討をつけた。


「……よし。スケさん!カクさん!バンクル!出ておいで!」


 私は腕だけのモンスター、スケさんとカクさんに加えて、魔石が本体であるバンクルを召喚した。


 この子たちは活動に酸素を必要としない。


「あなたたち、水の中でも動ける?」


 私の質問への回答は、三体ともが、


(やってみる)


というようなものだった。


 そりゃそうだ。皆、水中での活動は初めてなのだから。


 ただ、私の予想では多分いけるはずだ。


 ハンズであるスケさんとカクさんは念動力で動くから水中でも大丈夫だと思う。


 それにバンクルの普段の姿は発光体で形作られた大蛇のようなものだ。


 それこそシーサーペントと同じような姿をしているのだから、同じようにクネクネと泳げるだろう。


「みんな頑張って!」


 三体は私の激励に応え、期待以上の動きを見せてくれた。


 もちろん陸上よりもスピードは落ちているが、それでもかなり速い。


「すごい!いいよ!上手上手!」


 褒められてテンションの上がった三体はシーサーペントへと突っ込んでいく。


 もちろん本来なら水中戦はシーサーペントの独壇場だろう。ただし、今はメロウさんも含めた四対一だ。


 あらゆる方向に敵を抱えたシーサーペントは明らかに動きを鈍らせている。


 その胴体をカクさんの鋭い爪が襲った。


 カクさんはドラゴンのハンズで、その爪による攻撃は紛れもないドラゴンクローだ。


 が、爪はシーサーペントの革を傷つけはしたものの、破ることはできなかった。


(水の抵抗が大きいからだ!攻撃方法を考えさせないと……)


 私はそう判断し、すぐにカクさんに指示を出した。


「カクさんは体に爪を立てて、握り潰すような攻撃をして!!」


 これなら水の抵抗は関係ないはずだ。


 そして実際に決まったその攻撃はシーサーペントの肉をえぐり、結構なダメージを与えたようだった。


「キイッ!!」


 と、巨大なウミヘビは苦痛の声を上げた。


「クウちゃん上手いよ!水中での戦いがよく分かってる!」


 そう褒めてくれたメロウさんがまたトライデントを繰り出す。


 それに気を取られている間に、バンクルはシーサーペントの喉元に噛み付いた。


 スケさんは自身の攻撃力はないが、シーサーペントの顔の周りを飛び回って撹乱している。


(よし、このまま……)


