第20話 恋歌は自分の正義に忠実な人間
学校の校門で恋歌が待っていた。
「恋歌お姉さま、男子がいじめられていました。この世界は全然、平和じゃ無いですよ。」
彼女に女性が暴力で押さえつけるのは、平和じゃ無いと言うと、
「完璧は無理よ。女でも下等な知能を持つ奴はいるから。」
口が悪いですよ、恋歌。
「でも、世界的な人口は減っていてすべての問題は減ってきているわ。」
恋歌はこの世界の利点を見ろと言ってきた。
確かに地球温暖化の進行も緩やかだし、紛争がほぼ無い、水や食料危機も今はあまり考えられない。もちろん情報の統制が行われるから鵜呑みにはしないけど…。
「本当は少数の男性を犠牲にした世界なんでしょ?そんなに自信があるなら恋歌は男になれば良いじゃない。」そう話すと、
「私が悟吏になっても良いが、美優はあれがいいらしいからな。」
(私には逃げの発言にしか聞こえないよ?恋歌。)
「男になるのは嫌なんでしょ?だって弱い立場だもん。」
私はさらに彼女に詰め寄った。
「あまり、調子に乗るなよ?美優。お前、私の妹だから何もしないと思ったら大間違いだぞ?少し面白いものを見せてやる。」
恋歌はやはり悪魔だ、人の事なんて思っていない。
すると、小さな男子生徒に暴言を吐いて脅している、少し背の高い女子生徒が学校から二人で出てきた。
「あの下等な女がちょうど良いな。」
「おい!そこの女!お前は男なんかをいじめて楽しいのか?」
恋歌は男子との間に入り止めた。
「あ?あんたに関係ないでしょ?コイツと私の問題だよ?」
女子生徒は恋歌に食って掛かった。
「お前は女でいる資格は無いな、男になって一生、反省しろ。」
恋歌は女子と男子の手を握って力を発動させて、魂を入れ替えてしまった。
「どうだ?男になった気分は?弱者を蔑む、お前に相応しい末路だ。」
男子生徒に告げたあと、
「お前には女の体を与えた。でも、溺れるなよ。女は強いんだから、正しく生きろ、じゃないと男に戻すからな…。」と女子生徒に話した。
いじめられっ子といじめっ子の体を入れ替えてしまった。
「あんた!どういうつもりよ!」男に入れ替えられた元女子が恋歌に言うが、
恋歌は軽く投げ飛ばしてしまった。
「寄るな、下等な生き物が!」罵声を浴びせてから、二人の元を離れた。
男になり、精神が追い詰められた元女子生徒は
「私の体を返してよ!お願いします。」元女子は元男子に泣きついていたが、
「ごめん、僕には無理なんだ。だけど、僕が君を守るよ。」
二人は手を取り合い不安定な元女子を元男子が支えていた。
「なあ、美優?これでも、私の行いは間違いだと言えるか?」
イジメ問題を体を入れ替えて解決した、恋歌が私に問いただしてきた。
私が間違いだから止めろって!って答えられずにいると、
恋歌は私に、
「忘れるなよ?私はこの世界を作ったんだ。人の魂の入れ替えなんて容易に行えるぞ?私はお前を本当に買っているから、美優の体を渡しているんだ。」
「それに大丈夫だよ?美優。お前に迷惑を掛けた下等な女も見つけ出して、男に入れ替えとくからな…。妹思いで優しいでしょ?お姉ちゃんは。」
そう囁いたあと、二人は仲良くしろといい、その場を去って行った。
確かにあの恋歌は私たちを騙して、元恋歌の体を奪い、世界を改変した。
でも、アイツは自分の正義に忠実な人間だった。やり方はまずいと思う、だけど、それで救われた人もいるのかもしれない…。
私はこの時、世界を本当に戻すべきかを悩み始めた。
それになぜ、恋歌は反抗勢力である私を買っているのかも理解できなかった。
ただの悪魔なら、私の魂をああいう風に誰かの体に入れて無力化して自分の地盤を磐石にすればいいのに…。そこも理解できなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます