4章 改変され過ぎた世界と私
第16話 平和な世界では男は不要?
悟くんを人質に取られて悪い方の美優(恋歌)に従う方法を取れなかった、私。
「美優、おはよう。今日も好きだよ。」
寝ていた私に悟くんが優しく声をかけてくれた。
(私は美優のままだ、どうなったのかな?世界は…。)
日付を見たら、始業式の日に戻っていた。
「朝ごはん用意するから、ゆっくりしていてくれ。」
悟くんは何も覚えてなさそうだ。そもそも、なぜ、一緒に住んでるの?
朝食を食べながら私は、
「悟くんは過去改変したのは知らないの?」
どこまで知っているか?を聞くと、
「美優は何を言ってるの?疲れているのかな…。」
改変事態を分からないらしい。
改変されたことは私しか記憶に残っていないようだが、大丈夫なんだろうか?
「俺、男なのに、いいのかな?美優と交際しても…。」悟くんは悩んでいる。
(男なのに?ってどう言う意味?)
それに私、悟吏って認識している。前の呼び名って何だっただろうか?
あの悪魔(恋歌)が私の記憶に何かしたらしい。
それから、悟くんに聞くと私たちは許嫁だから、同棲をしているらしい。恋歌の事を聞いたら、立場が双子の姉に変わっている。あの悪魔は年齢すら、いじっている。
準備を終えた私に彼は、
「学校に行こっか?美優。」悟くんと仲良く手をつないで家を出た。
登校中に早くも異変があった。男子生徒が明らかに少ない…みんな女子生徒みたいに小さくて華奢なんだ。身長が150㎝くらいしかない…。
逆に女子生徒は160㎝超えをしているモデル体型が多くなっている。
(170㎝の悟くん…かなり目立っていません?)
みんなは私と彼が仲良く歩く姿を不審に思っているみたいだ。
「男の子がみんな小さいね、なんでだろう…。」
恋歌は…過去というか、根本をいじりすぎだって、ため息が出ていた。
体格差をなくすことで、男女の関係を逆にしたのかな?
力ずくで男性が行動しないよう、腕力で勝てないようにしてしまったのか?
世界を平和にするとは、こういう事なのかな…。
「あら、美優さん、おはよう。」私に静香さんが声をかけてきた。
「朝倉もいたの…美優さんの許嫁ちゃんとやれてるの?」
悟くん…呼び捨てにされてる。
「おはよう、静香さん。大丈夫だよ、悟くんは朝から優しいよ?」
彼はちゃんとできてる事を静香さんに伝えたのに、
「朝倉は優しさしか取り柄がないんだから、頑張りなさい。」
静香さんの当たりが少し強いな…。普段はいい子なのに。
そう言うと、彼女はさっさと先に行ってしまった。
「やっぱり違うね…。この世界の人たちは。」私は首を傾げていた。
私を置き去りにして世界が動き出していたが、
その改変の元凶が遂に現れたのだった。
「恋歌さん、おはよう!」悟くんが挨拶していた。
女子高生姿の恋歌が来た。
「どうだ、二歳も若返ったぞ。お前たちと同い年の美優の双子の姉、恋歌だ。」
年齢もいじくるなんて…。二卵性双生児扱いか。
私は恋歌にこの世界のなぜここまで変わったのか、理由を聞いていた。
「世界史の教科書を見せてやる。」恋歌は世界史の教科書を開いた。
そこには、ほとんどの偉業を成し遂げたのが、女性になっていて、歴史上には戦争は起こっていなかった。
恋歌が言うには、女性は争う生き物ではなく共存共栄を望む者がほとんどだそうだ。些細ないざこざはあったようだが、男は腕力が無くて女性に勝てないため、ただの労働力。性行為も体力が無いため、活発になることもなく、性暴力の発生率が格段に下がっているらしい。
男の性感度もかなり下げたそうだ。そのため性欲もまったく無くなり、男性ホルモンが活性化されずに男性の成長が途中で止まるそうだ。
「男女差別?そんなの知らんな。男が活発に動かなければ、世界は平和なんだよ。男女の性行為が減れば、人工も爆発的に増えることも無いし、世界の食料問題も解決する。つまり、この世には男などほぼ不要なのだ。子供を産みたい女性だけのために相手を務める生き物、存在価値などほぼない。」
恋歌は堂々と正論として言い切った。
さらに改変内容を続けた、
「この世界の男女比率を知っているか?男が5%で女が95%だ。」
「女性の同性愛者がほとんどだから、セクシャルマイノリティは異性を好きな人間になるぞ。つまりこの世界では異性恋愛をするお前らは、差別される側の気持ち悪い存在。変態扱いを受けるんだよ?」恋歌は答えていた。
どうするのよ、こんな世界にして…。これは本当に平和なのかな?
これが世界平和?あの女、何を考えてるの?
私と彼はみんなに変態扱いを受ける。
白い目で見られながら、学校に登校していた。
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