 期待とともに私がそう思ったのも束の間、シーサーペントは水中で聞こえるにしてはやけに高い声を出した。


「キキキキキ……」


 という鳴き音に応じるように、シーサーペントを中心にして強い渦の水流が発生する。


 それによってメロウさんや私の使役モンスターたちがシーサーペントから引き剥がされた。


 私とリンちゃんもその余波に巻き込まれ、海底から足を浮かせた。


 そして水流に押されてバランスを崩しているところへ、シーサーペントが大口を開けて向かってくる。


「……キャァア!!」


 恐怖に震えたリンちゃんは私の背中にしがみつき、悲鳴を上げた。その顔は真っ青になっている。


 私も正直なところ怖かったが、こんなリンちゃんを背中にしてただ震えているわけにもいかない。


 私はリンちゃんを守るように両手を広げ、一体の使役モンスターを召喚した。


「ブルー!」


 ブルースライムのブルーだ。


 スライムは活動に酸素を要するため水中ではそう長くは使えないはずだが、どうせシーサーペントは数瞬後にはここへ来る。


「こうやって!!」


 私の意思を受けたブルーは体を素早く変形させて、円形に平たく延び広がった。そしてすぐに温度低下のローションを分泌する。


 それによってブルーの周囲の海水は瞬時に凍りつき、私たちの目と鼻の先まで氷になった。


 大きな氷の盾ができたのだ。シーサーペントはそれに顔面からぶつかることになった。


 押された氷は私にもぶつかったが、毒の牙に噛まれるよりはマシだったろう。


 それに魔素による身体強化も成功して、私は大したダメージは受けなかった。


 私の後ろにいたリンちゃんも無事だ。


「二人とも大丈夫かい!?」


 急いで駆けつけてくれたメロウさんのトライデントがシーサーペントの首に突き刺さる。


 シーサーペントは頭を打って脳震盪を起こしていたらしく、クリーンヒットした。


 しかもメロウさんは私たちの危機を思って急加速してくれたようで、今まで以上に深く突き刺さった。


 そこへバンクルも来て食らいつく。


「バンクル、そのまま離さないで!メロウさん、歌の催眠魔法でシーサーペントの意識を抑えられませんか!?」


「えっ!?……十秒くらいならフワフワさせられると思うけど、すぐに振り払われるよ!」


「十分です!お願いします!」


 私がそう頼んだ時、シーサーペントはまた水魔法で渦の水流を起こそうとしていた。


 しかしメロウさんが歌声を奏で始めるとそれは止まり、体の動きも急激に鈍った。


「バンクルは伸びて!スケさん、カクさんはこんな感じに!」


 私はやりたいことのイメージを三体へ伝えた。


 バンクルは大蛇のような発光体を伸ばし、シーサーペントと同じくらいの体長になる。カーバンクルの発光体は実体ではないためサイズの自由が効くのだ。


 スケさんカクさんの方はシーサーペントの体を掴んで無茶苦茶に動きまくった。


 それに合わせてバンクルの長い体ものた打ち回る。


 そしてメロウさんの歌魔法が振り払われる頃には、私の思い描いていた理想の形が出来上がっていた。


「……うわぁ。俺こういうの苦手なんだよね。なんか見てるだけでイライラしちゃって」


 歌を止めたメロウさんの第一声はそれだった。


 私もその気持ちはよく分かる。


 シーサーペントの長い体は、バンクルの体と複雑に絡み合っていた。


 その様子はまるでグシャグシャになってしまったコード類のようだ。メロウさんだけではなく、多くの人が嫌がる光景だろう。


 そしてここが最も重要だが、シーサーペントの口周りにもバンクルの体が回され、しっかり縛られていた。


 大抵の生き物はそうなのだが、口は閉じる力は強くても開く力は弱くできている。


 恐怖の毒牙はこうやって縛るだけで簡単に無力化できた。


 シーサーペントはまた水魔法で渦の水流を起こし、バンクルを剥がそうとした。


 が、こんがらがった糸のようになった二体はその程度では離れない。むしろさらに絡まってしまう。


 これでシーサーペントの詰みだ。


 私はホッと息を、というか、海水を吐いた。


「ふう……なんとか勝てましたね」


「いや、クウちゃんは本当にすごいよ。シーサーペントって、人魚でも出会ったら普通は逃げの一手しかない絶望のモンスターだからね。今回はなんとか二人を守らないとと思って戦ったけど、むしろ守られちゃった」


「いえ、メロウさんの歌があったからですよ」


「だとしても、初めての水中戦でここまで戦えるなんて大したもんだ」


 私はべた褒めされてなんだか恥ずかしくなり、頭をかいた。


 そんな私にまだしがみついていたリンちゃんは、抱きつく腕にさらに力を込めてきた。


「クウさん……ホント素敵です……惚れ直しました……」


 ん?なんだか口調がやけに熱っぽくはないかい?


 それに、真っ青だった顔がなぜだか紅潮しているよ?


