第15話 美優の中に潜む、悪魔
柏野家に着いた私は、恋歌お姉さまの部屋をノックして入った
「どうしたんだ?三人揃って?」お姉さまは驚いていた。
「あなたはなぜ、入れ替わりを戻そうとした、恋歌お姉さまの邪魔をしていたんですか?」私は、すべてを悟り、彼女に問い詰めた。
「何を言いたいかが、分からないんだが…。」
彼女は真意を語るつもりはなさそうだ。
「私はお姉さまの体になって、矛盾ばかりを感じるんです。美優お姉さま…あなたは誰ですか?最初から、あなたの行動は常に常軌を逸していた。あなたは私の知っている優しい美優お姉さまじゃあ、ありません。」
ずっと抱えていた…思いだった。
「私は恋歌お姉さまの体にいる、美優だよ?他の誰だと言うの?純ちゃん。」
確かに美優お姉さまの記憶はある。しかし、行動がかなりおかしい。
「美優お姉さまの中に潜んでいた魔物、だから、平然と私の体を襲った。ほぼ同じ頭脳を持ち、頭のいい兄の体からすると考えられない行動です。違いますか?」
世界一危険な生き物が目の前にいる。人間の皮を被った何かだ。
「仕方がない、答えてやろう…。私は、もう一人の美優だ。お前の知っている優しい姉ではない。過去改変して入れ替わり、悟吏の体で再構築された際に主人格から主導権を奪い取った美優だよ。」
美優お姉さまのもう一人の人格?そんな事があるの?
「最初は男になって、お前たちを犯して楽しむだけのつもりだった。でも、お前を見て変わった。お前はその完璧な容姿の肉体を手にしたのに溺れて奇行に走らなかった、そこの悟吏は女になった時、自分が男にモテる事を知って喜んでいた。その後、性欲に負けて私に抱かれたんだよ?完全に負けて記憶を失ったけどね…。」
もう一人の美優は私の知らない事まで語りだした。
それを黙って聞いていた純(恋歌)が、
「真面目な純を利用したのか、貴様は。」かなり怒っている。
「素晴らしい肉体をくれてありがとう、恋歌さん。」彼女は笑っていた。
私を騙して次の行動に出たのか、この女は。
「次に私は、姉の体を手に入れるために、お前を追い込む事にした。まず、お前の兄を壊す。兄の記憶を奪い、精神的ダメージをお前に与えた。そして、私も記憶を失った振りをしてさらに追い込んだ。そして、恋歌を動かしてその体を奪った。」
もう一人の美優は本当の悪魔だった。
「純よ、私とともに世界を救わないか?美優の体を最大限、使いこなすお前と恋歌の私が組めば、争いの無い、平和な世界を作れるぞ。どうだ?我が妹よ。」
この女は何を言ってるんだろう?私はそんな話に乗るわけない!
「お断りします。優しい美優お姉さまを返してください。」
私は美優の中にいた悪魔の誘いを断った。
「残念だ。兄から壊そう。」悪魔がそう言うと、
「恋歌さん。俺はあなたの味方です。」
お兄ちゃんがそう言い、アイツの元へ歩いていった。
「お兄ちゃんに何をしたの!」私が叫ぶと、
「我が妹よ、お前が協力を拒むからこうなったのだ、コイツは心が弱い。お前の回答しだいでは、兄をさらに壊してしまうぞ?」
この女は選択肢を選ばせない、最低最悪の奴だった。どうしたら…。
「従わないと、大事なもう一人の姉も壊すぞ?」純(恋歌)を指して話した。
もうダメだ、恋歌さんまで、失うなんて…今の私には、耐えれなかった。
「従います。だから、兄を元に戻してください。」
「いい子だね、美優。私の願いが叶えば、兄と幸せに暮らさせてやるからな。」
何をする気なんだろう?この女は…。
「ごめんなさい、恋歌お姉さま…。」私は騙されて巻き込んだ姉に謝罪した。
「気にするな、私の失態だ。お前は止めてくれたのに、私は過ちを犯した。」
恋歌お姉さまはこみ上げる怒りを抑えているようだった。
「手を貸してね?美優、私たちで争いの無い、平和な世界を作るんだ。」
悪魔(恋歌)の手を掴むと兄の手も取って過去改変の力を発動させた。
この後、どうなるかは分からない…
私のやることは元の優しい美優お姉さまを取り戻す。それだけだよ。
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