第18話 いじめられている男の子を助けても

 私はスマホで検索していた。教師がすべて女性だったため、男性はどんな仕事をしているのか?を知りたかったからだ。

 事務職が断トツに多い。教師では無いが学校にも雑用を行う男性がいる。男性には生理の周期も無く、ずっと働き続ける事が出来る利点を活かしてた、言いなりになる社畜会社員が多い。ストレス発散の捌け口で雇われている業種もあるみたいだが、権力者に揉み消されてその事実は上がって来ない。


 もちろん、言論の自由は許されていないみたい…。悟くんのお母様は男と付き合う私を救世主のように扱ってくれた。美少女が許嫁という奇跡が起こっている。

 この世界だったら、女性と偽る隠れ男性がいそうだが、法律でかなり厳しく罰せられるみたいだ。そのため、妊娠が分かり受精した時点で男女の産み分けが発生している。男性を産む女性は貧困家庭が多い。人身売買…労働力として子供を売ったりするからだ。もちろん法律で禁じられているため、そのリスクを犯す人は少ないが…。



 恋歌はもう自分が勝ったと思っているはず。私にはなんの力も無い、どうする事もできないって…。だから、お気に入りの私に優しくしてくるし、この体を与えている。


ただ、文武両道を貫き、自らを常に鍛えあげている恋歌の体と、

ズル賢く怠け者で見た目の良さのみ、ごまかして生きてきた美優の体では、

体力の差が違いすぎる。それを知っているから、恋歌は私の美優の事を舐めきっているんだ…。


 今日は授業が無いため、悟くんと帰ろうと探したが、いなかった…。


「ねえ、静香さん。悟くんがどこに行ったのか、知らない?」

 と親友の彼女に聞いてみると、


「美優さん。あんまり言いたくないけど、朝倉と学校で仲良くするのを見せるのは止めておいた方がいいわ。美優さんと彼が一緒にいるのをよく思わない人たちもいるみたいだから…。」

 優しい静香さんだからこそ、包むように話してくれるが、きっと彼女も見ていて、気分が良いものじゃ無いんだろう。


「ゴメンね。私みたいな変な女の子が話し掛けると迷惑だよね…。」

 人気者、恋歌の妹で美少女だから、女子は私に対して嫌がらずに相手をしてくれる感じだった…。


「そんなことない!私は美優さんを尊敬しているわ。だって男女問わずに優しくしている人なんて他にはいないもの…。」

 世界が変わっても静香さんが人格者であることは変わらない。だから、差別がありすぎる世界でも、私や悟くんを否定しないのだ。


「ありがとう、でも、逃げないって決めたから…。」そう言って教室を出た。


 探していると、女子生徒が騒いでいた。見てみると、小さい男の子が怒られていた。とりあえず止めないと、


「待って!始業式の初日から何を騒いでいるの?」

 私はぶちギレている女子と謝り続ける男の子の前に立ちはだかると、


「何なの!邪魔しないで!私にソイツがぶつかったのよ?男が私の通る道の邪魔したの!」

 ガラ悪いな~。この女の子。


「頭を下げて謝ってるよね、許してあげなよ。」私が説得しても、


「許すわけ無いじゃない!退きなさいよ!」

 可愛い女の子なのにキレ過ぎだよ。どこが平和なの?恋歌!


「退かないとお前も痛め付けるからな!」そう言ったあと、

 私に向かって殴りかかってきたので、交わして相手の腕を持ち、

 足刈り技で倒して無力化させた。


「暴力は良くないよ、分かった?」私が注意すると、


「分かったわよ、ふん!」彼女は起き上がりそのままその場を去っていった。


「男の子への謝罪も無しか、無茶苦茶だな…。」

 女の子の方が凶暴だ。男は女に暴力行為はご法度だけど、

 女は男に暴力振るうのはこの世界の常識的にはどうなのだろう…。


「大丈夫、君?」怯えている男の子に話し掛けると、


「ごめんなさい!叩かないでください!」男の子は泣いている。

 何もしていないのに、女子が近付いただけでこの拒絶反応だ。


 困ったな~。まるで私がいじめていたみたいに見えてしまうよ…。

 そんな風に考えていたら、案の定、


「あなた、2年の柏野 美優よね。」聞き覚えある声に振り返ると、


 三年生で生徒会長の桜庭 聖奈がいた。

「あっ、聖奈さん。ちょうど良かった、この子がいじめられていたんです。生徒会長なら、なんとかしてください。」


しかし彼女は、

「あなたがいじめていたって報告がここにあって来てみたんだけど…。この状況なら、疑いようの無い事実みたいね。二人とも来なさい。」

(さっきの女子だな、いじめを擦り付けられたよ。)


「従うので、この子、女子がダメみたいなので、誰か男子を呼んで下さい。」

 女の子が近付けないからね。同性の男の子に頼むしか無いから…。


「大丈夫よ、佐藤くん。彼を…。」すると後ろから、同級生の佐藤くんが、


「おまかせください。桜庭会長。」佐藤くんは男の子を抱えて連れていった。


「さあ、行きましょうか?柏野さん。」私は聖奈さんに連れて行かれた。

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