 私にはそれが気にはなったものの、まずはシーサーペントの処理だ。


 こんがらがったウミヘビは、私たちから少し離れたところでまだバンクルを引き剥がそうと暴れている。


 私はブルーの召喚をいったん解除して、氷の中から出した。そして再度召喚し直し、シーサーペントのところへと向かわせた。


 ブルーは平たくした体を波打たせて泳いでいく。


 そしてシーサーペントの顔のそばまで来ると、先ほどと同じように温度低下のローションを使ってその周囲を凍りつかせた。


 ただし、今回は先ほどとは違ってシーサーペントの頭ごと凍らせたのだ。


 頭が大きな氷塊になったシーサーペントは、さすがにしばらくすると大人しくなってきた。その内ぐったりとして動かなくなり、脱力したまま水中を漂い始める。


 私はスケさんとカクさんに引っ張られてそこまで行くと、すぐに呪文を唱えた。


「セルウス・リートゥス」


 青く発光した指をシーサーペントへと挿し込む。


 するとその体は指と同じように青く光り、それから蔦のような紋様が浮かび上がった。


「よぉ〜し!水中用の使役モンスターゲット〜♪君の名前は……シーサーだ!よろしくね、シーサー」


 なんだか沖縄の狛犬みたいな名前になってしまったが、まぁいいだろう。この異世界に沖縄はないはずだ。


 私はシーサーを一度格納筒に仕舞い、それから召喚した。それでシーサーの頭の氷塊はちゃんと取れてくれた。


「シーサー、私を乗せて泳げる?」


 私の質問にシーサーは肯定の念話を返してきた。


 その意思に従ってまたがると、シーサーはものすごい速度で泳ぎ始めた。


 しかも驚くべきことに、私の体には大した水の抵抗を感じない。


「すごい……これ、水魔法で水流を作ってるから?」


 恐らくそういうことだろう。


 新しいうちの子は強いだけでなく、細やかな気配りまでできる優秀な子だ。


 私はシーサーに乗ってその辺をぐるりと回り、それから二人の所に帰ってきた。


 そしてメロウさんへあらためてお礼を伝える。


「メロウさんが使役モンスターのことを言わずに鍛えてくれて、本当に良かったと思います。確かにこんなに楽ちんじゃトレーニングに身が入りませんよね」


「そうでしょ?でもまぁ、クウちゃんはもう結構上手になったから……」


「いえ!私もっともっと上手くなりたいです!また手取り足取り教えてもらえますか!?頑張りますから!」


 急に気合の入ったことを言い出した私に、メロウさんは目をぱちくりとさせた。


 しかし生徒のやる気はインストラクターとしては嬉しいことだろう。


 満足そうに笑ってうなずいた。


「よーし……じゃあ時間いっぱい、手取り足取り鍛えてあげるよ!覚悟しておいてね!」


 その回答に私の方も大いに満足した。


 というのも、私の魔素は先ほどの戦闘で枯渇しかけているのだ。


 そのせいでムラムラがピークに達した結果、ぜひともメロウさんの手取り足取りをまた堪能したくなった。


(どんな風に体勢を崩して抱きつこうかな……)


 そんな事ばかりを考える私ではあったが、熱血インストラクターのおかげでかなり上達はした。



***************



☆元ネタ&雑学コーナー☆


 ここから先は筆者が話の元ネタなどを気の向くままに書き記しているコーナーです。


 本編のストーリーとは関係ないので興味ない方は読み飛ばしてください。



〈人魚〉


 人魚の伝説は世界各地にあります。


 ギリシア神話のセイレーンを筆頭に、ローレライ、メロウ、タクラハ、ハゥフル……と、たくさんの人魚が語り継がれてきました。


 作中では歌声に魔法を乗せる設定にしていますが、セイレーンやローレライは歌で人間を惑わせます。


 人に害をなすものとされることも多い一方、食べると不老長寿になるなどの設定もあり、人間との関わりは伝説ごとでまちまちですね。


 日本にも人魚の肉を食べて八百歳まで生きた八百比丘尼やおびくにという女性の伝承があります。


 死ぬまで十七、八歳の容姿だったというから憧れる人も多いかもしれません。


 この八百比丘尼の話は日本各地で語り継がれているのですが、面白いことに内容が土地ごとで多少異なっているんです。


 『死んだのではなく行方不明になった』『他の人に寿命を譲った』『日本各地に木を植えた』『天気を読めた』などなど。


 伝承というものの本質が分かる気がして興味深いですよね。



〈ウミヘビ〉


 ウミヘビって蛇なの?魚なの?


 という疑問、誰もが一度は持ったことがあるのではないでしょうか?


 その答えは『両方』なんです。


 『ウミヘビ』という名前がつく生物はいくつかいるのですが、肺呼吸する爬虫類のウミヘビもいれば、エラ呼吸する魚類のウミヘビもいます。


 すっげぇ分かりづらいですよね。


 別の名前にして欲しいものですが、昔からそう呼ばれているのだから仕方ありません。


 分類学的にも『爬虫類有鱗目のウミヘビ科』と、『魚類ウナギ目のウミヘビ科』があります。


 つまり、魚の方のウミヘビはウナギの仲間なんですね。


 生態の方は結構違っていて、例えば爬虫類のウミヘビは牙に毒があるものが多いのですが、魚類のウミヘビにはありません。


 また肺呼吸の爬虫類ウミヘビは水陸両用のものが多いのですが(完全水棲種もあり)、エラ呼吸の魚類ウミヘビは当然水中だけです。


 ちなみに作中のシーサーペントはそれをごちゃまぜにした設定で書きました。


 ファンタジー作品なのでその辺はご愛嬌ということで。



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お読みいただき、ありがとうございました。

気が向いたらブクマ、評価、レビュー、感想等よろしくお願いします。

それと誤字脱字など指摘してくださる方々、めっちゃ助かってます。m(_ _)m

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