最終話 あるべき姿を取り戻した世界
あ~あ、今日から高校生か…。白河 純は自分の部屋でため息をついていた。
私は高校の女子の制服を見つめて、
「これ、着たくないな。私の心は男なのに…。」
子供の時から、私は男の子たちが羨ましくて堪らなかった。毎日楽しそうに外で暴れまわっている姿を見て、なんで自分は女の子の体なんだろう…。
今は理解のある人も増えた性同一性障害(LGBT)
理解は増えた…でも、家の両親はその事実、それを認めなかった。
でも、私は学校に行くために制服に着替えて家を出た、
家の門を出たその時に、
「純。迎えに来たぞ。」同じ制服を来た男子高校生がいた。
「すみません、どちら様ですか?」
私はその方に見覚えが無かったので尋ねた。
「お前、大丈夫か?俺の替えの制服を貸してやるよ。」
その方は自分のカバンから、男子の制服を取り出して渡してきた。
「見ず知らずの方にそんなことされても困ります…。」
私がその男子高校生の方の行動に困惑していると、
「俺の家に来て着替えろよ。こっち。」
そう言うと、私の手を引っ張って行き、強引に案内された。
いつもの私なら、問答無用でこう言う人は倒すのだが、何故か?この人は悪い人で無いことが、分かっていた。
(この人が誰か?記憶に無いのに…大切な人のような気がする…。)
変な男子高校生に連れて行かれた家の前で、うちの制服を来た、美少女が座り込んでいた。(この人も…知っている、気がする…。)
「悟くん、なんで勝手に行っちゃうの?私、純ちゃんの家、知らないんだからね?」美少女の女の子はこの家の男子高校生に向かって叱っていた。
「そうだったか?まあ、中に入ろう。」
二人は強引に私を家の中に連れて行きました。
家に入ると、何故か懐かしい…そんな感じがしたが、二人はそのまま私を二階に連れて行き、ある部屋の前で、
「純、お前の部屋だ、これからはここを好きに使えよ。」
男子高校生はそう言うと、美少女の女の子に引っ張られて、
「私、妹の着替えを手伝うよ。」彼女はそう言い、私と部屋に入って行った。
部屋に入ると、すべて私の好みのモノが置いてあり、懐かしさを覚える部屋になっていた。この部屋は一体…。そんなことを考えていると、
「これは私がお前のためだけに作った部屋だ。壁をぶち抜いたり、家全体の基礎からやり直しになったが、金は持っているからな。」
私は彼女を不思議そうに見つめていると、
「私は二年の柏野 美優と言う。学園一の美少女でお前の姉だ、よろしくな。外で待っているこの家の住人の一人でお前の兄の朝倉 悟吏だ。」
どういう意味なんだろう?姉とか、兄とか、
「鈍い奴だな。それより早く着替えないと遅刻するぞ?お前は男になりたいんだろ?それとも私と兄を取り合う、いつもの関係になるか?あんな、平凡な男を取り合う価値は無いけどな…。」
その言葉を聞いて何故だかこの人がムカついて来た。
「兄は優しくて素敵な方です!あなたなんかに兄の良さが分かるわけ無い!」
私は思わず言葉が出てしまっていた。(あれ?なんでだろ?)
「私とお前の兄は許嫁だから、お前がどうあがこうと手に入れる事は出来んぞ?しかもお前の心は男だから、美少女で心が女の私にお前は勝つ見込みが無いな。」
私は何故かこの人の発言に苛立ってしまう。そしてあの男性の事が好きで堪らなくなってきた。急にあの私の兄と呼ばれている人に女として見て欲しくなってきた。
「私は着替えません。あの人に女として見て欲しいから。」
私は素直な気持ち、それに従って見る事にした。でも、この女は、
「何度も言おう、私は美少女であれの許嫁だ。お前が私に勝ている要素と言えば、背が高くて胸大きめ、スタイルがいいくらいだ。男っぽい中身のせいでまったくモテない女だし、アイツを押し倒して胸を当ててやれば性的興奮を覚えて、万が一はあるかも知れないがな…。」
この女の事が私は嫌い!あなたのような下品な人に兄は渡さない。
その時、とっさに部屋を飛び出して、兄に抱き付いた。
「ねえ、お兄ちゃん!あんな顔だけの下品な女より私の方が好きだよね?」
私は無意識にあの人を兄と慕い、その兄に一人の女として見て欲しいと願うようになっていた。その瞬間、私は男になりたい気持ちが完全に消えてしまっていた。そして私は、
「お兄ちゃんはあの女か、私、どっちがいい?」と聞いていたら、
私の部屋からあの女が、
「お前は朝から発言が重いな。だからモテないんだよ。」
(とにかく、すべてがムカつくなこの人…。チビのくせに…。)
「あら、美優お姉さまは性格が悪い上、下品な事しか言わない…。この勝負、私の勝ちです。圧勝ですよ。」
私はお姉さまに朝からケンカを売られていたが、冷静に対応していた。
「お兄ちゃん。こんな人を放っておいて早く学校に行こう?」
私は兄の手を引っ張って家を飛び出していた。
その姿を見た兄は、
「純。お帰り、会いたかったよ?」笑顔で私を見てそう、言ってくれた。
「うん、ただいま。私も会いたかった。」
私はそのあと、ベッタリと引っ付いて兄に甘えた。
その二人を静かに見守っていたお姉さまが、
「やれやれ、手の掛かる妹だ…。だが、それが私の大好きな可愛い妹だな。」
と私たちに聞こえない声で呟いていたみたいだった。
そして、いつも通り、三人は仲良く学校に向かって行った。
END
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これで終わらせます。最後までお読みくださりありがとうございました。
物語の終わりかたは難しいですね。
でも、入れ替わり要素を含む作品を作る、難しさを感じていい勉強になりました。
過去改変をした姉と幼馴染の兄と私 サトリ @satori-482
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