第25話 世界を戻すと私は消える
私は休み時間に、二年の兄の教室に行くと、女子生徒たちは男子生徒たちに興味津々に話し掛けていた。原因は美優お姉さまの体に意識を呑まれ、お兄ちゃんとくっつくお姉さまだった。
彼女は自分の席に座らず、お兄ちゃんの膝の上でじゃれあっていた。
快楽に浸るお姉さまと何をしても怒らない兄の優しい対応を見て、男女の交わりに興味を持っていたからだ。
体を入れ替えられた男女の二人も、ものすごく優しくなった元男子の女子生徒が男子の体になった、元女の子を優しく愛でていた。
どうやら、この学校の女子生徒は男子生徒と付き合うとメリットだらけであることを知ったみたいだった。
きっとこの流れは日本中に広がり、やがて世界を巻き込んで行くだろう。そして男性の体には、怒りや憎しみが出ないことを知られると世界の男女比率の人口が大きく変化する。例え、私たちの代で変わらなくても、何百年後には流れが変わってしまい、世界は…人間は…繁殖のバランスを崩し滅びるだろう。
私はこの状態を見ていた、恋歌に話し掛けていた。
「恋歌、もう私たちに負けを認めて世界を全部、元に戻しなよ?」
しかし、彼女は何も語る事はなかった。
「分かったでしょ?例え、世界を変えるほどの能力を持っていても、平和で完璧な世界なんて作れないんだよ」
「あなたは確かに弱者に優しい世界を作ったと私は思うわ。でも、その改変で多くの人間の人生を変えた。私たちは神の領域に触れる事をやってしまった。もう、止めよ?こんな事するの…。美優お姉さま。」
私は彼女の中にいる美優に声をかけていた。
「分かったよ、純。すべてを無かった事にしよう。これですべての平行世界が抹消される。それで本来存在する、一本の道しか無くなる。」
恋歌(美優)は元に戻す、約束をしてくれた。
「ただ、お前の存在は消えるぞ?朝倉 純と言う人間はこの世には、存在しないそれでも、構わないんだよな?」
私はこの世には本来、存在しない人間。大丈夫だよ、覚悟はしている。
姉は私をしばらく見たあと、
「その目は本気だな。よし!姉としての役目を果たすよ。」
そのあと、彼女は恋歌と美優の体を入れ替えて元に戻した。そして、
朝倉兄妹と柏野姉妹の四人は近くに集まった。
美優お姉さまが、
「悟吏、純、恋歌お姉ちゃん。私たち四人の力を合わして世界を最初にあるべき世界に戻すのを協力してください…お願いします。」
私たち三人に頭を下げて来た。
「ああ、美優のためなら、よろこんで手を貸すよ、俺は。」兄
「愚妹のしでかした事は姉の私の責任だ。」恋歌お姉さま
それぞれの決意を聞いた私は、
「私は三人の妹になれて良かったです。もし、元の私…白河 純に会ったら、仲良くして上げてくださいね。」
私の原点、ベースの人間である彼女の事をお願いしていた。
「もちろん、私たちの自慢の妹だからね。必ず、約束する。」
三人はまったく同じ答えを言って、約束してくれた。
四人は過去改変能力を使い、今までの事象を完全に無かった事にした。
ああ、これで私は消えて無くなるね。でも、いいんだ。こんなに楽しい思いをさせてもらったし。それに…ここまで命を与え、生かしてくれた。
(本当にありがとう。美優お姉さま、お兄ちゃん…。)
そして…世界はあるべき姿を取り戻した。ただ、朝倉 純はこの世界では存在していない人物だったため、私と言う意識は消滅していった。
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